ロームが業界最小 ハイビジョン対応、ビデオドライバIC 「BH7606GU 」を開発
昨今、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオ、携帯電話内蔵カメラ、携帯ゲーム機器などのポータブル映像機器の高能化の流れの中で、高解像度のハイビジョン出力対応製品が急速に増えてきており、従来のポータブル機器向けのビデオドライバIC と比較しても、更なる小型化・高密度化・および省電力化の要求が高まってきています。
今回開発した新製品「BH7606GU 」は、ポータブル機器向けに開発したハイビジョン対応のビデオドライバIC で、従来のSD 帯域(6.75MHz:D1 相当)対応の1 出力ビデオドライバに対して、伝送可能周波数帯域を30MH zまで広げたY, PB, PR の3 信号を出力する3 つのビデオドライバ(広帯域D4 相当)を内蔵しています。それに加えて、チップサイズとパッケージサイズがほぼ同じ大きさになるWL-CSP (ウエハレベルチップサイズパッケージ)を採用したため、パッケージサイズは2.26mm×2.26mm×1.0mm と超小型化を実現しました。これにより、従来実装スペースの制約からSD 帯域のビデオドライバしか内蔵していなかったセットにも、容易にハイビジョン帯域のビデオドライバを内蔵することができます。
また、ビデオドライバの出力端子には直流電圧阻止用として、220μF〜1000μF の大容量出力コンデンサが必要になります。特にハイビジョン対応のビデオドライバでは、Y, PB, PR の3 回路分の出力コンデンサが必要となり、これらを省略可能にすることが、機器の省スペース化への大きな課題となっていました。
ロームは、従来のSD 帯域(6.75MHz:D1 相当)対応ビデオドライバにおいては、セットの小型化に対応するため、チャージポンプをIC 内に内蔵することにより大容量出力コンデンサを省略できる製品を開発してきました。ハイビジョン対応のビデオドライバでは、伝送可能周波数帯域を30MHz まで広がることや、Y, PB, PR の信号出力に3 回路のビデオドライバが必要なことから、必然的にIC の規模も大きくなります。またIC 内蔵のチャージポンプ回路に求められる負電源のパワーもより大きなものが必要となり、ハイビジョン用途では超小型でチャージポンプを内蔵したコンデンサレスドライバIC は難しいとされていました。
今回、新製品「BH7606GU 」にてチャージポンプ回路にローム独自の最適化を行ない、チップサイズの拡大を最小限に抑えつつ、高効率でハイパワーの負電源発生回路を実現し、外付けの大容量出力コンデンサを不要にすることを可能としました。これにより外付コンデンサの実装スペースも含め、ハイビジョン対応のビデオドライバとして業界最小化が実現でき、セットの小型化に貢献もできます。
また、映像信号に混入している不要な高域ノイズを除去するためのLPF(Low Pass Filter) もY, PB, PR それぞれの信号に最適な特性に合わせたものを内蔵。さらに、動作停止時には回路電流を0μA(typ.) にできるスタンバイ回路を内蔵するなど、ポータブル機器の省電力化に貢献する機能も備えています。ロームでは、今後ともお客様のニーズに沿った製品開発を進めるとともに、さらなる製品シリーズの拡充に努めてまいります。
