ロームが省エネドライブ・安全運転に向けて、新たなドライブレコーダの開発を提案 PCレス・高機能ドライブレコーダ用LSI「BU1511KV2」を開発
近年、ドライブレコーダは、自動車のトラブルや事故発生時の状況分析といった用途だけでなく、運転状況や危険行動を記録、分析することによる、安全運転推進やエコドライブ普及のための支援装置としての活用も進んできており、バス、トラック、タクシーなどの事業用自動車では、事故率低下、燃費の向上に大きな効果が確認され、普及が急速に拡大しています。
一方で、一般乗用車では、市販の標準的なドライブレコーダは、価格が約3 万円程度であり、またその記録データを活用するためには、別途PC で動作するソフトウェアが必要であり、手間がかかるため導入が進んでいない状況にあります。このような状況の中で、ロームでは、事故率の低下、燃費向上の大きなメリットがあるドライブレコーダの一般乗用車への普及を目指したいと考え、低価格、PC レスでも安全運転支援、エコドライブ支援ツールとして使えるセットを意図した1 チップLSI の開発を進めてまいりました。
今回開発した新製品は、ドライブレコーダに必要な、カメラ、SD カード、加速度センサ、GPS モジュールとのインターフェースを内蔵し、1 チップで基本的なドライブレコーダを開発できます。さらに、安価なシリアルメモリからプログラムを内蔵のメモリにダウンロードし、パフォーマンスの高いARM9 が実行することで外部のパラレルFLASH メモリを不要としました。加えて、高機能JPEG CODEC、ADPCM CODEC、SD カードコントローラを独立ハード構成としてドライブレコーダ用に特化したため、ARM9 の処理負担を低減でき、音声、映像の記録データを直接SD カードに書き込み続けることが可能となり、外部のバッファ用RAM も不要となりました。
「BU1511KV2」を使えば、このように外付け部品を削減することにより、ドライブレコーダの大幅なコストダウンが実現できます。また、機能面でも大幅な改善を進め、ドライブレコーダの基本機能に対するCPU での負荷を軽減することで、安全運転支援やエコドライブ支援に必要な分析をリアルタイムに実施し、直ちにドライバーにフィードバック、改善に結び付けることが可能となります。さらに、これらの分析情報を内蔵のビデオエンコーダでTV に出力することでPC レス化も実現できます。ビデオエンコーダを内蔵し、スタンドアローンで高機能なドライブレコーダをPC レスで構成できる1 チップLSI の開発は、ロームが初めてとなります。
低価格で高機能なドライブレコーダをPC レスで手軽に使えれば、安全運転推進やエコドライブ支援に必要な情報をドライバーは容易に得ることが出来ます。自動車社会の現代において、安全運転やエコドライブを意識すれば、事故率は10%〜50%減り、燃費は20%アップも可能だと言われています。安全運転推進、エコドライブ支援ツールとしてのドライブレコーダが普及することをきっかけにして、全てのドライバーが安全、エコを意識して、事故率低減、燃費アップを目的として運転すれば交通事故の減少につながるだけでなく、CO2 排出量の大幅な削減も可能と考えています。 ロームでは、自動車の電子化、高機能化に合わせて自動車関連市場を最重要拡販分野と位置付け、ECU パワーマネジメント、インターフェース、モータドライバ、センサ関連など商品ラインアップの拡大を加速しています。AV、モバイル機器など幅広い分野で貢献してきたロームのアナログ/リニア/デジタルの総合的な商品開発力を生かして、さらにカーエレクトロニクス市場向けに注力してまいります。
