KDDI通信モジュールを搭載したLinuxマイクロアプライアンスサーバ「FutureNet MA-E255/XW」発売のご案内
FutureNet MA-E255/XWは米 Freescale社の産業・民生品市場向け CPU「i.MX353」(ARM11アーキテクチャ)を搭載した Linuxプラットフォーム製品です。豊富な外部装置とのインタフェースと、強力な通信機能を備え、優れた耐環境性能、低消費電力を活かして、遠隔監視システムの拠点側データ収集装置兼通信装置として、また遠隔監視・制御用装置、デジタルサイネージや音声配信などの情報受信端末などとして幅広く利用できます。
FutureNet MA-E255/XWは外部装置と接続するためのインタフェースとしてイーサネットポート、RS-232、RS-485、USB 2.0を備えており、様々な計測装置やセンサ、制御装置、設備の監視用インタフェース等と接続できます。また、KDDIのモバイル通信モジュールを内蔵しており、プリインストールの状態で簡単にモバイル通信を開始できます。さらに USBポートにはモバイルデータ通信カードや無線 LAN子機を接続できるため、設置場所の通信環境に応じて柔軟に通信手段を選択できます。
FutureNet MA-E200シリーズの OSには Linuxカーネル 3.2を採用しています。そのため、オープンソースで提供されている各種のサーバアプリケーションが利用可能です。Linuxアプリケーションの移植や追加、削除、ファームウェアの作成等は標準添付の開発環境(SDK)を使っておこなえます。
FutureNet MA-E255/XWの特徴
■多様なインタフェース
FutureNet MA-E255/XWはRS-232と RS-485のインタフェースを備えます。RS-485は全二重/半二重方式が切替できます。マルチドロップ接続にも対応しており、1対の信号ライン上に最大32台の装置を接続できます。
USB 2.0ポートには USBメモリや USBハードディスク、USBシリアル変換器、データ通信カードなどのデバイスを接続できます。USBファイルシステム(USBメモリ)からの起動も可能です。USB 2.0のポートは外部接続用に 2ポートのほか、組み込み接続用の内部コネクタを 2ポート備えます。SDカードスロットは SDメモリカードに対応しています。プログラムやデータの保存、SDメモリカード上に構成したファイルシステムからの起動も可能です。その他、スピーカ接続用のライン出力端子やマイク入力が利用できます。
■ KDDIの au通信網に対応
FutureNet MA-E255/XWは通信モジュールとして KDDIの「KCMV-200」もしくは「KCMP」(いずれも京セラ製。購入時指定)を内蔵しています。いずれも CDMA 1X WINに対応しており、下り最大2.4Mbps、上り:最大144kbps(いずれもベストエフォート)の通信性能を備えています。Au通信網を利用して回線の開通/閉塞が可能な OTA(Over The Air) 機能(*2)にも対応しています。また、KDDIのリモートアクセスサービスであるクローズド リモート ゲートウェイ(CRG)にも対応しています。「KCMV-200」版は動作温度範囲が -20〜50℃と広く、屋外などの環境条件が厳しい場所でも利用できるのが特徴です。KCMV-200が従量制料金プランに対応しているのに対し、KCMPは定額料金プラン「WINモジュール定額」に対応しているため、通信量の多いシステムでも安心して利用できます。
*2 OTA:Over The Air機能
無線 (au通信網) を利用した回線の開通/閉塞機能。製品の利用開始/終了に合わせて、回線利用の開通/閉塞をおこなえるので、通信モジュール搭載製品の在庫・流通期間に不必要な月額基本料金が発生しません。
■開発の容易さ、開発工数の短縮
FutureNet MA-E255/XWの OSには最新の Linux Kernel 3.2を採用しており、初期状態で Linuxを起動し各種アプリケーションを実行できます。また、この製品でセルフコンパイルをおこなうのに必要なソフトウェアをネットワーク上の他の Linuxパソコンから提供するための NFSルート開発環境と、Windowsで Linuxのクロス開発環境を作るのに必要なソフトウェアをインストールした状態の VMware用 OSイメージを開発環境(SDK)として製品に標準添付します。
これらの開発環境を使って、 FutureNet MA-E200シリーズで動作するアプリケーションの開発や、独自の起動用 USB/SDメモリカード(ファイルシステム)の作成、独自のファームウェアの作成が可能です(*)。
なお、センチュリー・システムズでは FutureNet MA-E255/XW上でのアプリケーション開発、ソフトウェアの移植、ドライバソフトの開発、インタフェースのカスタマイズ、および OEMに向けた製品化なども承ります。
*本製品で利用できるすべてのソフトウェアがクロス開発環境でビルドできることを保証するものではありません。
■低消費電力、高性能、高信頼性、耐環境性
FutureNet MA-E255/XWは省電力 CPUや電源回路の最適化により、最大で約 6.5Wという低消費電力を実現しています。ヒートシンクも必要とせず、ファンレスで動作すると共に高信頼性を確保し、24時間365日の常時稼働と KCMV版は−20℃〜50℃(ACアダプタを除く)、KCMP版は-20℃〜45℃での動作保証を実現しています。
利用例
■環境センサネットワーク
FutureNet MA-E255/XWを使って複合型の気象センサで観測したデータをモバイル網経由で遠隔地のデータセンタに集めるネットワークです。複合気象センサは 1台で風向、風速、温度、湿度、気圧、降水量といった複数の環境要素を計測し、RS-485でデータを送出します。
FutureNet MA-E255/XWでは複合気象センサの専用プロトコルおよびデータフォーマットに対応し、観測データの変換や統計、閾値判定等の処理、警報通知等をおこなう Linuxアプリケーションを動作させます。処理済みのデータはファイル化して定期的にデータセンタに送ります。このときデータが停電や通信障害等で失われることを防ぐため、いったん SDカードに格納し、データセンタ側からの受信完了確認が返ってくるまで保存します。これにより観測データの確実な収集を実現します。
