高温環境下でも熱暴走しない超低IRショットキーバリアダイオードを開発、車載・電源機器の消費電力を約40%削減
半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、車載・電源機器向けに、高温環境下でも使用可能な超低IRショットキーバリアダイオード「RBxx8シリーズ」を開発しました。従来、車載向けに使用されていた整流ダイオードに比べて、消費電力を約40%削減することが可能になり、電気自動車(EV)やハイブリッドカー(HEV)など、低消費電力化を求める回路の省エネルギー化に大きく貢献します。
本製品は、1月からサンプル出荷(サンプル価格50〜200円/個)を開始しており、5月から月産100万個の体制で量産を開始します。生産拠点は、前工程がローム・ワコー株式会社(岡山県)、後工程がROHM-Wako Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.(マレーシア)、ROHM Integrated Systems (Thailand) Co.,Ltd.(タイ)、ROHM Korea Corporation(韓国)となります。
<背景>
高温環境下で使用される車載・電源機器の回路では、熱暴走の懸念から整流ダイオードやファストリカバリ―ダイオード(FRD)が一般的に使用されています。しかし、整流ダイオードやFRDはVF値が高いため、EVやHEVで求められる消費電力低減を実現することが難しくなります。
こうした中、VF値が低いショットキーバリアダイオード(SBD)を、高温環境下でも安全に使用できる製品の開発要求が年々高まっています。
<新製品の詳細>
今回、ロームでは、高温環境に最適なメタルを採用することにより、業界トップクラスの低IR化を実現。従来のSBDに比べてIRを約1/100に低減し、高温環境下での使用が可能となりました。
これにより、整流ダイオードやFRDからの置き換えが可能となり、VF特性の大幅な改善を実現しました(従来FRDに比べてVFを約40%低減)。また、低VF化により発熱を抑えることができ、パッケージの小型化にも成功。電子化が進み、小型化要求が高まっているEV、HEVの省スペース化にも貢献します。
ロームでは、今後、さらに整流ダイオードからの置き換えによる低VF化、小型化を進め、車載・電源機器の効率アップに貢献してまいります。なお、本製品は、7月11日(水)〜13日(金)に 東京ビッグサイトで開催される「TECHNO-FRONTIER 2012」のロームブースで展示する予定です。ぜひご来場ください。
ロームは今後も独自の技術を活かして、お客様のニーズに沿ったダイオード製品開発を進めるとともに、さらなる製品シリーズの拡充に努めてまいります。
<特長>
・従来品に比べて、損失を約40%削減
車載用途で一般的に使用されていたFRDに比べて、VFを約40%削減。低消費電力に貢献します。
・小型パッケージで省スペース化に貢献
従来品に比べて、ワンサイズ小型パッケージでの設計が可能になります。
・高温環境下でも熱暴走しない
超低IRを実現することで、Ta=150℃でも熱暴走せず、車載などの高温環境下での使用が可能です。
