WPC Qi(チー)規格ミディアムパワー(15W以下)に準拠するワイヤレス給電チップセットを開発
<要旨>
ローム株式会社(本社:京都市)は、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル機器向けに、ワイヤレス給電制御IC「BD57015GWL」(受信・端末側)と「BD57020MWV」(送信・充電側)を開発しました。
この2製品は、ワイヤレス給電(無線充電)の国際規格で注目されているWPC(Wireless Power Consortium)の最新Qi規格ミディアムパワー(2015年公開予定)に準拠する業界初のチップセットで、タブレットPCなど10Wクラスのアプリケーションでワイヤレス給電を実現します。
また、受信・端末側のBD57015GWLは、北米市場で展開しているワイヤレス給電の国際規格PMA(Power Matters Alliance)にも対応しており、自動切り替えによるWPC(10W)とPMA(5W)のデュアルモード受電を実現しています。他にも、出力用LDOの電圧を可変にしており、給電電流を変えずに出力電力を上げることができるため、発熱を増やさずに幅広いアプリケーションに対応可能です。
なお、本製品は7月よりサンプル出荷を開始する予定です。今後もロームは、拡大するワイヤレス給電市場に対し、快適な環境を構築するためのチップセットを世界に先駆けて開発していきます。
<背景>
ワイヤレス給電技術は、モバイル機器市場において充電時の電源コードを不要にし、機器コネクタの安全性・防水性・防塵性の向上を見込めることと、一つの給電装置を様々な端末に使用できることを理由に注目されています。
実際にWPCやPMAをはじめとするワイヤレス給電の普及を目指した規格団体が立ち上がり、国際規格が策定されることで、欧米を中心にスマートフォンやインフラへの導入が徐々に始まっています。
ロームはWPCの正規メンバーとして、普及が進むワイヤレス給電規格WPC Qi規格の策定の段階から協議に参加し、市場の要望に即した製品開発をいち早く行っています。
<新製品の特長>
新製品「BD57015GWL」(受信・端末側)と「BD57020MWV」(送信・充電側)はWPC Qi規格のミディアムパワー(15W以下)に準拠しており、10Wクラスのワイヤレス給電を実現します。規格に必須とされる、安全に動作するためのミディアムパワー用新FOD(異物検出機能)を搭載する他、既存のローパワー(5W以下)との互換性も持っています。これにより、スマートフォンやタブレットPCなどのアプリケーションでは、従来規格より最大2倍の電流で端末を充電することが可能です。
また、新製品はこれらに加えて、ローム独自の特長も備えています。
1. 国際規格PMAにも対応し、幅広い環境でワイヤレス給電を使用可能(受信・端末側:BD57015GWL)
さまざまな送信側規格に対応できるよう、受信・端末側は北米市場で展開しているワイヤレス給電の国際規格PMAにも対応しています。
2. 出力電圧を容易に変えることができる出力用LDOを搭載(受信・端末側:BD57015GWL)
幅広いアプリケーションに対応できるよう、出力用LDOの電圧を容易に変更できます。これにより、給電電流を変えることなく出力電力を上げることができます。
3. ロームの位置ずれ検知機能で充電を高効率化
端末の充電時、端末が充電装置の中心に設置されていなければ、充電効率は著しく低下します。位置ずれ検知機能は、端末の位置ずれに対してアラームを出力することができ、充電の高効率化に貢献します。
