デジタルAGC機能を搭載したホール素子内蔵ファンモータドライバを開発。小型化、低消費電力化に加え、回転効率・騒音特性も大幅に向上
半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、ノートPCやタブレット端末、ゲーム機などの冷却用ファンに最適なホール素子内蔵ファンモータドライバ「BU6904GF/NUX」、「BU6906GF/NUX」を開発しました。
ホール素子内蔵のファンモータドライバとしては※業界で初めてデジタル AGC(Automatic Gain Control)機能を搭載。小型薄型化、低消費電力化だけでなく、駆動音の低減にも大きく貢献し、小型でありながら静かにしっかり冷却できるファンモータの実現が可能です。
本製品は、2012年4月からサンプル出荷(サンプル価格:150円)を開始し、2012年8月から当面月産30万個の規模で量産を開始。生産拠点は前工程をローム株式会社 本社(京都)、後工程をROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)で行う予定です。
<背景>
電子機器の高性能化・高速化に伴って冷却用ファンモータは様々な用途に使われていますが、信号の検出精度などモータ特性の点から、ホールICとモータドライバを別々に実装する2チップ構成が主流となっています。しかし、ノートPCなどの小型機器においては、ますます実装スペースが厳しくなっており、小型薄型化や部品点数削減の観点からホール素子内蔵タイプの要求が高まっていました。
<新製品の詳細>
今回ロームでは、CMOSプロセスの採用と独自の回路技術により、チップサイズを大幅に低減。ホール素子を内蔵して部品点数を削減するだけでなく、従来のホールICと同等の小型薄型パッケージを実現しました。さらに同タイプとしては業界で初めてデジタル AGC機能を搭載。ホール信号のリニア検出とPWMソフトスイッチング駆動との組み合わせにより、課題であったホール信号波形のバラツキを克服し、回転効率と騒音特性を大幅に向上させました。
ロームは、モータドライバの世界的なリーディングカンパニーであり、システムレンズドライバ、システムモータドライバ、ファンモータドライバなどの充実したラインアップを取り揃え、幅広いお客様のニーズに対応して高い評価を得ています。携帯電話、デジタルカメラ等モバイル機器の小型化、高機能化がより一層進む中、ロームでは、今後もモータドライバの開発に取り組み、セットの進化に貢献してまいりたいと考えています。
<特長>
1) 業界初、ホール素子内蔵でデジタル AGC機能搭載 〜AGC機能によるゲイン補正で騒音特性も改善〜
ホール信号は、ファンモータ内部の環境変化の影響を受けて、その振幅にバラツキが発生します。例えば、ファンモータ内部のローターは回転する際、どうしても多少の上下をしてしまいます。当然、距離が近くなれば、感度があがり、ホール振幅も大きくなります。また、磁石の磁界の強弱にも個体差があるほか、ホール素子の温度特性も影響します。 これらをAGC機能によって、最適な振幅に補正することで、騒音特性を改善しています。
?ホール振幅が大きくなる場合 (主な要因:ローターの距離が近い、磁石の磁界特性が強い)
?ホール振幅が小さくなる場合 (主な要因:ローターの距離が遠い、磁石の磁界特性が弱い)
2) PWMソフトスイッチング駆動により、回転効率、騒音特性改善
3) 小型薄型パッケージの採用によりモータユニットの薄型化に貢献
