金属表面の温度分布を高精度で計測するサーモグラフィカメラ 金属測定用インラインモデル「インフレック TS300SW」を発表

2018/02/13

日本アビオニクス(株) 電子機器営業本部 赤外線サーモグラフィ営業部

~ 金属製品の品質や歩留まりを改善し、自動車の軽量化に貢献 ~

日本アビオニクス株式会社(本社:東京都品川区、社長:秋津 勝彦)は、赤外線の背景反射(以下、反射)の影響を除去し、低放射率物体の温度分布を正確に計測する技術を搭載した赤外線サーモグラフィカメラ(以下、サーモカメラ)「InfReC(インフレック) TS300SW」(以下、本製品)を本日より受注開始致します。

本製品は、2017年7月19日に発表した新技術の大きな市場反響を受け商品化しました。従来のサーモカメラでは困難とされてきた金属の表面温度分布を、非接触で高精度に計測することが可能です。これにより、自動車産業において車体軽量化を目的に採用が進んでいるアルミの温度分布計測や金型温度管理が可能になり、加工精度や歩留りの改善に貢献します。また、2次電池用材料の研究加速による電池の高寿命化などにも貢献します。

さらに、本製品は、インラインでの連続運転が可能です。従来のサーモカメラをインラインで使用する際にネックとなっていた、冷却器やシャッターなどの消耗部品を使用しない構造により、メンテナンスフリーを実現しました。

当社は、永年培ってきたノウハウ及び、国内メーカーならではの技術力とサポート力を結集し、お客様のハイレベルなニーズに最高のソリューション提案でお応えすると共に、新たなアプリケーションの開拓を目指して参ります。

【参考】2017年7月19日ニュースリリース
世界初!金属など低放射率物質の温度分布を正確に計測する技術を開発
http://www.avio.co.jp/news/html/170719.html

■モデル名・価格・出荷開始
モデル名:TS300SW
希望小売価格:5,000,000円
出荷開始:2018年2月中旬

■本製品の主な特長
1.反射の影響を除去し、高精度に金属の表面温度分布を計測
2.冷却器やシャッターなどの機構部品を使用せず、メンテナンスフリーを実現
3.最小5µsの露光時間、フレームレート100Hz、Gig-E I/F対応により高速温度計測が可能
4.外部機器からのパルス信号に同期した熱画像の取得が可能(外部トリガ機能)
5.オプションに広角レンズをラインアップ(汎用レンズマウント機構により特注対応が容易)
6.試験評価用オンライン解析ソフトを標準添付

■具体的な熱画像と汎用機種との比較
アルミパイプ:加熱炉にてアルミパイプを580℃まで加熱
汎用機種による測定画像:放射率が低すぎて324℃までしか補正されない
本製品による測定画像:熱電対の値に近い580℃付近を示す

■適用アプリケーション

1) アルミの温間プレス時の温度管理
アルミ鋳片の温度分布を高精度に計測することで、歩留まり・品質向上を可能にします。鉄や銅に比べ比重が小さいアルミは各産業から注目されていますが、その特性により加熱炉から温間プレス機に運ばれる過程で急激に温度が下がります。本製品でプレス直前のアルミの温度分布を正確に測ることにより、歩留まり低下の迅速な原因究明と対策が可能です。また、成型・加工直後の温度を管理することによって、亀裂や反りの原因となる温度ムラを検出し、高い品質管理を実現します。これにより、自動車産業の車体軽量化や電気自動車(EV)化に貢献し、排ガス規制への対策や燃費向上に役立ちます。

2) 金型による成型時の温度管理
金型、あるいは金属成形品の温度分布を高精度に計測することで、歩留まり・品質の向上、さらには金型の破損防止に貢献します。ダイカスト用金型の場合、離型剤や金型表面の酸化によって放射率が上がり、一般的なサーモカメラでも一定精度の温度計測が可能ですが、金型全体の正確な温度分布を測定することは困難です。また、樹脂や複合材料用の金型は放射率が低く、一般的なサーモカメラでは計測出来ないという問題がありました。本製品は、約150℃以上(*1)の金型であれば、高精度な温度計測が可能となります。さらに、高速シャッターにより、サイクルが早い小型の樹脂用金型もブレずに撮影することができます。現在は、コンピュータ性能やシミュレーション技術の向上により、金型の温度分布をパラメータとして金型の性能を事前にシミュレーションできる環境が整っています。本製品を用いることで金型そのものの温度分布を高精度に計測し、実測値とシミュレーションが連携した品質管理を行うことが可能となります。

■本製品の原理(2017年7月19日ニュースリリースより引用)
物体から放射される赤外線強度は、プランクの法則として知られる式で定量的に表現され、波長依存性があることが分かっています。サーモカメラは、物体が自然に放射する赤外線を検出し、その放射強度を温度値に変換すると同時に可視化します。しかし、一般的なサーモカメラの測定波長では、測定したい物体(測定対象)の表面に、周囲の物体(周囲環境)から放射された赤外線が反射してしまい、これが外乱となって測定精度が劣化します。本製品では、常温にある周囲環境からはほとんど放射されず、測定対象からのみ放射される赤外線波長帯を利用することにより、外乱の影響を受けることなく温度計測を可能とします。そのため、従来のサーモカメラでは困難とされてきた金属などの表面温度を、非接触で精度よく計測することが可能となります。例えば、アルミの場合、160℃以上 (*1)の温度を±4%の精度で計測することができます。
しかし、この波長帯では測定対象から放射される赤外線強度も小さいので、単に赤外線強度を計測すれば温度計測が可能になるわけではありません。これまで長年にわたるサーモカメラ開発で培ってきた温度計測に関わる当社のノウハウを最大限に活用することにより、低放射率物体の温度計測を実現しました。尚、本技術に関して特許を出願しております。