人工知能によるカメラベースのキャップ制御
2021/04/21
アイ・ディー・エス(IDS imaging)株式会社
飲料水およびボトル業界は、価格面での強い圧力と高品質の要求という、多数の業界が従来から抱えるジレンマに悩んでいました。フランスのプラスチック製キャップメーカーの品質部門も、こうした事態に陥っていました。40種類のカラーと色調を備えたプラスチック製キャップのひび割れや微小な亀裂を、高速で運転される生産ライン上で確実に検出するという課題に取り組まなければなりません。フランス・ナンシーにあるAPREX Solutionsは、画像処理技術と人工知能の支援により、この目標の達成に成功しました。ベースとなる画像は、IDS Imaging Development Systems GmbHのUSB 3カメラから提供されています。
SOLOCAPは1880年から風味調整剤を製造しているLa Maison Mélan Moutetの子会社で、Contrexévilleにある製造拠点で食品分野向けのプラスチック製キャップを製造しています。中でも、スクリューキャップはあらゆる種類のガラスまたはPETボトルに適した最高品質を誇ります。ボトルカラー周囲に締め付け可能なラメラリングを配置し、すばやく簡単に、しっかり確実に密閉できます。しかし、ひび、裂け目、ねじれがないか、生産時にスレートを慎重かつ確実にチェックしなければなりません。確実に密閉できることを保証するには、この方法しかありません。
以前の検査システムでは、こうした高い要求を満たせませんでした。APREX Solutionsでは、インハウスのソフトウェアアルゴリズムに基づく人工知能による新しいソリューションを独自に実現しました。顧客との協力により、必要な仕様を事前に開発しました。これには複数の検査ステージも含まれており、誤判定を防ぐための拒否制御もこの中にありました。この作業は2段階で開始されました。
まず、インテリジェントなAPREX Track AIソリューションを使って、指定した「SOLOCAPアプリケーション」をトレーニングしました。ソフトウェアにはさまざまな物体検出器、分類器、各レベルで動作する標準メソッドが含まれています。これらが適切に組み合わされて、顧客に合わせた結果を出力します。複数のテストポイントを持つ4つの制御レベルで、99.99%を超える信頼度を保証します。
2番目のステップでは、APREX Track C&Mでの最初のアセンブリ実行の直後に、このアプリケーションを生産ラインに実装します。APREX Track C&Mは産業セクターでの多様な画像処理要件専用に開発されています。具体的には、生産ラインの制御と保護から測定、生産環境での欠陥の識別および分類が含まれています。ソフトウェアスイートからは、目的の結果がすばやく効率的に得られ、時間がかかる開発プロセスは不要です。AIメソッドを短期間トレーニングした後、システム全体を顧客側で使用できるようになります。
SOLOCAPの場合は、IDS UI-3280CP-C-HQ産業用カメラ、強力なリング照明、プログラム可能ロジックコントローラー(PLC)を組み合わせて、すべての検査で包括的な制御を実現します。同時に、すべてのワークフローをリアルタイムで記録し、完全なトレーサビリティを実現します。これに必要となるカメラは1台1/3だけです。それでも、APREX TRACK C&Mは最大5台のカメラを処理できます。
「このプロジェクトの難しさは主に、見つけようとしている欠陥は非常に微細であり、カラーも多岐にわたっていることにあります。このソフトウェアスイートにより、画像処理アプリケーションをすばやくセットアップできました。複雑であったにもかかわらずです」と、APREX Solutionsの創立者であるRomain Baude氏は説明します。カメラからの画像は評価の基準となります。生産ライン上のキャップそれぞれを高速で直接撮影し、どれほど微小な細部でもソフトウェアで視覚化できるようにします。
■欠かせない要素:カメラ
UI-3280CP-C-HQ産業用カメラをSony製5 MP IMX264 CMOSセンサー搭載のシステムに統合したことで、光感度、ダイナミックレンジ、色再現において新たな基準が打ち立てられました。USB 3産業用カメラは、最大36fpsのフレームレートで、他にはない低ノイズパフォーマンスを発揮し、非常に高い画質を実現します。CPは「コンパクトパワー」を示しています。その理由は、小型でありながら強力で、あらゆる種類の産業用途向けに高速かつ確実に動作し、低CPU負荷で420MByte/sの高データレートを発揮するからです。Sony、CMOSIS、e2v、ON Semiconductorなどのメーカーによる、さまざまな解像度の多数の先進的なCMOSセンサーから選択できます。わずか29×29×29mmの画期的な特許取得済みハウジング設計で、オートメーション、自動車、医療技術およびライフサイエンス、農業、物流、さらには交通および運輸などの分野におけるタスクに最適です。ねじ止め式ケーブルなので電気的接続は確実です。IDS固有のプラグアンドプレイの原則により、カメラはシステムから自動認識され、すぐに使用できます。Romain Baude氏は次のように受け合っています。
UI-3280CP-C-HQの卓越した色再現と5MPという高高解像度は、カメラを選ぶ際の決定打となりました。さらに、このモデルは当社のシステムにすばやく容易に統合できました。
~APREX Solutions創立者、Romain Baude氏~
■今後の予定
SOLOCAPのテクノロジーおよび産業統括責任者 Anthony Vastel氏は、新しい検査システムには可能性が豊富にあると見ています。「APREXのAIベースのアプローチにより、完全なビジョンベースの品質管理に新たな道が開けました。当社の要件には、製品の安全性に加えて、特に誤判定があった場合の拒否制御もありましたが、すぐに対応できました。さらにもう一歩前進して、SOLOCAPでシステムの効率性を向上させ、他の生産ラインにも導入を進められると確信しています」AIは品質保証を実現しますが、画像処理技術が使用されるその他のすべての産業でも、これまで夢でしかなかった新たな用途が可能になります。従来のルールベースの画像処理では限界に達しているタスクを、解決できるようになります。このため、比較的少ない労力で、高品質の結果をすばやく効率的に、独創的な方法で得られます。
APREX SolutionsとIDSはこの点を認識し、インテリジェントな製品を備えたソリューションを提供し、この新しい世界にお客様が足を踏み入れやすくしています。画像処理とAIの組み合わせはまさにドリームチームであり、さらに成長を続けています。
■クライアント
ディープテック企業である APREX Solutionsは、産業プラントでのプロセスの開発、最適化、制御、安全性におけるアプリケーションのアルゴリズムとソフトウェアを開発しています。生産の安全性の効率化と向上により、インダストリー4.0への移行に貢献することを目指しています。
https://www.aprex-solutions.com/
■IDS Imaging Development Systems GmbHについて
産業用カメラメーカー IDS Imaging Development Systems GmbHは、高性能で使いやすいUSB、GigEおよび3Dカメラを開発し、多彩なセンサーとモデルを取り揃えています。その応用範囲は無限といっても過言ではありません。研究開発分野でも、装置や工場設備など機械工学を始めとする産業分野でもさまざまな活躍をしています。定評のあるCMOSセンサーカメラに加えて、IDSではビジョンアプリベースのセンサーとカメラも製品ラインナップとして展開しています。なかでも斬新な画像処理プラットフォーム IDS NXTは、自由にプログラミングでき、汎用性に優れています。
1997年に社員2人の会社として創立して以来、IDSは、社員330名以上の独立したISO認定ファミリー企業へとグローバルな発展を遂げました。本社はドイツ・オーバーズルム(バーデン=ヴュルテンベルク)にあり、開発と生産を一貫して担っています。またアメリカ、日本、韓国、イギリスの支社およびヨーロッパ諸国のオフィスによって、IDSは国際的なプレゼンスを確立しています。
SOLOCAPは1880年から風味調整剤を製造しているLa Maison Mélan Moutetの子会社で、Contrexévilleにある製造拠点で食品分野向けのプラスチック製キャップを製造しています。中でも、スクリューキャップはあらゆる種類のガラスまたはPETボトルに適した最高品質を誇ります。ボトルカラー周囲に締め付け可能なラメラリングを配置し、すばやく簡単に、しっかり確実に密閉できます。しかし、ひび、裂け目、ねじれがないか、生産時にスレートを慎重かつ確実にチェックしなければなりません。確実に密閉できることを保証するには、この方法しかありません。
以前の検査システムでは、こうした高い要求を満たせませんでした。APREX Solutionsでは、インハウスのソフトウェアアルゴリズムに基づく人工知能による新しいソリューションを独自に実現しました。顧客との協力により、必要な仕様を事前に開発しました。これには複数の検査ステージも含まれており、誤判定を防ぐための拒否制御もこの中にありました。この作業は2段階で開始されました。
まず、インテリジェントなAPREX Track AIソリューションを使って、指定した「SOLOCAPアプリケーション」をトレーニングしました。ソフトウェアにはさまざまな物体検出器、分類器、各レベルで動作する標準メソッドが含まれています。これらが適切に組み合わされて、顧客に合わせた結果を出力します。複数のテストポイントを持つ4つの制御レベルで、99.99%を超える信頼度を保証します。
2番目のステップでは、APREX Track C&Mでの最初のアセンブリ実行の直後に、このアプリケーションを生産ラインに実装します。APREX Track C&Mは産業セクターでの多様な画像処理要件専用に開発されています。具体的には、生産ラインの制御と保護から測定、生産環境での欠陥の識別および分類が含まれています。ソフトウェアスイートからは、目的の結果がすばやく効率的に得られ、時間がかかる開発プロセスは不要です。AIメソッドを短期間トレーニングした後、システム全体を顧客側で使用できるようになります。
SOLOCAPの場合は、IDS UI-3280CP-C-HQ産業用カメラ、強力なリング照明、プログラム可能ロジックコントローラー(PLC)を組み合わせて、すべての検査で包括的な制御を実現します。同時に、すべてのワークフローをリアルタイムで記録し、完全なトレーサビリティを実現します。これに必要となるカメラは1台1/3だけです。それでも、APREX TRACK C&Mは最大5台のカメラを処理できます。
「このプロジェクトの難しさは主に、見つけようとしている欠陥は非常に微細であり、カラーも多岐にわたっていることにあります。このソフトウェアスイートにより、画像処理アプリケーションをすばやくセットアップできました。複雑であったにもかかわらずです」と、APREX Solutionsの創立者であるRomain Baude氏は説明します。カメラからの画像は評価の基準となります。生産ライン上のキャップそれぞれを高速で直接撮影し、どれほど微小な細部でもソフトウェアで視覚化できるようにします。
■欠かせない要素:カメラ
UI-3280CP-C-HQ産業用カメラをSony製5 MP IMX264 CMOSセンサー搭載のシステムに統合したことで、光感度、ダイナミックレンジ、色再現において新たな基準が打ち立てられました。USB 3産業用カメラは、最大36fpsのフレームレートで、他にはない低ノイズパフォーマンスを発揮し、非常に高い画質を実現します。CPは「コンパクトパワー」を示しています。その理由は、小型でありながら強力で、あらゆる種類の産業用途向けに高速かつ確実に動作し、低CPU負荷で420MByte/sの高データレートを発揮するからです。Sony、CMOSIS、e2v、ON Semiconductorなどのメーカーによる、さまざまな解像度の多数の先進的なCMOSセンサーから選択できます。わずか29×29×29mmの画期的な特許取得済みハウジング設計で、オートメーション、自動車、医療技術およびライフサイエンス、農業、物流、さらには交通および運輸などの分野におけるタスクに最適です。ねじ止め式ケーブルなので電気的接続は確実です。IDS固有のプラグアンドプレイの原則により、カメラはシステムから自動認識され、すぐに使用できます。Romain Baude氏は次のように受け合っています。
UI-3280CP-C-HQの卓越した色再現と5MPという高高解像度は、カメラを選ぶ際の決定打となりました。さらに、このモデルは当社のシステムにすばやく容易に統合できました。
~APREX Solutions創立者、Romain Baude氏~
■今後の予定
SOLOCAPのテクノロジーおよび産業統括責任者 Anthony Vastel氏は、新しい検査システムには可能性が豊富にあると見ています。「APREXのAIベースのアプローチにより、完全なビジョンベースの品質管理に新たな道が開けました。当社の要件には、製品の安全性に加えて、特に誤判定があった場合の拒否制御もありましたが、すぐに対応できました。さらにもう一歩前進して、SOLOCAPでシステムの効率性を向上させ、他の生産ラインにも導入を進められると確信しています」AIは品質保証を実現しますが、画像処理技術が使用されるその他のすべての産業でも、これまで夢でしかなかった新たな用途が可能になります。従来のルールベースの画像処理では限界に達しているタスクを、解決できるようになります。このため、比較的少ない労力で、高品質の結果をすばやく効率的に、独創的な方法で得られます。
APREX SolutionsとIDSはこの点を認識し、インテリジェントな製品を備えたソリューションを提供し、この新しい世界にお客様が足を踏み入れやすくしています。画像処理とAIの組み合わせはまさにドリームチームであり、さらに成長を続けています。
■クライアント
ディープテック企業である APREX Solutionsは、産業プラントでのプロセスの開発、最適化、制御、安全性におけるアプリケーションのアルゴリズムとソフトウェアを開発しています。生産の安全性の効率化と向上により、インダストリー4.0への移行に貢献することを目指しています。
https://www.aprex-solutions.com/
■IDS Imaging Development Systems GmbHについて
産業用カメラメーカー IDS Imaging Development Systems GmbHは、高性能で使いやすいUSB、GigEおよび3Dカメラを開発し、多彩なセンサーとモデルを取り揃えています。その応用範囲は無限といっても過言ではありません。研究開発分野でも、装置や工場設備など機械工学を始めとする産業分野でもさまざまな活躍をしています。定評のあるCMOSセンサーカメラに加えて、IDSではビジョンアプリベースのセンサーとカメラも製品ラインナップとして展開しています。なかでも斬新な画像処理プラットフォーム IDS NXTは、自由にプログラミングでき、汎用性に優れています。
1997年に社員2人の会社として創立して以来、IDSは、社員330名以上の独立したISO認定ファミリー企業へとグローバルな発展を遂げました。本社はドイツ・オーバーズルム(バーデン=ヴュルテンベルク)にあり、開発と生産を一貫して担っています。またアメリカ、日本、韓国、イギリスの支社およびヨーロッパ諸国のオフィスによって、IDSは国際的なプレゼンスを確立しています。