RASMID ラスミッド Ⓡ新ラインアップ、TVS ダイオード「VS3V3BxxFS シリーズ」を開発
今回開発した新製品は、ロームの世界最小部品「RASMIDⓇ(ROHM AdvancedSmart Micro Device)シリーズ」のひとつとなります。従来の0603サイズ(0.6×0.3mm)に比べ面積を56%、体積を81%削減。業界最小クラスのサイズを実現したことで、スマートフォンなどの高密度実装化に貢献します。
本製品は、2015 年10 月よりサンプル出荷(20 円/個:税抜)を開始し、2016 年1 月から当面月産500 万個の体制で量産を開始する予定です。生産拠点は前工程、後工程ともにローム・アポロ株式会社(福岡県)となります。
なお、本製品は10 月7 日~10 日に千葉・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN2015」のロームブースでも展示する予定です。ぜひご来場ください。
<背景>
近年、スマートフォンやウェアラブル端末などのモバイル機器においては、機器の小型化とバッテリの長寿命化に対する要求がますます高まっています。また、現在、各種電子機器では電子回路を静電気(ESD:Electro StaticDischarge)などから保護するため、ツェナーダイオードや低容量の保護ダイオードが使用されています。このような保護用のダイオードにおいては、機器の機能増加にともない、小型かつ高いESD保護能力が求められており、他のダイオードに比べて保証項目が多岐にわたるTVSダイオードの需要が増えつつあります。
こうした中、ロームでは従来と全く違う新しい工法を用いて小型化を実現し、驚異的な寸法精度(±10μm)を誇る世界最小部品をRASMIDⓇシリーズと位置づけ、ラインアップを拡充しています。今回、小型化はもちろん、高いESD保護機能を確保し、低電圧回路のニーズに応えたTVSダイオードを新たにシリーズに追加。本シリーズでTVSダイオード市場に本格参入します。
<特長>
1. RASMIDⓇシリーズ 3つの特長
①新工法の採用により、超小型部品を実現
RASMIDⓇシリーズの特長である独自の新工法を使用し、世界最小クラス0402 サイズ(0.4×0.2mm)のTVSダイオードを開発しました。従来の0603サイズ(0.6×0.3mm)に比べて、面積比56%、体積比81%のサイズダウンに成功。スマートフォンをはじめ、ウェアラブル機器など小型・薄型化が求められるあらゆる機器の高機能化、小型化に大きく貢献します。
②驚異的な寸法精度 ±10μmを達成
寸法精度が±10μmと非常に高精度なため、部品のバラツキが極めて少なく、狭密度実装が可能になります。
③高信頼性構造
金電極の採用により、はんだの濡れ性を向上。また、RASMIDⓇシリーズのチップ側面には独自のダイシング加工技術を採用しています。従来よりも飛躍的に平坦になっており、外部からの衝撃に強く、割れ欠け強度を向上させています。さらに、この平坦な側面には絶縁膜を被覆させています。偶発的に発生したはんだボールによるリークを防止することが可能です。
2. 低電圧回路のニーズに応え、スタンドオフ電圧(VRWM)3.3Vを達成
バッテリの長寿命化を実現するため、近年では低電圧回路に対するニーズが高まっています。小型化かつ低電圧回路に直結するスタンドオフ電圧を低減するには、リーク電流の抑制が課題でしたが、今回開発したRASMIDⓇシリーズのTVSダイオードは、ツェナー降伏とバイポーラ技術の融合により、低リーク電流と低電圧を両立。スタンドオフ電圧(VRWM)3.3Vを達成し、機器の低省電力化に役立ちます。
3. 従来の5.0V品と同様に高いESD保護能力を確保
構造の最適化により、従来の0603サイズ5.0V品と同等の高いESD保護能力を確保しました。部品の小型化はもちろんのこと、静電気による回路の破壊や誤動作を防ぎ、アプリケーションにかかる負荷を軽減することができます。
<用語説明>
・TVS(Transient Voltage Suppressor:過渡電圧抑制)ダイオード
瞬間的に発生する電圧や電流から電子回路を保護するダイオードのこと。他の保護ダイオードよりも特にESD 保護などの保護項目が多岐にわたる。
・スタンドオフ電圧(VRWM)
逆方向にかけられる最大電圧のこと。
・リーク電流
電子回路上で、本来流れないはずの場所で漏れ出す電流のこと。
・ESD(Electro Static Discharge)
静電気放電のこと。静電気による電子回路の破壊や誤動作を防止するため、電子回路では静電気防止の対策が必要となる。
