EtherCATの技術情報のアクセス方法
日本オフィス代表 小幡正規
製造装置や生産ラインの改善や効率アップのためにEtherCATを採用したいというお話を聞かせていただくことが多くなりました。新規開発にて従来技術からEtherCATへの変更を検討するにあたり、EtherCATの優れた点などのご質問をいただいています。EtherCAT Technology Group(ETG)は、このようなご要望にお応えできるようにユーザー向け、デバイス開発者向けの技術資料やイベントを用意しています。これらの技術情報はすべてETGウェブサイトにて公開されています。今回はETGが提供する有用な情報の種類とそのアクセスについて説明いたします。
ETGはすべての情報をウェブサイト(https://www.ethercat.org/)に掲載しています。ウェブサイトには以下のようなコンテンツがあります。
■ETGニュース
主に一般向けのイベントの開催告知や報告、マイルストーン的なニュースなどをお知らせします。日本向けのニュースは日本語化を行っています。
■最新登録製品/製品ガイド
「製品ガイド」ページに新しく登録されたEtherCAT製品のお知らせです。製品ガイドはEtherCAT製品を無償で掲載できる製品データベースです。EtherCAT製品をお探しのときにご利用ください。また、EtherCAT製品を販売されている企業の方はぜひ御社の製品を登録し、販促にご利用ください。公式コンフォーマンステストに合格したデバイスには「Cert.✔」マークが付されていますのでこのマーク付き製品の利用をお勧めします。
■イベント予定
直近の全世界のETGイベントを告知しています。「イベント」ページで「国選択」にて「日本」を選択すると開催スケジュールの確定した国内イベントが確認できます。セミナーなどのイベント参加申込は各イベントの「詳細」リンクから行ってください。
■技術解説
一般の方やEtherCAT製品開発を検討中の方向けに、EtherCAT、EtherCAT P、EtherCAT G、セーフティ、TSNの基礎的な技術解説を行っています。
■組織
世界各地のETGオフィスやEtherCATテストセンターのコンタクト情報のページです。
■FAQ
EtherCATまたはETGによく頂くご質問の解答集です。日々いただくご質問の多くがFAQに掲載されています。
■プレス
ETGのプレスリリース記事です。ETGニュースよりイベントやマイルストーン等に関する詳しいニュース記事になっています。各種言語のPDFドキュメントや写真や図表がダウンロードできます。
ETGメンバーは仕様書などの詳細な技術文書や規格文書にアクセスすることが可能です。ETGメンバーは前述の項目に加え、以下の情報を取得できます。
■メンバーエリアニュース
メンバー向けイベントや新/更新版/ドラフト版仕様書の公開をお知らせしていますので、技術動向の情報が得られます。特にSEMIデバイスプロファイルの仕様書策定が活発です。コンフォーマンステストツール(CTT)の更新版リリースやドラフト版レビューなどもここで告知されます。
■仕様書解説
ETGによって仕様書を補足し、よりわかりやすい技術解説文書を提供することを目的にEtherCAT使用解説書(EtherCAT Compendium)を執筆中です。EtherCAT通信技術の包括的な解説文書であり、現在はEtherCATのデータリンク層までが発行されています。内容は順次追加され、発行日によりバージョン管理がされています。
■デベロッパーフォーラム ETGメンバーによるコミュニティーベースの掲示板で開発サポートを提供しています。英語のQ&Aが不慣れな方でも、過去の回答を検索して課題が解決することがあります。
■ナレッジベース
「ナレッジベース」は技術用語集として活用いただけます。各項目は仕様書の用語(英語)とその日本語でアルファベット順に並んでいます。全項目が日本語化されています。 コンフォーマンス テスト仕様書、テスト申込み、テストセンター一覧、現行テストツール/ファイルセットのバージョンのほか、テスト結果の免除となる条件からなる例外事項のページがあります。
「ダウンロード」ページから一般向けおよびメンバー向けのさまざま技術資料をダウンロードできます。メンバーのみがダウンロードできる資料には鍵のマークが付されています。以下に大分類で選択する項目と内容について説明します。
■Introduction
入門的なプレゼンテーション資料、フライヤーが主なコンテンツです。いくつかのよく利用される文書は日本語化を行っています。多くが一般向けの資料です。
■Membership
ETGのポリシーなどの規則に関するドキュメントがあります。
■Application
EtherCATの適用事例を紹介するドキュメントがあります。すべて一般向けになっています。
■Proceedings and Paper
一般向けETGニュースレターや、メンバー向けには技術委員会、メンバー総会などの会議資料、ITWなどETGイベントの資料があります。
■Development and Implementation
EtherCAT仕様書/ガイドライン/技術解説文書があります。ほぼメンバー専用です。
■Marketing and Press
ETGが外部で行ったプレゼンテーション資料があります。 これらの文書はほとんどが英語で提供されていますが、一部は日本語化を行っています。日本語化のご要望がございましたら、ETG日本オフィスまでご連絡ください。
2024年11月の時点で7978社がETGのメンバーシップを有し、全世界の75カ国をカバーしています。2014年以来、常に400社以上をキープし、最近の12ヶ月増加数は500社以上に戻っています。
EtherCATはドイツ発の技術であり、当初は欧州が中心でしたが、今年アジアが欧州のメンバー数を超えました。これはアジアにおけるEtherCATの普及を意味しています。特にこのエリアの各種装置産業での採用と対応デバイス開発が活発に行われていることが背景です。日本は800社以上のメンバー数になっていて、アジアで中国についで2番目です。 北米はコンスタントに14%前後を維持しています。これはETGの全世界の成長と同じ増加率であるということです。メンバー数は1000社以上であり北米で最大の産業イーサネット組織であることは言うまでもありません。
ETGは、今年も最新の累計出荷ノード数がハノーバーメッセ2024プレスリリースで公表しました。ETGとしてはノード数という定量的な数値を発表するにあたり正確性が重要であると考えています。EtherCATは当初FPGAベースのESCで始まり、この実装によるデバイスが多数ありましたが、ライセンスの仕組みによりその数値の把握は困難でした。しかし、現在はASICベースが主流となっているため、チップ出荷数を把握できます。2023年末の統計ではEtherCATノード数は7710万ノードです。 おそらく、このノード数は数ある産業イーサネットの中でもマーケットシェアとして最上位に位置するものであると思われます。
単年度の出荷ノード数は、半導体不足のために先行発注が行われた経緯などから2021-2023年は大幅な増加となっています。2023年は半導体供給の危機的状況が緩和され、供給体制が正常化しており、過剰な先行発注は一段落しました。また、SEMIによると2023年は世界的に半導体販売が14.5%下落したとの報告もあるなかで、2023年のノード数が2022年とほぼ同等であることは、順調にEtherCATのマーケットが成長し続けていると考えています。
ETGは2025年前半にセミナーや展示会出展を多数開催いたします。開催計画中の採用セミナーや開発サポートセミナーはETG Webサイトで告知します。定期的にETGウェブサイトのイベントページをご覧ください。
問い合わせ先
EtherCAT Technology Group日本オフィス
〒231-0062 神奈川県横浜市中区桜木町1-1-8 日石横浜ビル18F
TEL : 045-650-1610
FAX : 045-650-1613
お問い合わせ : info.jp@ethercat.org
技術サポート : support.jp@ethercat.org
ウェブサイト : www.ethercat.org/jp.htm
Twitter :@EtherCAT_Japan




