世界初 モータに内蔵可能なSiC トレンチMOSFET モジュール・ ショットキーバリアダイオードモジュールの開発に成功
近年、急速に発展しているハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)などに代表されるパワーエレクトニクスの分野では、デバイス駆動時の電気エネルギーから機械エネルギーへの変換効率を上げる事が最重要課題となっております。電子デバイスをモータ内に搭載し直接モータを駆動できれば、従来発生していたギアや駆動軸での損失を抑える事が可能になり、課題となっている損失低減に貢献する事ができます。モータ内部は最高で200℃近い高温の環境になるため、従来のSi モジュールではモータ内で駆動ができませんでしたが、200℃を超える高温環境下でも駆動できるSiC モジュールであれば、モータ内の高温環境下でも動作させる事ができます。
今回開発したSiC-MOSFET、SBD デバイスの素子単体での特性では既存のSi-IGBT では困難な200℃以上の環境下での動作と、冷却システムが不要になることでのモジュールサイズの小型化を実現しています。また、モジュールの小型化で電力密度が上り、素子の温度が上昇する問題を抑制するため、素子の裏面だけでなく表面からも放熱できる構造になっております。これらの技術により、モータへのモジュール内蔵が可能となり、モータの効率向上が期待できます。この技術はHEV やEV、産業機器への応用が可能で、パワーエレクトロニクス分野で課題となっている損失の低減に貢献できる技術です。
SiC デバイスは、高速で低損失のスイッチングが可能なため、この特長を活かした用途への検討がこれまで行われていましたが、今回、スイッチング特性だけでなく、高温環境中での駆動が必要なモータに搭載した事により、低損失のみならず、高温駆動が求められる分野へも適用可能である事が確認できたことになります。
ロームは、今後も大電流を扱うパワーエレクトロニクス分野で必要な電力変換デバイスの、さらなる応用展開を進めてまいります。
なお、この開発成果は、2010 年10 月5 日から9 日まで、千葉県・幕張メッセで開催される、「CEATEC 2010」のロームブースにて展示される予定です。
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