ロームが、高速スイッチング・低オン抵抗に加え、内部ダイオード逆回復時間(trr)も大幅に低減した高耐圧MOSFET「Fシリーズ」を開発
近年、液晶テレビなどの省エネ化が必要とされるセットの市場拡大に伴い、これらの電源周りに用いられるトランジスタなどの半導体デバイスに対しても高効率化や部品点数の削減が求められるようになっています。現在500〜600Vクラスの高耐圧MOSFETで高効率な製品としては、従来のプレーナ構造と比べてスイッチングスピードが速く、オン抵抗が低いスーパージャンクション構造が主流となっています。しかし、スーパージャンクション構造は構造的に内部ダイオードの逆回復時間(以下:trr)が遅いという課題がありました。そのため、MOSFETの内部ダイオードに回生電流を流すブリッジ回路などに使用した場合、高周波追従性を上げるためにファストリカバリダイオード(以下:FRD)をドレイン-ソース間に並列に入れる必要がありました。
新開発の「Fシリーズ」では、trrを高速化するために、スーパージャンクションMOSFETとしては業界で初めて素子内部に局所的なトラップレベルを形成、通常のスーパージャンクション構造品と比べtrrを160nsから70nsへと約60%低減することに成功しました。トラップレベルを素子内部に形成するとtrrが速くなりますが、スーパージャンクション構造ではこれまで、構造上、形成は困難とされていました。しかし今回、ロームはこの問題を解決し、世界で初めて局所的なトラップレベルを素子内部に形成したスーパージャンクションMOSFETの開発に成功しました。
これにより、FRD無しでも、ブリッジ回路に使用できるようになり、部品点数の削減・基板面積の縮小や高周波化によるトランスの小型化など、セットの小型化・低コスト化に大きく貢献できます。
ロームでは今回発表した「Fシリーズ」をはじめ、今後ともローム独自の先端プロセス加工技術を活かした、お客さまのニーズを先取りするトランジスタ製品の開発を推し進めてまいります。
※オン抵抗、スイッチングスピード、内部ダイオード逆回復時間(trr)を総合評価した性能



















