火災事故につながる潜在不良バッテリーの流出を防止 絶縁抵抗試験器BT5525 を発売
■開発の背景
カーボンニュートラルの実現を目指し、現在世界中の自動車メーカーでEV(電気自動車)の開発が進められています。EVの動力源であるバッテリーにはLIBが多く採用されているため、限りある資源を守り環境負荷を低減する観点から、サーキュラーエコノミーによる新しい価値の創出が求められています。循環型社会実現のためにバッテリーのライフサイクル全体を考えると、バッテリーの生産においても、安心安全で長寿命な品質を保つことは非常に重要です。また、LIBは多くの電力を蓄えることができる一方で、品質不良や劣化による内部短絡が起きた際には、その高いエネルギー密度ゆえに発火や異常高温といった危険性もはらんでいます。電気計測により内部短絡を未然に防ぐ絶縁抵抗試験は、安全で長寿命のバッテリー生産に不可欠です。バッテリー生産ラインの絶縁抵抗試験の検査品質向上に貢献するため、HIOKIはこのたび絶縁抵抗試験器BT5525 を発売しました。
■概要
絶縁抵抗試験は、絶縁抵抗(電流の流れにくさ)を確認する試験です。測定対象に直流電圧を印加し、絶縁抵抗の数値を確認します。生産ラインにおいてバッテリーセルに損傷や作業工程ミスがあると絶縁抵抗が低くなり、検査で不良品としてはじかれます。しかし、生産過程において金属異物(電極の切れ端のような小さな混入物)が生じた場合、その場では絶縁抵抗が低くならず、検出できないことがあります。検出できなかった混入物は潜在不良となり、完成したバッテリーが長期間使用される間に劣化や内部短絡を引き起こし、最悪の場合火災につながる危険性があります。絶縁抵抗試験器BT5525は、バッテリーセル生産ラインにおいて確実かつ高速に絶縁抵抗計測を行い、潜在不良を検出することでLIBの安全性向上・品質担保に貢献します。
■特長
1. 金属異物を見逃さない独自の検出方式-BDD(Break Down Detect)機能バッテリーセルの絶縁抵抗を計測する際に、絶縁抵抗値だけでなく、高速で微小な電圧、電流の変化を確認します。5MS/s(1秒当たり500万回)の高速サンプリングとアナログピークホールド回路により、微小な電圧、電流の変動をとらえ、潜在不良を検出します。
2. 誤判定を防ぐコンタクトチェック機能
設備や配線の不備によりバッテリーセルに計測端子が正しく接触していない場合、正確な絶縁抵抗試験ができず、不良品流出につながるおそれがあります。BT5525のコンタクトチェック機能は浮遊容量検出方式により検査対象への接触を判定し、工程起因による不良品流出を防ぎます。
3. 最適なコストで生産性を向上
BT5525はバッテリー生産ラインに最適なコストで高い検査品質を提供します。従来比25倍の計測電流による高速検査で時間コストを削減、省スペースで増設できる小型形状によりスペースコストを削減し、需要が高まるバッテリーの生産性向上に貢献します。
■主な用途
LIB向けバッテリーセル生産ラインの絶縁抵抗試験
バッテリーモジュール完成品の絶縁抵抗試験
■年間販売目標台数
国内および外国 2,000台
■価格(税込み)
500,000円 (税込み550,000円)
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