Java SE 8を標準で搭載したLinuxマイクロ アプライアンス「FutureNet MA-E300シリーズ」を発売
近年のM2Mシステムの拡がりに伴いネットワークへの接続が求められるセンサや装置は多様化する一方です。また、それらのデータを集めるサーバ側でも様々なタイプのクラウドサービスに柔軟に対応できることが求められます。FutureNet MA-E300シリーズは M2Mシステムの通信装置およびアプリケーション実行環境として優れた特性を備えた新しいLinuxプラットフォームです。
FutureNet MA-E300シリーズには本年3月にリリースされた最新の「Oracle Java SE Embedded 8」(ARMアーキテクチャ版)を標準で搭載します。これによりLinuxのアプリケーションに加え、Javaで作成したアプリケーションも容易に実行できるようになります。これまでパソコンと周辺機器を組み合わせておこなっていた処理をM2M専用機としてのMA-E300シリーズ1台に移行できます。これにより、無人環境や屋外環境における運用の安定性を大幅に向上させることができます。
シリーズの標準モデルであるFutureNet MA-E320はCPUにARMコアの高性能プロセッサ Sitara AM3352(テキサスインスツルメンツ社製、CPUクロック 1GHz)を採用、メモリは標準で512MB搭載し、最大で1GBまで拡張できます。2つのギガビットイーサネットインタフェースに加え、RS-232、USB、SDカードスロットを備えています。Linuxの強力なソフトウェアと組み合わせることで、ルータ機能をベースとした特定サービス専用ルータ、アプリケーション・ゲートウェイ、ネットワーク監視ボックス、遠隔監視システムの拠点側サーバなどとして利用できます。
また、-20℃~60℃の動作温度範囲に対応し、省電力性にも優れています。そのためオフィス内だけでなく屋外設置の組み込みシステムや観測システム、M2Mシステムのコンセントレータ、中継装置としても安定した運用が可能です。
// FutureNet MA-E300シリーズの特徴 //
■ 最新のOracle Java SE Embedded 8を標準搭載
FutureNet MA-E300シリーズはOSとしてLinuxカーネル 3.14.x(またはそれ以降)を含むUbuntuディストリビューションのサブセットをプリインストールしています。出荷時の状態でオープンソースで提供されている多数のLinuxアプリケーションが利用可能です。ログ情報の閲覧やシステムの停止などの基本的な操作は専用のWEB画面からおこなえます。パソコンで開発したソフトウェアをスムーズに移植できるようにCPUやメモリの性能を高めています。
また、今年3月のメジャーバージョンアップで大幅に機能強化され、パソコン環境との差がほとんどなくなった組込用「Oracle Java SE Embedded 8」のFull JREを標準で搭載します。これにより、パソコンからMA-E300シリーズへのJavaアプリケーションの移行がより簡単になります
「センチュリー・システムズがFutureNet MA-E300シリーズに、本年3月にリリースされた『Oracle Java SE Embedded 8』を標準搭載していることを歓迎いたします。Javaは、インテリジェント機器および、Internet of Thingsのための新しいサービスを構築する開発者にとって最適なプラットフォームです。」 -- オラクル・コーポレーション バイスプレジデント プロダクト・マネジメント ピーター・ウッツシュナイダー氏。
■ 強力なネットワーク機能
FutureNet MA-E300シリーズは2つのギガビットイーサネットインタフェースを搭載しています。また、暗号化処理専用のハードウェアを搭載しています。通信手段としてはギガビットイーサネットによる有線のネットワーク接続に加え、モバイルデータ通信端末接続インタフェースを備えておりNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、およびそのMVNO各社から提供されるUSB型モバイルデータ通信端末を接続できます。また、イーサネットとモバイルデータ通信を組み合わせてリモートルータとして利用することも可能です。
PPPやPPPoE接続機能、経路制御、NAT/NAPT、パケットフィルタ、SSHによる暗号化などLinuxの優れたネットワーク機能を自由に利用できるため、サーバアプリケーションと組み合わせて、特定用途向けの専用サーバ兼ルータを短期間で実現できます。サーバアプリケーションと組み合わせることで、特定用途向けの専用サーバ兼リモートルータを短期間で実現できます。
■ 多様なインタフェース
FutureNet MA-E300シリーズは2つのシリアルポートを備えます。1つはDsub9ピンのRS-232で各種センサや計測装置、サーバのコンソールポートなど幅広い装置が接続できます。もう1つはコンソールポート用のRS-232です。RS-232は実装オプションによりRS-485に変更できます。USB2.0は1ポート備えており、USBメモリやUSBハードディスク、USBシリアル変換器を接続できるほか、モバイル通信端末を接続してインターネット/閉域網サービスへのアクセスにも利用できます。SDカードは起動デバイスとして利用できる他、データの保存用、アプリケーション格納用ファイルシステムとして利用できます。
■ 低消費電力、高性能、高信頼性、耐環境性
FutureNet MA-E300シリーズは省電力CPUや電源回路の最適化により、待機時約2.1Wという低消費電力を実現しています。無人の環境や屋外での利用を想定し、ファンなどの可動部品を使用しないことにより高信頼性を確保し、24時間365日の常時稼働と-20℃~60℃(ACアダプタを除く)での動作保証を実現しています。
■ クラウド対応
FutureNet MA-E300シリーズは弊社から提供中の「WarpLink DDNSサービス」および「WarpLink ICESサービス」に対応します。有線やモバイルを利用したリモート監視環境(IPカメラによる動画での監視やルータの死活監視、機器SYSLOGの収集、運用情報の取得等)を簡単に実現できます。
また、今後WarpLinkで提供予定のデータ収集サービス等に対応したクライアントアプリケーションも無償で提供する予定です。
■ 開発の容易さ、開発工数の短縮
FutureNet MA-E300シリーズはフラッシュメモリで、2つのファームウェアを切り替えて使う機構を備えています。例えば1面側に運用中のカーネルとファイルシステムを搭載、2面側にその更新版を搭載しておき、更新版での試験運用の際に問題が発生したら1面の従来版に戻して運用を継続する、などの使い方ができます。
このほか、WindowsでLinuxのクロス開発環境を作るのに必要なソフトウェアをインストールした状態のOracle VM VirtualBOX用OSイメージをSDKで提供します。なお、SDKは最新のカーネルにも追従し、開発者向けの専用サイト(http://ma-tech.centurysys.jp/)のGitリポジトリで随時最新版を公開します。これらの開発環境を使って、FutureNet MA-E300シリーズで動作するLinuxアプリケーションの開発や、独自の起動用SDカード、USBメモリ(ファイルシステム)の作成、独自ファームウェアの作成が可能です(*)。
なお、センチュリー・システムズではFutureNet MA-E300シリーズ上でのアプリケーション開発、ソフトウェアの移植、ドライバソフトの開発、インタフェース基板の開発、およびOEMに向けた製品化なども承ります。
* 本製品で利用できるすべてのソフトウェアがクロス開発環境でビルドできることを保証するものではありません。
■ 海外対応
FutureNet MA-E300シリーズは東南アジア、ヨーロッパ、北米向けを中心に各国の安全規制への対応を順次進めてまいります。これにより海外拠点を含めたネットワーク構築にも対応できるようになります。
// 製品のラインナップ //
■ FutureNet MA-E320
FutureNet MA-E320は有線LAN用のギガビットイーサネットを2ポート、RS-232インタフェース(Dsub9ピン)を1ポート、コンソール(RS-232、RJ-45コネクタ)を1ポート、USB2.0インタフェースを1ポート、SDカードスロットを1スロット備えます。起動デバイスは本体正面のディップスイッチで指定できます。
■ FutureNet MA-E320/D-16
FutureNet MA-E320/D-16はMA-E320が備えるインタフェースに加え、デジタル入力 8ポート、デジタル出力 8ポートと追加のRS-232、RS-485のインタフェースを搭載したモデルです。これにより直接接続できるセンサや制御機器の種類が大幅に拡大します。
デジタル入力は雨量計などのデジタルパルス出力を持つ装置やON/OFFの状態出力を持つ装置の接続に利用できます。デジタル出力は警報灯の制御や外部機器との連動等に利用できます。デジタル入出力は/procファイルシステムのインタフェースに対応しています。
■ FutureNet MA-E350/FD-16
FutureNet MA-E350/FD-16 はMA-E320/D-16にさらにFOMAハイスピード対応の通信モジュールを本体に内蔵したモデルです。屋外や組み込みシステムで利用する場合や、他社のオフィス等に設置する場合、有線でのWAN接続ができないケースがあります。モバイル通信を利用すると回線工事をすることなくワイヤレスでインターネットや閉域網サービス「ビジネスmoperaアクセスプレミアム」への接続がおこなえます。
また、内蔵型の通信モジュールは運用中に外れる心配がないほか、外部アンテナを接続できるため、別の装置や設備に組み込んでも安定した通信状態を保てるというメリットがあります。また、USBタイプと比べて対応温度範囲が広いため屋外設置など温度条件が厳しい環境にも対応できます。回線サービスはNTTドコモのデータ通信プランをはじめ、各社のMVNOサービスに対応しており、コスト要件に応じて柔軟に回線を選択できます。
FutureNet MA-E350/FD-16はSIMカードスロットと外部アンテナ接続用のコネクタを搭載しています。
通信モジュールは受信時最大7.2Mbps/送信時最大5.7Mbps(*1)の通信速度に対応します。
