自動車の漏電を検知するICを開発、非常用電源として期待されるEVの安全性確保に貢献
広範囲での温度保証(-40〜105℃)はもちろんのこと、各種信頼性試験にも合格しているため安心して使用できます。さらに、業界最少クラスの消費電流330μAを実現したことで、バッテリーの消費低減にも貢献します。
本製品は、2012年8月から既にサンプル出荷(サンプル価格:250円)を開始しており、2013年6月下旬から当面月産5万個の規模で量産を開始する予定です。生産拠点は前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)となります。
<背景>
東日本大震災以降、電気自動車やハイブリットカーは、本来の運送機能にプラスして「非常用電源」としての期待が高まっています。スマートフォンをはじめとする携帯機器だけでなく、消費電力の大きな家電製品も使用可能なAC100Vの車内用コンセントが自動車に搭載されるようになり、新たな電力供給源と考えられています。
こうした車内用コンセントを安心・安全に使用するために必要とされているのが、漏電検出ICです。住宅には感電や火災を防ぐため、この漏電検出ICを搭載した漏電遮断器が必ず設置されていますが、車載でも同様に感電や火災を防ぐために採用が検討され始めています。しかし、自動車で使用するには、温度保証などを含めた信頼性面での厳しい課題を克服する必要がありました。
<新製品の詳細>
今回ロームが開発した車載用の漏電検出ICは、温度保証を従来の-20〜95℃から-40〜105℃の広範囲に拡張し、また車載用として必要とされている耐放射電磁波対策を行うことで、信頼性を確保。車載用半導体の規格「AEC-Q100」にも準拠し、ローム独自の技術を採用し回路に工夫を持たせることで遮断性能を向上し、安全性を高めています。
さらに、回路の最適化を行うことで、業界最少クラスの消費電流330μAを実現。高信頼性を保証しながらもバッテリーの消費低減にも貢献します。 なお、本製品は、車載だけでなく、民生機器への適用も可能であり、 今後もラインアップを拡充させてまいります。
