PFC制御機能を搭載した高効率AC/DCコンバータICを開発、100Wクラスを必要とする電子機器の待機電力を大幅に削減
本製品は、業界で初めて※PFCコントローラにON/OFF設定機能とPFC 出力新制御方式を搭載しました。軽負荷時においても効率改善を実現し、機器の待機電力を大幅に削減。このIC を使用した電源回路を構成すれば、国際規格Energy Star6.0が定める水準もクリアできます。さらに、2つのコントローラをワンパッケージ化することで、部品点数が削減できるため、電源の小型化にも貢献します。なお、本ICは既に9月からサンプル出荷(サンプル価格100円)を、10月から量産を開始しています。生産拠点は、前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)となります。
<背景>
近年、電力供給不足の問題に伴い、機器の省エネ化を実現するため電源においても高効率化が求められています。
一方で、75W以上の電子機器には他の機器に障害をおよぼす高調波を制御するため、PFC コントローラの搭載が必要とされていますが、PFC コントローラを搭載することで効率が落ちてしまうという背反事項があります。
また、大型液晶TVに代表される100Wクラスの機器においては、設計・評価負荷の軽減や修理の利便性から電源のアダプタ化が進んでいます。しかし、従来のようにQRコントローラを搭載したAC/DC コンバータICとPFC回路を個別で使用する回路構成では、電源の省スペース化のニーズに反し、基板面積の増大が問題とされていました。
<新製品の詳細>
今回、ロームは業界で初めてPFCコントローラのON/OFFを自由に設定できるON/OFF設定機能をICに搭載。軽負荷時の変換効率をアップし、待機電力削減にも貢献します。また、昇圧コンバータ方式であるPFC コントローラにローム独自のPFC出力新制御方式を搭載しました。これにより、特にAC100V 系においては効率を大幅に改善することができます。例えば、100Wクラスの電源でこのIC を使用した場合、効率がAC100V時に89.0%、AC230V時に89.5%と、国際規格Energy Star 6.0の要求88%以上もクリアしています。
さらに、レイアウトの最適化により従来個別に使用されていたPFCコントローラとQRコントローラをワンパッケージ化することができ、従来に比べて約20%部品点数を削減することが可能になります。
これらの技術を活かして、ロームは一次電源ICからDC/DCコンバータICに至るまで幅広い製品を取り揃えており、トータルソリューションでの提案により、システム全体の省エネ化に貢献してまいります。
