DigiKeyのトピックス
2026/03/17
≪未来の空気質検出器を支えるテクノロジー≫
屋内、屋外を問わず、健康と安全の確保には空気質の測定が欠かせない。測定の手法が手作業による調査から電子センサによる常時監視へと移行し、現在では衛星画像を活用した調査へと飛躍的に進化したことで、超微粒子の詳細なデータをリアルタイムで取得できるようになっている。
テクノロジーの進化によって詳細な監視と調査が可能になったことで、劣悪な空気質がもたらす深刻な健康リスクが明らかになり、世界保健機関(WHO)からは健康に関する注意喚起とガイドラインが、各国政府からは大気質の基準が次々と発表されている。
2021年には、WHOのガイドラインが改定され、大気質基準値の引き下げと、呼吸器に影響がある6種類の主要汚染物質に対する基準の厳格化を推奨する内容となった。特に見過ごされがちなのが屋内の空気質で、多くの人が1日の大半を屋内で過ごすため、その危険性は無視できない。WHOのデータによると、世界で年間約380万人が屋内の劣悪な空気で発症した病気で亡くなっている。
■テクノロジーの動き
今後の規制の動向に注目が集まる中、特に屋内環境で空気中の有害粒子を検出する高性能な新技術の開発競争が始まっている。これまで特殊な検出器が主流だった市場は、AIとリアルタイム監視機能を搭載した量産品の登場により、急速に拡大している。
DigiKeyは世界をリードする電子部品およびオートメーション製品のグローバルディストリビュータとして、大気質改善製品の製造と販売を手がける多くの企業に部品を供給している。DigiKeyでは小型の統合型センサから本格的な評価キットまで多様な製品を提供しており、革新的なソリューションやデバイスの設計や必要な部品の組み込みに従事するエンジニアを支えている。

図1:Aetosenseは低コストの部品と信頼できる仕入先だけでなく、成長に伴って生産規模を大幅に拡大する体制を模索していました。
そんなDigiKeyの顧客企業の一社、Aetosenseは英国ケンブリッジに拠点を置く大気質改善機器専門のスタートアップだ。競合製品よりもスマートで小型かつ低コストの市場初のミニナノ粒子検出器を開発しており、DigiKeyを重要なパートナーと見なしている。
AetosenseのCEOを務めるMolly Haugen氏は次のように語る。「屋内の空気にひそむ健康リスクは、人々が認識している以上に深刻です。というのも、人々が呼吸する空気には汚染物質、ナノプラスチック、ウイルスが含まれており、その90%が現行の空気質センサでは測定できないからです。私たちが今検証しているのは、未来を見据えたソリューションなのです」
■製品開発を支える技術
3Dプリントで一体成型されたAetosenseの検出器は、エアロゾルの流れを常時サンプリングしている。ファンによってエアロゾルが凝縮エリアに引き込まれると、熱力学と流体力学の原理に従ってナノ粒子が成長する。成長したナノ粒子をLEDライトの前を通過させ、その時に発生するライトの散乱をフォトダイオードで常時検出する。Aetosenseでは、散乱光の強度と空気中の粒子数の関係を把握している。収集した粒子数データはビル管理システムに送られ、最新のリアルタイムデータとしてダッシュボードに表示される。ビル管理者と保守担当者はこのダッシュボードを使って、建物内の空気フィルタとエネルギー消費量の状況を継続的に監視および把握できる。
初期段階では有望な結果が得られている。Aetosenseの製品はデータセンターなどの低粒子濃度環境から火災発生時のような高濃度環境まで、幅広い用途に対応した信頼性の高いセンサを備えており、感度の向上を実現していることが示された。
Aetosense製品の強みは、小型のサイズと特許技術(エアロゾルを取り込む方法と粒子を成長させるプロセス)にある。Aetosenseでは、施設の保守運用システムの消耗製品として広く普及させることを目指している。
■パートナーと連携してソリューションを拡大
Aetosenseは開発の当初から小型で軽量なナノ粒子検出器を目標としてきた。というのも、従来のモデルはサイズと重量がネックとなり、特定の条件下やWHOの推奨する広域モニタリング用途では実用に耐えないとHaugen氏が考えているからだ。
ソリューションが継続的に改良される中、DigiKeyはAetosenseに熱電対、圧力センサ、流量センサ、ヒートマット、LEDライトなどを提供し続けている。

図2:ソリューションが継続的に改良される中、DigiKeyはAetosenseに熱電対、圧力センサ、流量センサ、ヒートマット、LEDライトなどを提供し続けています。
現在のプロトタイプは26個の部品で構成されており、10分で組み立てられる。Haugen氏率いる開発チームが当初から求めているのは既製の使い切り部品ではなく、低コストの部品と信頼できる仕入先、さらには初期段階で数千台規模に拡大できる生産能力だ。
DigiKeyと連携することにより、Aetosenseは部品点数を大幅に削減し、競合よりもはるかに安い市場価格を実現することができた。
「私はシーフリバーフォールズで育ったので、そこを本拠地とするDigiKeyが信頼できる企業であり、部品の品質保証に優れていることを知っています。Aetosenseでは、すべての製品が問題なく動作するという前提で百台単位を量産する生産能力を求めています。それは私たちにとって譲れない点です」とHaugen氏は語る。
■今後に向けて
潤沢な資金と信頼できるパートナーの後ろ盾を得たAetosenseは、今後数年にわたってソリューションのスケールアップを続ける準備ができている。スタートアップ企業のAetosenseは、現在シンガポール、ドイツ、イギリスに顧客を持ち、将来的にはカリフォルニア、ニューヨーク、ボストンへの進出も見据えており、製品の需要が拡大している。また、消防セクターや環境セクターなど、複数の市場セグメントからも関心を寄せられている。

図3:潤沢な資金と信頼できるパートナーの後ろ盾を得たAetosenseは、今後数年にわたってソリューションのスケールアップを続ける準備ができています。
大気質への懸念はパンデミックの際に高まり、現在もなお、多くの企業がオフィス勤務に戻る中で重要な課題であり続けている。ビルの管理者には、屋内の空気を一定の質に維持して利用者の安全と健康を守るための積極的な対応が求められている。
Aetosenseの超微粒子検出器をはじめとする先進技術は、オフィス勤務や公共スペースの活動再開における安心と安全の向上に貢献するだけでなく、設置エリアの空気が規制要件以上の質であることを証明するデータ分析ツールとしての重要な役割も果たすことになる。
空気質の関連製品とエネルギー使用製品をサポートするDigiKeyの部品とコンポーネントの詳細については、www.digikey.jpにアクセスしてください。
2025/03/25
製造の自動化が進む中、メーカーは最も重要な資産である労働者の安全を確保する方法を模索し続けています。ロボット、自律走行車両、マテリアルハンドリング装置、その他の複雑なシステムの作業環境は以前よりも危険性が高くなり、生産現場における適切な安全装置の設置が欠かせなくなりました。今日の安全装置にはさまざまな形態があります。現場で導入可能な安全装置を考えるきっかけとして、いくつか例を紹介しましょう。
Eストップ(非常停止装置)は生産現場で最も認知度が高く、考慮されることの多い安全装置の1つです。機械を停止させるための緊急インターフェースだと考えてください。多くのEストップは回路内で通電状態にあり、押すと断線して装置への電流が遮断されます。再び回路に通電させるには、Eストップを引っ張るか回して解除し、回路を元の動作状態に戻します。
OSHA、ANSI、NFPA79、ISO13850、IEC60204-1によると、Eストップはオペレーターが簡単にアクセスできる場所に設置する必要があり、リセットしても操作を再開できない仕様にしなければならないと規定されています。プログラマブルロジックコントローラ(PLC)上の回路を介したオールクリア機能を使用するなど、再開には2番目の冗長アクションが必要です。
ドアインターロックも多くの生産現場に設置されている物理的安全装置です。セーフティインターロックはゲートやドアなどの物理的な仕切りに使用されます。Eストップと同様、通常閉回路で動作します。ゲートやドアが開くと回路が遮断され、すべての動作が停止します。インターロックは ISO14119とISO13849に準拠している必要があります。
オペレーター存在感知トリガは形状も大きさも多岐にわたります。例としては、人が立つとトリガが作動する安全マットが挙げられます。存在を感知したときに機械の停止、逆方向の動作、停止などのトリガを作動させることができます。人間の作業員が離れたら機械の稼働を開始させることを可能にする装置です。
レーザーセーフティスキャナはコボットの普及に伴って非常に人気が高まっています。このスキャナは全方位に照射して作業員や物体とロボットとの距離を表示します。通常、設定されたゾーン内で、ロボットは人間や物体が近くなると速度を落とします。オレンジまたは黄色のゾーンでは物体や人がゾーン外に出るまで、ロボットは協調速度まで減速します。赤いゾーンでトリガが作動すると、ロボットは安全が確保されるまで減速または完全に停止します。
ライトカーテンは油圧プレスのように押しつぶされたり挟まれたりする危険のある場所で特に有効です。ライトカーテンでは送信機から受信機に照射される光電ビームを使用します。ビームが遮断されると、すべての動作が直ちに停止し、障害物が取り除かれると再開します。ライトカーテンは頑丈なゲートやバリケードの設置が難しい場所で特に効果を発揮します。OSHA基準の準拠を求めるメーカーのニーズに合わせて、さまざまなサイズと感度レベルの製品があります。
セーフティプログラマブルロジックコントローラ(PLC)はセーフティクリティカルな機能の監視と管理をするように設計された制御システムです。ラインの状態を監視するための安全対策をプログラムする手段としても利用できます。セーフティPLCは冗長構成によって診断を行い、ラインの一部またはコンポーネントに障害がないかを判断します。電線やモーターが破損して仕様を満たさない状態になった場合、セーフティPLCが該当のシステム全体を直ちにシャットダウンして、怪我や損傷を防ぎます。セーフティPLCは特定のセーフティインテグリティレベル(SIL)に準拠している必要があり、IEC62061、ISO13849-1、IEC61058の準拠が求められます。
上に挙げた安全装置は、メーカーやインストーラーに現在提供されている多くの安全装置の一部に 過ぎません。プロセスを自動化する際は作業員とこれまでに投資した設備を保護するため、安全の専門家やコンサルタントに助言を求め、施設内で起こりうるすべての危険に対処する必要があります。このような専門家やコンサルタントから、OSHA、ANSI、その他すべての安全規制機関の規制に準拠するためのサポートを得ることができます。














