三菱重工業、ローム、凸版印刷、三井物産他合弁で照明用有機ELパネルの事業性検証会社を設立
同社は、各親会社が保有する技術や資源の結集を図って、有機EL照明の事業化を実現していく推進母体として設立した。具体的には、有機ELパネルの更なる性能向上のための開発を加速させるとともに、サンプルパネルの販売を通して、既存光源の代替だけでなく、幅広い用途への応用や、新しい需要開拓の可能性を追求していく。当面の主業務は事業性の検証となるが、照明用有機EL専業会社の設立は、同社が世界で初めて。
同社の資本金及び資本準備金は14億円。三菱重工が51%を出資し、残りをローム(34.0%)、凸版印刷(9.9%)、三井物産(5.0%)、城戸淳二(0.1%)の各社・個人が出資した。社長は三菱重工から重永久夫(機械・鉄構事業本部副事業本部長)が就任した。本社所在地は山形県米沢市で、山形県の支援も受ける予定。当面は従業員20人体制で運営していく。
有機ELパネルは、白熱球・蛍光管などの従来型光源や、LED(発光ダイオード)にはない優れた特長を有し、次世代の照明用光源として期待されている。
具体的には
1. 面発光で、極薄・軽量であるため、これまでにない照明デザインや演出を生み出し、住宅やオフィス、店舗、航空機や車両などの乗り物で、新たな居住空間を創出する。
2. 紫外線を含まず均一でムラのない柔らかい光は、肌や目にやさしいばかりでなく、演色性も高いため、美術館や商品ケース、化粧台などで、安全かつ付加価値の高い照明を実現する。
3. 水銀など有害物を含まないことに加え、将来は蛍光管の電力効率を上回って、省エネルギー化による二酸化炭素(CO2)の削減効果が期待できる、など。
今回の合弁会社設立は、これまでトレードオフの関係にあるとされてきた、高輝度化と長寿命化を両立させる素子構造の開発や、材料の利用効率を格段に高める高速で大型の製造装置(大型リニア蒸発源式インライン成膜装置)の実現に目処がついたことを受けたもので、今後、照明用有機ELパネルの事業化を強力に推し進めていく。
