80Vクラスの高耐圧DC/DCコンバータ「BD9G341AEFJ」を開発
ローム株式会社(本社:京都市)は、大電力(高電圧×大電流)を扱う通信基地局や産業機器向けに、80V高耐圧のMOSFET内蔵DC/DCコンバータ「BD9G341AEFJ」を開発しました。
「BD9G341AEFJ」は、パワー系プロセスである0.6μmの高耐圧BiCDMOSを採用し、非絶縁型のDC/DCコンバータとしては業界最高クラスの耐圧となる80Vを実現、ロームのDC/DCコンバータの製品ラインアップとしても最も高耐圧となる製品です。ロームが得意とするアナログ設計技術を駆使したことで、80VクラスのDC/DCコンバータでは業界最高となる変換効率も達成しています。一般品と比較した場合、保護回路により、出力ピンが不慮のショート(接触)をした場合でも発熱を抑えて製品の破壊を防ぐことができるため、アプリケーションの信頼性向上にも貢献します。さらに、これらをシンプルな小型8ピンパッケージで実現しており、実装面積と周辺部品点数の削減が可能です。
本製品は、2015年10月より月産6万個の体制で量産(サンプル価格 600円/個:税抜)を開始しています。生産拠点は前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)となります。
ロームは今後もアナログ設計技術を駆使した高性能・高信頼製品を開発し、社会の省エネ・安全に貢献していきます。
<背景>
近年、あらゆる分野で省エネへの意識が高まっており、大電力を扱う産業機器系のアプリケーションにおいても、省エネを実現する半導体で、大電力に対応可能なパワーデバイスや電源ICの採用が進んでいます。そして、大電力に対応する場合、雷などによる突発的なサージ電圧を受けても壊れないように入力電圧より高い耐圧が求められます。
ロームは、最先端のパワー系プロセスや垂直統合型の生産ラインを活かし、製品の特性はもちろんのこと、連続動作を可能にする信頼性や長期安定供給が重視される産業機器市場に向けて、多くの新製品を開発しています。
今回は、スマートフォンのトラフィック増大で需要が拡大している通信基地局や高機能化が進む工場のFA機器、モータアプリケーションに向けて、業界最高クラスの耐圧となる80VクラスのDC/DCコンバータを開発しました。
<特長の詳細>
1.業界最高クラスの80V高耐圧を実現
業界最先端のパワー系プロセスである0.6μmの高耐圧BiCDMOSを採用したことで、非絶縁型では業界最高クラスとなる80V高耐圧のMOSFET内蔵DC/DCコンバータを実現しました。また、入力電圧も76Vまで対応可能であり、通信基地局やFA機器の主電圧帯である48V での突発的なサージ電圧に対して大きく余裕を取ることができるため、アプリケーションの高い信頼性を実現します。
2.80VクラスのDC/DCコンバータで業界最高効率を達成
ロームが得意とするアナログ設計技術を駆使したことで、80VクラスのDC/DCコンバータで業界最高となる電力変換効率を達成しました。一般品と比較した場合では、最大で19%、安定使用時でも1.5%(共に発振周波数300kHz、電源電圧48V、出力電圧5V で設定時)電力効率を改善し、産業機器の省エネ化を実現します。
3.破壊を防ぐ出力ピン保護で高信頼化
一般品の保護機能では出力ピンがショート(接触)した場合、発生する熱を抑制できずにICが過熱し、最終的に破壊してしまいます。
本製品は、独自の保護機能により、出力ピンが不慮のショートをした場合にも発熱を抑えて製品の破壊を防ぐことができるため、アプリケーションの信頼性向上に大きく貢献します。
4.シンプルな小型パッケージで実装面積と周辺部品点数を削減
長年培ってきたアナログ設計技術を駆使することで、80Vクラスの高耐圧DC/DCコンバータをシンプルな小型8ピンパッケージ(幅4.9mm×奥行き6.0mm×高さ1.0mm)で実現しました。同時に一般品では17点必要だった周辺部品を12 点まで削減することが可能となり、設計工数の削減に貢献します。
<アプリケーション例>
・48Vクラスの電源入力を必要とする通信基地局、オフィス電話、ルーターなど
・サージ電圧の大きいモータアプリケーション(電動自転車、掃除機など)
