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1 CC-Link協会最新動向

CC-Link協会(CLPA)は、2000年の発足以降、CC-Linkファミリーの技術開発ならびにプロモーションにグローバル規模で力を注ぐ産業オープンネットワーク推進団体です。現在、国内・海外合わせて3,700社以上の企業が会員として加盟しており、300社以上のパートナーによる2,000機種以上の対応製品を取り揃えております。

2018年11月、スマート工場を実現する最先端のソリューションとして、世界に先駆けて産業用オープンネットワークにTSN(Time-Sensitive Networking)技術を採用した「CC-Link IE TSN」をリリースしました。CC-Link IE TSNは、従来のCC-LinkIEに対する市場からの要望に応え、Industry 4.0に代表される「IoTを活用したスマート工場の構築」を加速するべく誕生しました。
FA(生産現場)とITの融合を実現すると共に、効率的なプロトコルにより従来のCC-Link IEの性能・機能をさらに強化しました。
また、開発手法の多様化により様々な機器におけるCC-LinkIE TSN対応が容易となります。

2019年11月のIIFES2019では、CC-Link IE TSNで実現する「Connected Industries」の未来を、メインステージでのプレゼンテーションや、拡がりを見せる17パートナーの対応製品と共にご紹介いたしました。また、サーボシステム256軸分を用いて、複数ネットワークプロトコルをシームレスに連携できるCC-Link IE TSNの特長を可視化した、CC-Link IE TSNキネティックアートデモ機を展示いたしました。おかげさまで3日間で4,000名(アンケート回答者数)を超えるお客様にCLPAブースへお越しいただき、大盛況で終えることができました。仕様公開から1年半となる2020年5月現在、すでに100機種を超えるパートナー対応製品の開発および販売が進んでいます。※1

Burke氏

こうした中で、CLPAはさらなる活動促進のため、Global Strategic Advisorの役職を新設し、Thomas J. Burke氏を採用することを発表しました。

Burke氏は、OPC Foundationの前会長兼事務局長で、創設メンバーの一人でもあります。OPC Foundationは安全かつ信頼性ある相互運用性を実現することを使命としており、Burke氏は、製造現場から経営層まで多種多様な接続機器やアプリケーションにわたり、マルチベンダー、マルチプラットフォームのインフラを提供することを推進してきました。

Burke氏はOPC Foundationで得た貴重な経験を活かし、CLPA Global Strategic Advisorとして下記の活動を推進します。またCLPAの海外支部とも相互連携し、自動車・半導体・工作機械・食品といった幅広い業界において、CLPAおよびCC-Link IE TSNがもたらす優位性を発信していきます。※2

  • 1. グローバル市場におけるCC-Link IE TSNの認知度向上およびシェア拡大
  • 2. 業界動向・業界標準をふまえた市場戦略の提案
  • 3. 北米市場におけるパートナー数拡大
  • 4. ベンダー・ユーザーと一体となった活動促進
  • 5. 他オープンネットワーク推進団体をはじめとする規格/標準化団体との相互連携

おかげさまで、CLPAは2020年11月に設立20周年を迎えます。これもひとえに、ユーザーおよびパートナーの皆様のご支援、ご愛顧の賜物であり、心より感謝申し上げます。これからもCLPAはネットワーク技術を牽引するパイオニア、またチャレンジャーとして、パートナーの皆様と共に、お客様の「スマート工場」の構築を加速させる真にオープンな産業用オープンネットワークを、ますますグローバルに展開していきます。

※1 CLPA IIFES2019出展報告はこちら
CLPA HP > IIFES2019出展報告【URL】http://www.cc-link.org/ja/events/2019/rep_iifes2019.html
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※2 プレスリリースおよびBurke氏インタビュー記事へのアクセスはこちら
CLPA HP > 新着情報【URL】http://www.cc-link.org.jp
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2 CC-LinkIE TSNコンセプト

製造業でのIoT活用に向け、欧州のIndustry 4.0や米国のIIC(Industrial Internet Consortium)、中国の智能製造、日本のConnected Industriesなど、グローバルレベルでさまざまなメガトレンドが立ち上がっています。それらに共通するのが、あらゆるものをつないでデータを最大限に活用し、自律的で最適なものづくりを目指す「スマート工場」の実現です。

スマート工場を実現するためには、生産現場のデータをリアルタイムに収集し、そのデータをエッジコンピューティングで一次処理した上でITシステムへシームレスに送ることが重要となります。
生産現場のデータを活用するには、高速・安定した制御通信やITシステムへの大容量の情報伝送が可能なネットワークが欠かせません。すなわち、生産現場における産業用ネットワークとITシステムにおけるネットワークの融合が重要となります。

CC-Link IE TSNは、従来のCC-Link IEの特長を継承しつつ、TSN技術を採用することにより、同一幹線上で複数の異なるネットワークの混在を可能とします。さらに、効率的なプロトコルにより、高速・高精度なモーション制御を実現します。
これによりCC-LinkIE TSNは、上位のITシステムから生産現場のFAシステムの階層を意識することなく、シームレスに連携し、製造業におけるさまざまなアプリケーションの活用拡大が可能となります。

CC-LinkIE TSNで実現する「Connected Industries」の世界

3 特長

CC-Link IE TSNの大きな特長は次の4つです。

(1)FA(制御通信)とIT(情報通信)の融合

リアルタイム性を確保した制御通信を実施しながら、他オープンネットワークの通信やITシステムとの情報通信を同一ネットワークで融合可能とすることで、システム構成の自由度を向上し、配線コストを大幅に削減できます。

(2)高速・高精度な制御の実現

CC-LinkIE TSNは、時分割方式を採用しました。ネットワーク内で同期している時刻を活用し、決められた時刻で、出力と入力の通信フレームを双方向に同時に送信することで、ネットワーク全体のサイクリックデータを更新する時間を短縮させることが可能です。

またCC-Link IE TSNでは、同一ネットワーク内で複数の通信周期で運用することができます。これにより、サーボアンプのような高性能の通信周期を必要とする機器の性能を維持したまま、リモートI/Oなど高速な通信周期を必要としない機器をつなぐなど、それぞれの機器の特性に合わせ通信周期を最適化することが可能になり、駆動制御の性能を最大化しタクトタイム短縮を図れます。

(3)立上・運用・保守における工数削減

イベント履歴を正確な時系列で追えるため、エラー原因の特定が容易です。また、正確にタイムスタンプされたロギングデータが、解析アプリケーションに活用できるため、予知保全の精度向上が可能です。

(4)多様な開発手法による対応製品の拡充

専用ASIC/FPGA で実装した高性能機器から、汎用Ethernet チップにソフトウェアプロトコルスタックで実装した低コスト機器までさまざまなタイプの製品開発が可能です。


4 ユースケース

(1)半導体(ボンディング)

制御通信に影響を及ぼすことなくレシピデータやトレサビデータなどの大容量の情報を高速に通信することが可能です。半導体装置でのメインコントローラとして主流となっているIPCでも、既存のハードウェアを変更することなくソフトウェアでCC-Link IE TSNのマスタ機能を実装することができるため、これまでの設計資産を流用することができ、大幅な設計工数の削減が図れます。

(2)自動車(塗装)

自動車の塗装工程では、塗装の品質データや塗装ロボットの設備監視データなどの大容量なデータを上位のコントローラで高速で収集し、分析することが可能になります。また、多岐にわたるレシピデータもリアルタイムに設備側に送信することで変種変量生産に対応することも可能です。

一般通信と安全通信が混在できるため、配線コストと配線ミスの大幅な削減が実現できます。
リングトポロジーを使用することで、ループバック機能により機器トラブル時の装置停止を回避することが可能であり、ダウンタイムの短縮が図れます。


5 CC-LinkIE TSNパートナー対応状況

CC-Link IE TSN仕様公開から数々のCC-Link IE TSN対応製品の開発および販売が進んでおり、CC-Link協会ではパートナーと共に今後もCC-Link IE TSN対応製品の拡大を目指します。
最新のCC-Link IE TSN対応製品としまして、一部をご紹介いたします。

■ルネサスエレクトロニクス株式会社
「R-IN32M4-CL3」は、CC-Link IE TSN Class B対応のリモート局用の通信LSIです。高精度の時刻同期と時分割通信が実現できます。2ポートのギガビットイーサPHY、CPU、大容量メモリを搭載する事で少ない周辺部品でCC-Link IE TSNの通信が実現可能です。また、17mm角の小型化と低消費電力により実装面積の低減や製品の小型化に貢献いたします。
URL : https://www.renesas.com/
お問合せ: https://www.renesas.com/jp/ja/support/contact.html
■CKD株式会社
高い信頼性(耐久回数1億回)と環境性(連続通電対応)を備えた電磁弁4GRシリーズにCC-Link IETSNを対応予定です。4GRの安全性(手動誤操作防止)に加えて、電源部は制御、負荷電源が分離している為、緊急時に通信を遮断せず電磁弁の電源をOFFすることができます。また、通信ポートには汎用性の高いRJ45コネクタを採用し、ご使用回数や通電時間を計測するカウンター機能も備えて、いっそう使い易くなります。
URL : https://www.ckd.co.jp
e-mail : t-tsuji@ckd.co.jp
TEL : 0568-74-1303 担当者: 辻(CKD株式会社販売促進部)
■オプテックス・エフエー株式会社
業界最多16チャンネルを搭載したIO-Linkマスタユニットを今夏発売予定。生産現場におけるセンサレベルの情報を、高いコスト対効果で見える化できます。また業界初となるNPN/PNP入出力機器への混在接続を実現しました。さらにCC-Link IE Field/CC-Link IE TSN双方のネットワークに対応し、設定切換が容易に行えます。
URL : https://www.optex-fa.jp
e-mail : fa@optex-fa.com
TEL : 075-325-2922
■ソフトサーボシステムズ株式会社
「WMX3」は専用ハードウェアが不要なWindows PCベースのソフトモーションコントローラです。装置制御を1台のPCに集約しスマート工場の実現に貢献します。CC-Link IE TSNソフトマスタを搭載した本製品は、高度かつ複雑な多軸制御のニーズへ応える多様な制御機能を豊富に搭載し、最大128軸のサーボシステムと6万点以上のI/Oの完全同期・高速制御を実現します。半導体製造装置の量産実績が豊富です。
URL : https://softservo.co.jp
e-mail : info@softservo.co.jp
TEL : 042-512-5377(担当:姜〈カン〉)

6 今後の展開

CC-Link IE TSNは、Ethernet上で時分割通信するTSNの技術を採用したことで、Ethernet機器の活用を容易にするとともに、高速なサイクリック通信を実現するプロトコルに一新したことで、FA分野における一般制御およびモーション制御の性能・機能を大幅に向上させました。今後は、さらなる適用分野の拡大を目指して下記開発を進める予定です。

  • ■スマート工場における、5G等の無線技術を活用したさらなる効率化
  • ■光ケーブル対応開発による長距離及び高ノイズ耐量を必要とする分野への拡大

CC-Link協会では賛同メーカー様と「無線対応WG」を設立し、現在のWi-FIから将来の5Gまでを含めた無線の活用検討を進めていきます。また、現行のCC-Link IEで取得済みの国際標準規格「IEC61784」をはじめ、半導体・FPD業界国際スタンダードSEMI、中国および韓国など各国の国家規格の取得を進めていきます。さらに、TSNの技術を介した他産業用オープンネットワークとの相互接続性強化を図り、あらゆるものをつないでデータを最大限に活用できるようにします。これらにより、CC-Link IE TSNの適用分野をさらに広め、自律的で最適なものづくりを目指す「スマート工場」の基盤となる産業用オープンネットワークへと成長させていきます。


問い合わせ先

CC-Link協会
〒462-0825
愛知県名古屋市北区大曽根3-15-58 大曽根フロントビル6階
TEL : 052-919-1588
FAX : 052-916-8655
お問い合わせ : https://www.cc-link.org/jp/contact/index.html
ウェブサイト : https://www.cc-link.org

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