Wi-SUNを搭載したFutureNet MA-E360/LWS、MA-E360/WS、SA-130シリーズを発売
FutureNet MA-E360/LWSとFutureNet SA-130シリーズ、FutureNet MA-E360/WSは、各種センサとIPネットワークをワイヤレスで接続するためにWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)を利用します。Wi-SUNは、日本で2012年に開放された920MHz(サブギガ帯)のアンライセンスバンド(無線局免許を必要としない周波数帯)を利用する国際無線通信規格です。日本の情報通信研究機構(NICT)が中心となって規格策定し、IEEEによってIEEE 802.15.4g(物理層)および4e(MAC層)として国際標準化されています。現在、業界団体のWi-SUN アライアンスが普及活動と対応機器の規格認証、相互接続性認証を行っており、異なるメーカ間でも高い相互接続性を確保しています。日本での利用に際しては電波法の観点からARIB STD T-108にも準拠します。
Wi-SUNは東京電力の「スマートメーター」でECHONET Lite(アプリケーション層)の下位層プロトコルとして採用(2013年~)されています。その他、インフラ施設・設備のモニタリング・制御、防災、農業、交通などIoTやM2M、センサネットワーク関連での利用が見込まれています。
FutureNet MA-E360/LWSとFutureNet SA-130シリーズ、FutureNet MA-E360/WSはいずれも市場での実績が豊富なローム株式会社のWi-SUN通信モジュール「BP35A1」を搭載しています。BP35A1は2015年に「Wi-SUN HAN(Home Area Network)」の認証を取得し、1対多の通信をサポートしています。
≪製品の特徴≫
■相互接続性が高いWi-SUN 特定小電力無線を利用
FutureNet MA-E360/LWSとFutureNet SA-130シリーズ、FutureNet MA-E360/WSが利用するWi-SUN無線通信は次の特徴を備えます。
・通信距離 500m(見通し、最大)
・通信速度 100kbps
・最大送信出力 20mW
・消費電力 送信時 46mA、受信時 30mA、待機時 9μA ※ Wi-SUN通信モジュール単体
・親機1台に対し16台までの子機との双方向通信が可能
920MHz帯の無線は2.4GHz帯の無線に比べ、通信距離が長い、回折性が高い、消費電力が小さいといった特徴があります。また、400MHz帯の無線と比べて高い通信速度を実現できます。また、2.4GHz帯や400MHz帯と異なり、電波法に基づく通信帯域の利用規制により(*1)、特定の機器が無線帯域を占有できないしくみが実現されているため、対象エリア内に多数のセンサがあっても安定した通信が可能です。
■ワイヤレスのIoTシステムを実現
無線通信の環境は、センサ側で利用する無線子機と、そのデータを受ける側で利用する無線親機の組み合わせで構成します。Wi-SUN では双方向の通信が可能なため、子機と親機間での送達確認や再送処理により確実な通信がおこなえるのが特徴です。FutureNet MA-E360/LWSは、16台までのWi-SUN 無線子機との間でデータやコマンド、イベント通知等を双方向でやりとりするゲートウェイ機能を備えます。
また、FutureNet SA-130シリーズおよびFutureNet MA-E360/WSは無線子機の機能とセンサ/デバイスを接続する機能を備えます。これらの組み合わせにより、IoTシステムで利用される様々なセンサや制御装置をワイヤレスでネットワーク化できます。また、セキュリティについてはWi-SUNが規格化している親機子機間の認証と通信暗号化のためのしくみを利用します。
■耐環境性と幅広いインタフェース対応
FutureNet MA-E360/LWSとFutureNet SA-130シリーズ、FutureNet MA-E360/WSは無人の環境や屋外、半屋外での利用を想定した耐環境性を備えて動作温度は-20℃~60℃の温度範囲を保証しています。
FutureNet MA-E360/LWS、FutureNet MA-E360/WSを含むFutureNet MA-E300シリーズは搭載するインタフェースごとに異なるモデルををラインナップしています。FutureNet SA-130シリーズでは最初のモデルとしてI2Cインタフェースを搭載したFutureNet SA-130/Iを提供し、今後順次ラインナップを拡充します。
≪FutureNet MA-E360/LWSの特徴≫
■ゲートウェイ装置としての用途にとどまらない基本性能
FutureNet MA-E360/LWSはCPUにARM コア(ARMv7)の最新の高性能プロセッサ Sitara AM3352(テキサスインスツルメンツ社製)を採用したLinux プラットフォームです。メモリは標準で512MBを搭載し、最大で1GBまで拡張可能です。2つのギガビットイーサネットインタフェースに加え、RS-232、USB、SDカードスロットを備えています。ゲートウェイ装置としての機能に加え、データの加工や判定、独自の通信手順の実装、外部装置との連携などもおこなえます。
■Wi-SUNとLTE 通信の両方に対応
FutureNet MA-E360/LWSはセンサからのデータを収集するために親機タイプのWi-SUNの通信モジュールを搭載します。最大16台までの子機(センサ)からデータを受信できます。
FutureNet MA-E360/LWSはワイヤレスでWAN 接続をおこなうためにLTE対応の通信モジュールを内蔵しています。データの送受信に加え、ネットワークカメラの動画閲覧やSMSによる状態監視、遠隔操作、警報通知が可能です。内蔵型の通信モジュールは運用中に外れる心配がないほか、外部アンテナを利用するた
め、別の装置に組み込んでも安定した通信状態を保ちやすいメリットがあります。また、USBタイプのアダプタと比べて対応温度範囲が広いため温度条件が厳しい環境にも対応できます。
LTEの回線サービスは本体のSIM カードスロットにキャリアやMVNOから提供されるSIMカードを挿入することで利用できます。
■クラウド対応
FutureNet MA-E360/LWSはOSにUbuntu ディストリビューションのサブセットをプリインストールしています。
apt-getコマンドにも対応しており、オープンソースのLinuxアプリケーションやクラウド接続用エージェントソフト等を簡単にインストールできます。また、最新の「Java SE Embedded 8」(ARM 版フルJRE)を標準で搭載し、Javaアプリケーションも容易に移植・実行できるためクラウドサービスの選択肢が広がります。
また、クラウドとの通信用にオープンソースのデータ収集管理ツールfluentdや、Amazon Web Services(AWS)がIoT用途向けに提供している AWS IoTとの連携機能をあらかじめ組み込んだファームウェア「MA-E3xx for IoT」の提供などもおこなっています。
■開発の容易さ、開発工数の短縮
FutureNet MA-E360/LWSおよびFutureNet MA-E360/WSは通常モードで起動した後、システム設定の変更、パッケージの追加、独自アプリケーションの追加・設定のカスタマイズなどを行ったそのままの状態をコマンド1つでファームウェアとして作成できます。この方法により、動作確認とファームウェアの開発を確実に進めることができます。
開発環境は、 セルフ開発環境に加え、WindowsでLinuxのクロス開発環境を作るのに必要なソフトウェアをインストールしたVirtualBOX 用OSイメージをSDKとして提供します。SDKは最新のカーネルにも追従し、開発者向けの専用サイト(http://ma-tech.centurysys.jp/)のGit リポジトリで随時最新版を公開します。これらの開発環境を使って、FutureNet MA-E300シリーズで動作するLinuxアプリケーションの開発や、独自の起動用SD カード、USBメモリ(ファイルシステム)の作成、独自ファームウェアの作成が可能です(*2)。
また、フラッシュメモリで2つのファームウェアを切り替えて使う機構を備えています。例えば1 面側に運用中のカーネルとファイルシステムを搭載、2面側にその更新版を搭載しておき、更新版での試験運用の際に問題が発生したら1 面の従来版に戻して運用を継続する、などの使い方ができます。
(*1) 一般社団法人 電波産業会が承認する標準規格「ARIB STD-T108」
(*2) 本製品で利用できるすべてのソフトウェアがクロス開発環境でビルドできることを保証するものではありません。
