メンター・グラフィックス・コーポレーション（本社: 米国オレゴン州、以下メンター・グラフィックス）は、高速解析ツールとして市場をリードするHyperLynx®製品ファミリの主要ラインアップとなる新製品、HyperLynx DRCのリリースを発表しました。HyperLynx DRCは、PCBレイアウト・データベース上でデザインルール・チェック（DRC）のベストプラクティスを効率的に実行します。HyperLynx DRCは、ルール設定がカスタマイズ可能であり、PCBレイアウト・プロセスの最中に実行可能です。このため、技術者と設計者は長時間を要する詳細な解析を実行せずに、シグナル・インテグリティ（SI）、パワー・インテグリティ（PI）、EMI（電磁干渉）といったハイスピード設計で想定される問題を迅速に特定できます。設計の品質を向上できるだけでなく、設計プロセスの初期に問題を解決できるため、再設計の防止とTime-to-Marketの短縮を実現します。

■事例紹介
スウェーデンのルンドに拠点を持つSony Mobile Communications（以下Sony Mobile）では、携帯電話市場におけるTime-to-Market目標を達成するため、非常にタイトな開発スケジュールに直面しています。Sony Mobileは設計品質の確保にあたり、ボードを組み立てる前に設計レビューを実施し、SI、PI、EMCに関連する電気的問題を特定していますが、レビューのためのミーティングが長時間にわたるケースも見られます。Sony MobileのLund Development–Electronics System Design部門でSenior Managerを務めるAnders Olsson氏は、以下のように述べています。「HyperLynx DRCの導入により、ツールを使ってすべてのネットを等しくチェックする体系的なアプローチを実践できます。このアプローチを踏まえて、レビュー・ミーティングではツールが違反を発見したクリティカル・ネットに集中して確認できるため、問題の発見ではなく、問題の解決に貴重な時間を有効活用できます。この結果、設計プロセスの効率を高め、レビューのカバレッジを拡大し、より高度な設計品質を顧客に届けることができるのです。」

新製品であるHyperLynx DRCはコード化された標準ルールを装備しています。これによりハイスピード設計に共通する問題を引き起こす恐れがあるPCBレイアウト作業を特定することができます。この標準ルールは、パラメータによって定義するため、ユーザが企業固有のベストプラクティスに合わせてカスタマイズできます。ハイスピード設計には、以下のような共通問題があります。

【EMIの例】
スプリットを通過するトレース、参照プレーンの変更、ボードの端付近のネット、I/Oネットのカップリング

【SIの例】
長いインターコネクト、終端チェック、抵抗のばらつき、クロストーク・カップリング

【PDN（電源供給ネットワーク）の例 】
パワーネット幅、パスコンデンサ近接

HyperLynx DRCは、市場に流通している他の現行DRC製品とは異なるユニークな設計になっており、顧客独自のベストプラクティスに適合したルールを、VBScriptまたはJavaScriptを使って作成できます。このため、エレクトロニクス企業は独自の知的財産（IP）をツールがもたらす自動化された手法により簡単に設計プロセスへと実装し、競争力の向上を実現できます。

「シミュレーションが、問題発見の最も効果的なアプローチではない場合があります。HyperLynx DRCは、まさにこのような状況をターゲットにしています。HyperLynxファミリの製品は、開発のあらゆる段階においてPCB設計者のニーズを満たすもので、柔軟性、使い勝手の良さ、複雑な最新設計を解析する際に必要とされる高速性と正確性において、今日の市場に出回っている他のツールセットの追随をまったく許しません。」メンター・グラフィックス、Systems Design Division、High-speed Analysis Product Line Director、David Kohlmeierは、上記のように述べています。

HyperLynx DRCは、メンター・グラフィックスのExpedition® Enterprise、Board Station®、PADS®、ケイデンス・デザイン・システムズのAllegro、株式会社図研のCRに代表されるすべての主要PCBレイアウト・ツールとの互換性を備えています。