あらゆる感熱紙で長寿命を実現 耐摩耗性を大幅に向上したサーマルプリントヘッドを開発
量産につきましては、2011年3月から当面月産10万個体制で、ROHM Electronics Dalian Co., Ltd.(中国・大連)で行う予定です。
ミニプリンタ市場は、POSシステムや EFT、CATなどの世界的な普及に伴って成長を続けており、それに伴ってサーマルプリントヘッド市場の需要も年々高まってきています。こうしたミニプリンタに使用される感熱紙については、メンテナンスコストの削減ニーズに合わせて低価格化が進む傾向にあり、一部の感熱紙については表面の状態が悪く、異常摩耗、スクラッチ破損、電解腐食の発生を誘発してサーマルプリントヘッドの寿命低下を招くものがあります。
こうした状況に対応するためヘッドの保護膜材料を硬い物質に変更するなどの対策がとられていますが、保護膜の強度を上げるためには保護膜の組成や発熱部分の形状デザインに課題があり、従来製品では、一部の低品質感熱紙を使用した場合には走行距離が 10km程度で、プリンタの使用頻度にもよりますが、数ヶ月程度で使用できなくなるケースがありました。ロームではこうした状況に対応して保護膜材料中の硬質物質の構成改善やヘッド構造の改善に取り組んできました。今回開発したサーマルプリントヘッドは保護膜材料の構成物質とその組成を最適化することで、大幅に耐摩耗性を向上、従来品の約
3倍の耐久性を実現(150km保証(従来品は 50km))しました。また、保護膜の熱伝導性を高くできたことにより印字効率も従来と比較して15%改善、印字品質の向上も併せて実現しました。さらに、プリントヘッドの形状を従来品と全く同じとすることでプリンタの設計変更を不要にし、また補修用としても使っていただける仕様となっています。
ロームはこれまで蓄積してきた半導体技術、厚膜/薄膜成膜技術を駆使し、POS端末、各種ラベルプリンタなど幅広い市場に対応して、高速印字、高画質などそれぞれの市場のニーズに対応した製品シリーズを取り揃え、お客様からの高い評価をいただいています。今回の新製品はこうした幅広い技術の総合力を活かして開発したもので、お客様へのシステムのメンテナンスフリー化、印字品質の改善に貢献できます。
<サーマルプリントヘッド「KD2003-DF20A」の主な特長>
1)高耐摩耗性(走行距離 150km保証)
2)高スクラッチ耐性
3)印字効率 15%アップ
4)高腐食耐性