外付け部品を80%削減する超小型・高効率の車載用電源ICを開発、位相補償回路内蔵で簡単設計を実現
新シリーズは、入力電圧2.69〜5.5V、周波数2.25MHzで動作するセカンダリ電源です。位相補償回路と帰還抵抗を内蔵することで、一般的な電源ICと比べ、外付け部品の大幅な削減を実現。車載機器の小型化や設計負荷の軽減に貢献します。
本製品は、2013年4月からサンプル出荷(サンプル価格:300円)を開始し、 2013年7月から当面月産20万個の規模で量産を開始。生産拠点は前工程をローム浜松株式会社(静岡県)、後工程をROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)で行う予定です。
<背景>
近年、電気自動車やハイブリッド車の普及、自動車のエレクトロニクス化の進展により、マイコンやメモリの搭載個数が増加してきています。これらの電力供給源である電源ICには一般的にLDOレギュレータが使用されてきましたが、効率が悪く、大電流化が難しいという課題がありました。そのため、高効率かつ大電流供給が可能なDC/DCコンバータの採用が進んでいますが、LDOレギュレータに比べて外付け部品が多く必要になるため、実装面積が増大するとともに、回路設計が非常に難しいという課題がありました。車載機器の高機能化とモデルサイクルの短期化が進む中、設計負荷の増大は大きな問題であり、簡単かつ使い勝手の良い高効率電源ICへの要求が高まっています。
<新製品の詳細>
電源ICの外付け部品が増える大きな要因の一つに、出力電圧を安定させるために必要な位相補償回路があります。従来は、外付けコンデンサや抵抗器で設定するのが一般的でしたが、今回ロームはIC内部で位相補償回路を最適化することに成功。これにより外付け部品点数を従来製品に比べ80%削減でき、車載機器の小型化に貢献します。またセットの電源設計の難しさの要因の一つであった位相補償調整も不要になるため、電源設計にかかる時間を短縮できるメリットもあります。
さらに同期整流方式を採用することで高効率を実現したほか、軽負荷モード(Light Load Mode)を搭載することで全負荷領域にわたって高効率を実現し、車載機器の低消費電力化が可能となります。
ロームは、今後も車載用電源IC分野において業界をリードする開発を進め、ラインアップを拡充し、自動車のさらなる低消費電力化に貢献していきます。
