USB Type-C Power DeliveryコントローラICを開発。USB Type-C規格対応で100Wの大電力受給電、ノートPCやTVも駆動可能
「BM92TxxMWVシリーズ」は、最新のUSB Type-C規格Rev1.1とUSBPD規格Rev2.0に対応し、従来7.5Wまでの電力供給しかできなかったUSB Type-C対応機器間で、最大100W(20V/5A)までの受給電を可能にします。これにより、ノートPCやTVなど大きな電力を必要とする機器でさえも、USB端子からの給電による駆動が可能になります。同時に、USB端子の従来用途であるスマートフォンやタブレットPCにおいては、従来比で約4倍以上の急速充電が可能になります。
また、USB通信信号線に映像信号を通すことができるようになるAlternate-Mode制御にも対応しており、映像専用ポートが不要になるため、給電しながら映像信号も映すなど利便性の高い環境構築にも貢献します。
2015年9月からサンプル出荷(2,000円/個:税抜)を開始しており、2015年12月より量産を開始する予定です。生産拠点は前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)となります。
<背景>
近年、欧州を始めとする多くの地域で産業廃棄物の削減がうたわれており、全世界における全ての電子機器で共通化可能な充電器や通信コネクタなどが求められています。
こうした中、USB規格団体「USB Implementers Forum, Inc.*2)」が普及を目指しているコネクタ規格「USB Type-C」と同時に、電力拡張規格「USBPD」が注目されています。既にUSB端子は世界中の電子機器に組み込まれており、USB端子から受給電できる電力が増大すれば、多くの電子機器でデータ転送と大電力の受給電を同時に行える共通のインターフェースを実現する事が出来ます。
小型で表裏の区別なく使用可能なUSB Type-Cと対応機器を増大させるUSBPDがリリースされたことで、インターフェースの共通化が一気に加速するとみられています。ロームは、先進のBiCDMOSプロセスと回路技術を駆使することで、産業廃棄物削減と利便性の高い環境構築に貢献するUSBPDコントローラICの開発に取り組んでいます。
<特長>
1.USB Type-Cコネクタを通じて最大100Wの電力受給電が可能
7.5W(5V/1.5A)から最大100W(20V / 5A)まで、任意の電圧と電流設定に対応しており、USB Type-Cコネクタで接続される電子機器間の電力受給契約を自動的におこなうことができ、最適な電力受給を選択できます。また、双方向の受給を可能とし、給電側と受電側を入れ替えることも可能です。
スマートフォンやタブレットPCなど、駆動に大きな電力を必要としない機器においては、充電電力を調整し、36W(12V/3A)の場合、従来比で4倍以上(5V/1.5AのUSB BC1.2と比較した場合)の急速充電が可能になります。
2.映像専用端子を不要にするAlternate-Modeに対応
映像信号を扱うことが可能なAlternate-Mode制御にも対応しており、これまでノートPCなどの電子機器に必須であった映像専用端子の搭載が不要になります。USB端子だけでデータ伝送、電力受給電、映像信号伝送を行うことができるようになり、簡単で利便性の高い環境構築を実現することが可能です。
3.業界最少クラスの部品点数でシステム実装可能(ローム新製品の特長)
先進の微細0.13μm BiCDMOSプロセスと高耐圧プロセス、回路技術を駆使することで、機能の小型化、最適化を実現しました。受給電制御用の別電源やFETなどの部品を削減することが可能です。一般システムと比較して、外付けの電源ICをはじめ部品点数を20点以上減らすことが可能です。
