ロードセルとは?
仕組み・種類・選び方、メーカー・製品情報を解説

ロードセルとは、物体に加わる荷重や力を検出し、電気信号に変換するセンサである。電子はかりなどの重量計測をはじめ、
タンクやホッパーの計量、製造工程における圧入・プレス・締結時の荷重測定、材料・部品の試験、設備の荷重監視など幅広い用途で使用される。

ロードセルには測定原理や形状によってさまざまな種類があり、使用目的に適した製品を選ぶには、測定する荷重の方向、定格容量、
必要な精度、取り付け条件、使用環境、接続する周辺機器などを確認することが重要である。

— DEFINITION ロードセルとは?

ロードセルは、加えられた荷重や力を電気信号へ変換するセンサであり、荷重変換器とも呼ばれる。「重量を測るセンサ」として使用されることが多いが、測定対象は重量だけではない。物体に加わる圧縮力や引張力なども測定できるため、電子はかりなどの計量機器だけでなく、製造設備、試験機、検査装置などにも組み込まれている。

— PRINCIPLE ロードセルの仕組み・測定原理

ロードセルには複数の測定原理があるが、産業用途ではひずみゲージを利用したロードセルが広く使用されている。ひずみゲージ式ロードセルは、荷重を受ける金属製の「起歪体」と、起歪体に取り付けられた「ひずみゲージ」を主な構成要素とする。起歪体に荷重が加わると、肉眼では確認しにくいほどの微小な変形が生じる。この変形に伴ってひずみゲージの電気抵抗が変化するため、その変化を利用して荷重を検出する。一般的なひずみゲージ式ロードセルでは、複数のひずみゲージによってホイートストンブリッジ回路を構成し、抵抗の変化を微小な電圧信号として取り出す。この信号をアンプや変換器などで増幅・処理することで荷重値として表示したり、PLCやPCなどへ取り込んだりできる。

【ロードセルの測定原理】

荷重 起歪体の変形 ひずみゲージの抵抗変化 電圧信号 増幅・変換 荷重値

— APPLICATIONS ロードセルの用途

ロードセルは、物体の重さを量る「計量」と、物体に加わる力を測る「荷重測定」の双方に使用される。

計量

計量

電子はかりや台はかりなどでは、計量台に加わる荷重をロードセルで検出し、重量として表示する。タンクやホッパーの支持部にロードセルを設置し、容器を含めた重量の変化から原料や液体などの投入量や残量を測定する方法もある。

・使用例:電子はかり、台はかり、タンク・ホッパーの重量管理

製造工程における荷重測定

製造工程における荷重測定

プレス、圧入、かしめ、締結などの工程では、加工時に加わる力の測定にロードセルが使用される。荷重を数値として取得することで、加工状態の確認や品質管理、異常検知などに利用できる。

・使用例:プレス、圧入、かしめ、締結時の荷重監視

試験・検査

試験・検査

部品や材料に引張力や圧縮力を加える試験機にもロードセルが組み込まれている。試験中に加わる力を測定することで、材料や部品の強度・特性評価などに利用できる。

・使用例:引張試験、圧縮試験、部品評価

張力測定

張力測定

フィルム、シート、ワイヤなどを搬送する設備では、対象物に加わる張力の測定にもロードセルが使用される。

・使用例:フィルム、シート、ワイヤの張力管理

— TYPES & CLASSIFICATIONS ロードセルの種類

ロードセルには、測定原理や形状によってさまざまな種類がある。測定原理は、どのような物理現象を利用して力を検出するかを表す。一方、形状は取り付け方法、測定する荷重、設置スペースなどと関係するため、実際の製品選定では双方を確認する必要がある。

1.測定方式による種類

ひずみゲージ式

産業用途で最も広く普及している方式。金属の微小な変形を電気抵抗値の変化として検出し、非常に高精度な測定が可能。

圧電式

圧電素子に加わる力に応じて発生する電荷量を測定する方式。応答速度が速く動的な荷重変化や衝撃測定に適する。

静電容量式

電極間の距離変化による静電容量の変化を検出する方式。構造がシンプルで堅牢性や過負荷耐性に優れる。

測定方式 主な測定原理 主な特徴
ひずみゲージ式 起歪体の変形に伴う抵抗変化 計量・産業用荷重測定で広く使用
圧電式 力によって発生する電荷 応答が速く、動的な力の測定に適する
静電容量式 電極間の静電容量変化 高感度な荷重測定に利用
その他 液圧、空気圧、磁気的現象など 原理によって用途・特性が異なる

2.形状による種類

S字型

本体がS字に近い形状を持つロードセルである。引張荷重と圧縮荷重の双方を測定できる製品も多く、試験機、計量装置、張力測定などに使用される。

ビーム型

梁状の起歪体の変形を利用して荷重を測定するタイプである。台はかりやタンク、ホッパーなどの計量用途で使用される。

シングルポイント型

1個のロードセルで計量台を構成できるタイプである。計量台上で荷重位置が変わった場合の影響を抑えるよう設計されており、台はかりや小型計量装置などに使用される。

コラム型

柱状の構造を持つロードセルで、比較的大きな荷重を測定する用途で使用される。大型の計量設備や荷重試験などに用いられる。

ボタン型・薄型

高さを抑えた小型形状のロードセルである。装置内部など設置スペースが限られる場所で、主に圧縮荷重を測定する用途に適している。

形状 主な荷重 主な用途
S字型 引張・圧縮 試験、計量、張力測定
ビーム型 主に圧縮 台はかり、タンク、ホッパー
シングルポイント型 主に圧縮 台はかり、小型計量装置
コラム型 主に圧縮 大容量計量、荷重試験
ボタン型・薄型 主に圧縮 装置組み込み、狭い場所での荷重測定

— PICK UPS 注目のロードセルメーカー

— HOW TO SELECT ロードセルの選び方

ロードセルを選ぶ際は、定格容量だけで判断するのではなく、測定する力の方向、必要な精度、取り付け条件、使用環境、接続する周辺機器まで含めて検討する必要がある。

荷重方向から選ぶ

最初に確認するのは、どの方向の力を測定するかである。主な荷重方向には「圧縮」「引張」「引張・圧縮」がある。

  • 圧縮型:ロードセルを押す方向の力を測定し、タンク・ホッパーの計量やプレス荷重の測定などに使用される。
  • 引張型:ロードセルを引っ張る方向の力を測定し、吊り下げ計量や張力測定などに使用される。
  • 引張・圧縮型:双方の方向を測定できるため、材料試験や製造設備など荷重方向が変化する用途にも使用される。

※ロードセルは規定された方向から荷重を受けることを前提としているため、斜めの方向や横方向から不要な力が加わらないよう注意が必要。

定格容量から選ぶ

定格容量は選定の基本仕様。測定対象の最大荷重だけでなく、計量台や治具の自重、衝撃、振動、偏荷重なども考慮する。例えば対象物を落下投入する設備では、投入時に静止状態の重量を上回る力が一時的に加わることがある。実際の使用条件で定格容量や許容荷重を超えないよう、装置の構造や荷重条件を踏まえて容量を決定することが重要である。

必要な精度から選ぶ

単一の「精度」という数値だけでなく、非直線性、ヒステリシス、繰返し性、クリープ、零点の温度影響、出力の温度影響などの特性を確認する。測定目的によって必要な性能は異なるため、どの程度の荷重変化を検出する必要があるのか、どの程度の測定誤差を許容できるのかを明確にしたうえで選定する。

形状・取り付け条件から選ぶ

装置へ組み込む場合は本体寸法だけでなく、正しい方向から荷重を加えられる構造になっているかを確認する。計量台でのシングルポイント型/ビーム型、引張・圧縮でのS字型、設置高さを抑えた薄型など用途に適した形状を選択する。ロードセル本体だけでなく、ロッドエンド、ベース、治具などを取り付けるスペースも考慮する必要がある。

使用環境から選ぶ

使用環境(使用温度、水・湿気、粉塵、油・薬品、振動・衝撃、電気的ノイズ)について確認が必要。水や粉塵が存在する場所では保護構造やIP等級、温度変化が大きい場所では温度補償範囲などを確認する。屋外、食品設備、洗浄工程、薬品を扱う設備などでは、材質や密閉構造なども選定条件となる。

出力・周辺機器から選ぶ

一般的なひずみゲージ式ロードセルから得られる電圧信号は小さいため、アンプ、変換器、指示計などを含めて計測システムを検討する。

代表的構成:ロードセル → ロードセルアンプ・変換器 → 指示計 / PLC / データロガー / PC

ロードセルの定格出力、印加電圧、接続方式と、アンプや指示計側の入力仕様が適合しているかを確認する。アナログ電圧・電流、デジタル通信など、必要な出力形式から周辺機器を選択することも重要である。

— WORKFLOW & IMPLEMENTATION ロードセルの導入手順

ロードセルを導入する際は、測定対象に適した製品を選ぶだけでなく、取り付け方法、周辺機器との接続、校正まで含めて計画する。

測定目的を決める

1. 測定目的を決める

重量、圧縮力、引張力、張力など、何を測定するのかを明確にする。

荷重条件を確認

2. 荷重条件を確認

通常時の荷重、最大荷重、荷重方向、衝撃や偏荷重の有無などを確認する。

ロードセル選定

3. ロードセル選定

荷重方向、定格容量、必要な精度、形状、取り付け方法、使用環境などから適したロードセルを選ぶ。

周辺機器を選定

4. 周辺機器を選定

ロードセルの出力仕様に合わせて、必要なアンプ、変換器、指示計、データロガーなどを選定する。

ロードセル設置

5. ロードセル設置

ロードセルの測定軸に沿って正しく荷重が加わるように取り付ける。

配線・機器接続

6. 配線・機器接続

ロードセルとアンプや指示計などを接続し、必要な電源や信号配線を行う。

校正・設定

7. 校正・設定

既知の荷重とロードセルから得られる信号との関係を確認し、計測システムを設定する。

動作確認

8. 動作確認

実際の使用条件で測定を行い、出力値、繰返し性、ゼロ点などに問題がないか確認する。

設置時の注意点

  • 着力点の正確性:偏荷重(斜めからの力)やねじれが加わると、大きな測定誤差や故障の原因となります。
  • 過荷重の防止:誤って定格を超える衝撃が加わらないよう、機械的なストッパーや過荷重保護機構を設けてください。
  • ケーブルの保護:可動部への配線時はケーブルの断線やノイズ混入に配慮し、シールド処理や保護チューブを施工します。

システム構成とメンテナンス

  • 構成機器:ロードセルは単体では機能せず、印加電圧を供給し信号を増幅する「ロードセルアンプ」「指示計(インジケータ)」が必要です。
  • 定期校正の重要性:経年変化や周囲温度の影響による数値ズレを防ぐため、基準分銅等を用いた定期的なスパン校正を行ってください。
  • 日常点検:取り付けボルトのゆるみ、ゼロ点の漂移(ゼロドリフト)、ケーブル外装の傷などを定期点検項目に組み込みます。

— GLOSSARY ロードセル関連用語

  • 定格容量(Rated Capacity) :ロードセルが仕様で定められた精度を維持して測定できる最大荷重の値。
  • 許容過荷重(Safe Overload) :電気的・機械的性能に永久的な変化を生じさせることなく加えられる最大荷重(定格の150%等)。
  • 限界過荷重(Ultimate Overload) :構造上の破壊を生じることなく加えられる限界の荷重(定格の200%~300%等)。
  • 非直線性(Non-Linearity) :無負荷時と定格荷重時の出力を結ぶ直線からの出力曲線の最大偏差。
  • ヒステリシス(Hysteresis) :荷重を増加させていく過程と、減少させていく過程における同一荷重値での出力差の最大値。

mV/Vとは

mV/Vは、ひずみゲージ式ロードセルの定格出力でよく使用される単位であり、ブリッジ印加電圧1Vあたり何mVの信号を出力するかを表す。例えば、定格出力が2mV/Vのロードセルへ10Vを印加した場合、無負荷時との差として定格荷重時に得られる出力は約20mVとなる。そのため、ロードセルとアンプや指示計を組み合わせる際には、ロードセルの定格出力だけでなく、印加電圧や接続機器側の入力範囲なども確認する必要がある。

— COMPARISON ロードセルと他のセンサ・測定機器との違い

ロードセルと似た目的で使用される機器には、フォースセンサ、圧力センサ、トルクセンサなどがある。名称だけで判断するのではなく、「何を測定するのか」と「どのような物理量として測定するのか」を確認すると違いを理解しやすい。

比較対象機器 測定する物理量 ロードセルとの具体的な違い・使い分け
フォースセンサ 力(広義) フォースセンサは「力を検出するセンサ」の総称。ロードセルも広い意味ではその一種。メーカーや分野での使い分けを確認し、測定原理・方向・容量で選ぶことが重要。
圧力センサ 単位面積あたりの力(Pa) ロードセルは「物体に加わる力そのもの(N, kgf)」を測定する。圧力センサは配管内の気体・液体など「単位面積あたりの圧力」を測定する。
トルクセンサ 回転方向の力(N・m) ロードセルは「直線方向に加わる荷重」を測定する。トルクセンサはモータや回転軸などの「回転方向の力(トルク)」を測定する。
はかり(電子秤) 重量(完成装置) ロードセルは荷重を電気信号に変える「単体部品センサ」。はかりはロードセル、計量台、表示用指示計などを組み上げた「完成装置」。

— FREQUENTLY ASKED QUESTIONS よくある質問

A. ロードセルは、物体に加わる荷重や力を測定するセンサである。重量だけでなく、圧縮力、引張力、張力などの測定にも使用される。

A. ロードセルは、測定原理、荷重方向、形状などによって分類できる。測定原理では、ひずみゲージ式、圧電式、静電容量式などがある。荷重方向では圧縮型、引張型、引張・圧縮型があり、形状ではS字型、ビーム型、シングルポイント型、コラム型、ボタン型・薄型などがある。用途に応じて、これらの特徴に加えて定格容量や精度、使用環境などを確認して選定する。

A. 通常時の最大荷重だけでなく、治具などによって加わる荷重、衝撃、偏荷重なども考慮して定格容量を選定する。実際の使用条件で定格容量や許容される荷重を超えないことが重要である。

A. 一般的なひずみゲージ式ロードセルの電圧出力は小さいため、アンプ、変換器、指示計などを組み合わせて使用することが多い。アンプやデジタル変換機能を内蔵したロードセルもあるため、製品仕様を確認する必要がある。

A. 正しい荷重値を得るため、ロードセルを含む計測システムでは校正や設定が行われる。必要な校正方法や周期は、用途、要求精度、使用環境、品質管理基準などによって異なる。

A. 偏荷重や横荷重、不適切な取り付け、温度変化、配線、電気的ノイズ、ロードセルや周辺機器の異常などが考えられる。測定値に異常がある場合は、ロードセルだけでなく、設置状態や計測システム全体を確認する必要がある。

A. まず測定対象、荷重方向、必要な定格容量を明確にする。そのうえで、要求精度、形状・取り付け条件、使用環境、出力方式、接続するアンプや指示計などを確認する。

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ロードセルを使用した計測システムでは、ロードセル単体だけでなく、信号処理機器や表示・記録機器などを組み合わせて使用する。

■ ロードセルと組み合わせて使用する機器

ロードセルアンプ デジタル指標計 信号変換器 データロガー PLC 計測ソフトウェア ジャンクションボックス ロッドエンド 取り付け治具

■ ロードセルを構成する部品

ひずみゲージ :ひずみゲージ式ロードセルでは、起歪体に取り付けられたひずみゲージによって、荷重による微小な変形を電気抵抗の変化として検出する。ひずみゲージはロードセルとは別の測定機器というより、ひずみゲージ式ロードセルを構成する主要な検出要素の一つである。

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