ワクチン容器の品質管理向けのインテリジェントなマルチカメラシステム
2021/05/10
アイ・ディー・エス(IDS imaging)株式会社
新型コロナウイルスの感染拡大との戦いは、世界中で最重要事項となっています。国民にワクチンをできる限り速やかに供給するための取り組みが、世界各地で行われています。しかし、世界中で1人1回接種するとしておよそ80億回分を用意するのは、簡単なことではありません。ガラス製容器は、数十億回分ものワクチンを供給できるかどうかの決定的な要因です。世界で毎年約50億本が製造されています。現在容器メーカーは、サプライチェーンで文字通りボトルネックにならないように、生産を急ピッチで進めています。しかし、医療レベルのワクチン容器は標準的なガラス管ではありません。リム付ボトル、ねじ口びん、アンプルなどは、特殊なホウケイ酸ガラスで製造されており、それに合わせた生産ラインが必要です。化学干渉によってワクチンに影響がおよびかねないので、容器と内部液体との反応を防ぐ必要があります。どれほど微細でも傷、ひび、亀裂があると、バッチ全体が使用できなくなり、充填プロセス中のラインが汚染され、さらには操業停止に至る可能性さえあります。
メーカーに寄せられる要求は多大なものです。ただ大量の製品を迅速に生産するというだけではなく、とりわけ厳しい高品質の基準を維持する必要があります。同時に、生産能力の増大にも、多大な時間とコストがかかるものです。そこで登場したのが、バート・ケーニヒスホーフェン(ドイツ)の会社が開発した、ワクチン容器を検査するための、コスト効果に優れ、容易に統合でき、極めて信頼性の高いソリューションです。Isotronic GmbHはガラス管自動検査システム VialCheckerを開発しました。uEye CPカメラファミリーのIDS産業用カメラが、寸法および表面検査の画像処理コンポーネントとして使用されています。
■用途
ワクチン容器の容量は通常、2~100mlです。平均して高さは45mm、幅は11.5mmです。保管や輸送時、さらには高温・低温時にも、必要とされる安定した状態を維持するため、この用途にはホウケイ酸ガラスを使用されます。貴重な内容物向けの小型容器には要件が課せられます。それと同時に、最短の時間で大量のワクチンを今生産しなければなりません。必要となるのは、欠陥検出による非常に迅速な品質管理です。それはどのような仕組みなのでしょうか。
まず、高解像度センサーを搭載した高性能カメラにより、高フレームレートを実現します。そして、IDSuEye CPファミリーのGigE産業用カメラと、産業用途のタッチスクリーンモニター、制御キャビネット、各生産システムへの接続、インテリジェントなソフトウェアを組み合わせます。VialCheckerは、ワクチン容器の寸法および表面を自動検査するオールインワンの検査システムの名前で、2つのバージョンがあります。寸法の適合性は"VialChecker Geometry"で、各容器の表面の欠陥検査は"VialChecker Cosmetic"でチェックします。欠陥の検査は、ジオメトリ検査の一部として使用したり、別のシステムとしてさらに要求の厳しいタスクを実行したりできます。
VialChecker Geometryには50を超える寸法チェックが含まれ、最大測定精度0.01mmで標準および非標準のガラス管製品のテストを実行します。強力なカメラを活用して、ひび、キズ、欠け、含有物、汚れなどの欠陥を、0.1平方ミリの精度で検出します。インテリジェントなソフトウェアによって、欠陥の詳細を正確分析し、分類できます。
容器が形成された直後や、パッケージングの直前など、テストは製造プロセスのさまざまな時点で実施されます。システムでは通常3~8台のカメラに対応するので、生産ラインに沿って異なる測定ステーションを設置できます。「ガラス厚を測定するなど、お客様の要件に応じて、適切なセンサーやカメラをシステムに指定または追加します」と、IsotronicのCOOであるValentin Mayer-Eichberger氏は説明します。「9台以上のカメラが必要な場合、複数のコンピューターを操作に加えられます」たとえば、横向きに回転するガラス管やガラスの底面を観測して、高解像度画像を提供します。
カメラは回転ごとに20枚以上の画像を撮影し、VialCheckerは毎分120本の容器を非常に高い精度でチェックします。最大精度は寸法テストでは0.01mm、外観テストでは0.1平方ミリです。遅延が短いリアルタイムの処理に加えて、システム操作の詳細なログがあります。信頼性の高いソフトウェアなので、製品が形状面での仕様に準拠し、欠陥がなく、品質要件に適合させることができます。
要件および検査タスクに応じて、測定ステーションには異なるカメラモデルが必要になります。現在、Isotronic では主にIDSカメラファミリーGigE uEye CPを使用しています。広範なピクセル前処理で機能が最大限に発揮され、120MB内蔵画像メモリを画像シーケンスのバッファリングに利用できるので、VialCheckerなどのマルチカメラシステムに最適です。PoE(Powerover Ethernet)でGigEのフル速度でデータを転送し、ケーブル1本で100mまで動作できます。
推奨されるモデルの1つが2メガピクセルCMOSセンサー搭載のUI-5250CP-M-GLで、IDSのポートフォリオのの中でも最も感度の高いセンサーです。モノクロとカラーの2種類があり、卓越した光感度という特徴があります。さらに、各種の切り替え可能なシャッターモデルがあり、移動する物体を実物どおりに撮影し、ノイズが極めて少ない録画を実現します。「ガラス表面の欠陥をすばやく確実に検出するためには、特に重要です」とValentin Mayer-Eichberger氏はIDSのuEyeカメラを選んだ理由を説明します。このため、複数の特性を同時にチェックしたり、パラメーターを変えて露出してAOIを取得したりすることができます。小型ながら強力で、フレームレート52fpsを実現し、生産ラインに沿ってさまざまな検査タスクを高速で実施できます。「このシステムでは高速で処理することができ、最大で毎分120サイクルを処理できます」とValentin Mayer-Eichberger氏は請け合います。カメラの卓越した性能はもちろんですが、他にも重要な働きがあります。
■ソフトウェア
IDSカメラはC++を使用して直接システムに接続されます。お客様の企業専用に開発されたソフトウェアアルゴリズムで欠陥を検出し、モニターにエラーメッセージを出力します。「良品と不良品を報告する測定システムだけでなく、各製品の品質を記録し、経時的に統計を表示するシステムが実現しました。機械の調整担当者はこれを使用してすべてが正しいかをチェックし、容器がうまく調整されていることを確認します」
Isotronicソフトウェアには、顧客のニーズに合わせて開発された、使いやすくユーザーに配慮したインターフェースが搭載されています。さらに、VialCheckerはリモートサポート向けに最適化され、継続的にアップデートとソフトウェア改善が施されます。Valentin Mayer Eichberger氏は次のように確信しています。「これはダイナミックで持続可能なシステムの基礎です。欠陥分類などの要件の厳しいタスクに機械学習を使用します。大量のデータを処理するためのオンサイトまたはクラウドベースのソリューションや、詳細な分析およびプロセス最適化は、サービス範囲の一部です。たとえば、欠陥が起きる頻度を分析し、工具の摩耗を監視して警告を発することができます。生産監視のクラウドサービスの範囲は幅広いものです。「生産の終了時には、品質尺度ごとにグラフを計算します。測定システムの受け入れとして、測定精度の認定書を発行できます」
■今後の予定
専門家は、ワクチン容器へのグローバルな需要は、今後2年間で10~20億本にまで増加すると予測しています。大手ワクチンメーカーの1社であるAstraZenecaの責任者は、次のようにパンデミックについて早期に警告していました。「世の中には十分な量の容器がありません」世界中のワクチン容器メーカーは、貴重な液体を保護するガラス容器の生産を急ピッチで進めています。この貴重な液体を適切に保護するため、極めて厳しい品質要件を保証する高性能の試験システムがこれまで以上に必要になります。「さらに、この業界は全般的に成長しており、アジア地域からの需要が伸びています。これはパンデミック以前からの傾向です」とValentin Mayer Eichberger氏は語ります。VialCheckerのようなシステムにとっては、格好の3/4顧客です。ワクチンのサプライチェーンにおいてメーカーがボトルネックとならないようにします。
メーカーに寄せられる要求は多大なものです。ただ大量の製品を迅速に生産するというだけではなく、とりわけ厳しい高品質の基準を維持する必要があります。同時に、生産能力の増大にも、多大な時間とコストがかかるものです。そこで登場したのが、バート・ケーニヒスホーフェン(ドイツ)の会社が開発した、ワクチン容器を検査するための、コスト効果に優れ、容易に統合でき、極めて信頼性の高いソリューションです。Isotronic GmbHはガラス管自動検査システム VialCheckerを開発しました。uEye CPカメラファミリーのIDS産業用カメラが、寸法および表面検査の画像処理コンポーネントとして使用されています。
■用途
ワクチン容器の容量は通常、2~100mlです。平均して高さは45mm、幅は11.5mmです。保管や輸送時、さらには高温・低温時にも、必要とされる安定した状態を維持するため、この用途にはホウケイ酸ガラスを使用されます。貴重な内容物向けの小型容器には要件が課せられます。それと同時に、最短の時間で大量のワクチンを今生産しなければなりません。必要となるのは、欠陥検出による非常に迅速な品質管理です。それはどのような仕組みなのでしょうか。
まず、高解像度センサーを搭載した高性能カメラにより、高フレームレートを実現します。そして、IDSuEye CPファミリーのGigE産業用カメラと、産業用途のタッチスクリーンモニター、制御キャビネット、各生産システムへの接続、インテリジェントなソフトウェアを組み合わせます。VialCheckerは、ワクチン容器の寸法および表面を自動検査するオールインワンの検査システムの名前で、2つのバージョンがあります。寸法の適合性は"VialChecker Geometry"で、各容器の表面の欠陥検査は"VialChecker Cosmetic"でチェックします。欠陥の検査は、ジオメトリ検査の一部として使用したり、別のシステムとしてさらに要求の厳しいタスクを実行したりできます。
VialChecker Geometryには50を超える寸法チェックが含まれ、最大測定精度0.01mmで標準および非標準のガラス管製品のテストを実行します。強力なカメラを活用して、ひび、キズ、欠け、含有物、汚れなどの欠陥を、0.1平方ミリの精度で検出します。インテリジェントなソフトウェアによって、欠陥の詳細を正確分析し、分類できます。
容器が形成された直後や、パッケージングの直前など、テストは製造プロセスのさまざまな時点で実施されます。システムでは通常3~8台のカメラに対応するので、生産ラインに沿って異なる測定ステーションを設置できます。「ガラス厚を測定するなど、お客様の要件に応じて、適切なセンサーやカメラをシステムに指定または追加します」と、IsotronicのCOOであるValentin Mayer-Eichberger氏は説明します。「9台以上のカメラが必要な場合、複数のコンピューターを操作に加えられます」たとえば、横向きに回転するガラス管やガラスの底面を観測して、高解像度画像を提供します。
カメラは回転ごとに20枚以上の画像を撮影し、VialCheckerは毎分120本の容器を非常に高い精度でチェックします。最大精度は寸法テストでは0.01mm、外観テストでは0.1平方ミリです。遅延が短いリアルタイムの処理に加えて、システム操作の詳細なログがあります。信頼性の高いソフトウェアなので、製品が形状面での仕様に準拠し、欠陥がなく、品質要件に適合させることができます。
要件および検査タスクに応じて、測定ステーションには異なるカメラモデルが必要になります。現在、Isotronic では主にIDSカメラファミリーGigE uEye CPを使用しています。広範なピクセル前処理で機能が最大限に発揮され、120MB内蔵画像メモリを画像シーケンスのバッファリングに利用できるので、VialCheckerなどのマルチカメラシステムに最適です。PoE(Powerover Ethernet)でGigEのフル速度でデータを転送し、ケーブル1本で100mまで動作できます。
推奨されるモデルの1つが2メガピクセルCMOSセンサー搭載のUI-5250CP-M-GLで、IDSのポートフォリオのの中でも最も感度の高いセンサーです。モノクロとカラーの2種類があり、卓越した光感度という特徴があります。さらに、各種の切り替え可能なシャッターモデルがあり、移動する物体を実物どおりに撮影し、ノイズが極めて少ない録画を実現します。「ガラス表面の欠陥をすばやく確実に検出するためには、特に重要です」とValentin Mayer-Eichberger氏はIDSのuEyeカメラを選んだ理由を説明します。このため、複数の特性を同時にチェックしたり、パラメーターを変えて露出してAOIを取得したりすることができます。小型ながら強力で、フレームレート52fpsを実現し、生産ラインに沿ってさまざまな検査タスクを高速で実施できます。「このシステムでは高速で処理することができ、最大で毎分120サイクルを処理できます」とValentin Mayer-Eichberger氏は請け合います。カメラの卓越した性能はもちろんですが、他にも重要な働きがあります。
■ソフトウェア
IDSカメラはC++を使用して直接システムに接続されます。お客様の企業専用に開発されたソフトウェアアルゴリズムで欠陥を検出し、モニターにエラーメッセージを出力します。「良品と不良品を報告する測定システムだけでなく、各製品の品質を記録し、経時的に統計を表示するシステムが実現しました。機械の調整担当者はこれを使用してすべてが正しいかをチェックし、容器がうまく調整されていることを確認します」
Isotronicソフトウェアには、顧客のニーズに合わせて開発された、使いやすくユーザーに配慮したインターフェースが搭載されています。さらに、VialCheckerはリモートサポート向けに最適化され、継続的にアップデートとソフトウェア改善が施されます。Valentin Mayer Eichberger氏は次のように確信しています。「これはダイナミックで持続可能なシステムの基礎です。欠陥分類などの要件の厳しいタスクに機械学習を使用します。大量のデータを処理するためのオンサイトまたはクラウドベースのソリューションや、詳細な分析およびプロセス最適化は、サービス範囲の一部です。たとえば、欠陥が起きる頻度を分析し、工具の摩耗を監視して警告を発することができます。生産監視のクラウドサービスの範囲は幅広いものです。「生産の終了時には、品質尺度ごとにグラフを計算します。測定システムの受け入れとして、測定精度の認定書を発行できます」
■今後の予定
専門家は、ワクチン容器へのグローバルな需要は、今後2年間で10~20億本にまで増加すると予測しています。大手ワクチンメーカーの1社であるAstraZenecaの責任者は、次のようにパンデミックについて早期に警告していました。「世の中には十分な量の容器がありません」世界中のワクチン容器メーカーは、貴重な液体を保護するガラス容器の生産を急ピッチで進めています。この貴重な液体を適切に保護するため、極めて厳しい品質要件を保証する高性能の試験システムがこれまで以上に必要になります。「さらに、この業界は全般的に成長しており、アジア地域からの需要が伸びています。これはパンデミック以前からの傾向です」とValentin Mayer Eichberger氏は語ります。VialCheckerのようなシステムにとっては、格好の3/4顧客です。ワクチンのサプライチェーンにおいてメーカーがボトルネックとならないようにします。