東京、2015年8月4日発 –キーサイト・テクノロジー合同会社（職務執行者社長：梅島 正明、本社：東京都八王子市高倉町9番1号）は、次世代移動体通信（5G）の研究をリードする5G空間電波伝搬特性（チャネルサウンディング）測定リファレンスソリューションを発表します。この新しいリファレンスソリューションは、5Gに関する先端研究を加速するために設計されており、空間伝搬領域の影響を受けやすい超広帯域性、超多チャンネルのマッシブMIMO、これまであまり経験のないミリ波周波数帯といった技術課題をかかえる5Gの新しい無線規格を実証するために必須なものです。

5Gでは、広帯域移動体通信の要件として、10 Gbps程度の無線通信データレートに対応する新しい技術が求められています。これらの要件を満たすために、10-100 GHzの周波数を利用する新しい無線規格の開発が進められています。当社の測定器、ソフトウェアと計測技術の専門知識を融合した空間電波伝搬特性測定リファレンスソリューションでは、これらの周波数でのチャネル挙動のすばやい特性評価やさまざまな無線規格を設計し検証するためのチャネルモデルの開発が可能になります。

当社のソフトウェア・モジュラー・ソリューション事業部マーケティングマネージャーであるMario Narduzziは次のように語っています。「当社は無線通信技術において世界的なリーダーであり、最適なソリューションを提供できるプロバイダーであり、お客様と連携し、5G無線通信の研究で重要な役割を担っています。われわれの5G空間電波伝搬特性測定リファレンスソリューションはお客様の5G研究を加速し、当社が中心となり4Gから5Gへの進化を推し進めていくことへの新たな決意表明でもあります。」

このソリューションにより、研究者はシステム全体のキャリブレーション、正確なタイミングおよび同期のとれた絶対遅延計測を厳密に行うことができます。超広帯域およびMIMO技術の実現には、膨大なデータを処理する必要があり、M9703A AXIe 12ビット高速デジタイザ／広帯域デジタル・レシーバに搭載されたFPGAによりマルチチャネルでのチャネルインパルス応答（CIR）データ相関をポストプロセッシングではなくリアルタイム処理を行うことにより、計測時間とデータ容量を削減できます。また、当社のSystemVueエレクトロニック・システム・レベル(ESL)デザイン・ソフトウェアでは、チャネルモデルを取り込み、新しい5Gのチャネルパラメータ推定の算出、リンクレベルのシミュレーションと検証が行えます。

キーサイトの5G空間電波伝搬特性測定リファレンスソリューションは、多チャネルで位相コヒーレントに対応するモジュール型の信号発生器および高速デジタイザをベースとしており、以下の特長があります。
・ 4チャネル／8チャンネル MIMOチャネルにて、超広帯域1GHz帯域幅、44GHzまでの送信／受信
・ 正確なタイミングと計測を実現するシステム全体のキャリブレーションと同期
・ FPGAを用いた複数チャンネルでのリアルタイムCIRデータ処理
・ チャネルパラメータ抽出とシステム統合にあわせた波形、モデルのカスタマイズ5G基準の進化に合わせた、チャネルや試験を追加できる柔軟性と拡張性