DigiKeyのトピックス
2025/03/25
製造の自動化が進む中、メーカーは最も重要な資産である労働者の安全を確保する方法を模索し続けています。ロボット、自律走行車両、マテリアルハンドリング装置、その他の複雑なシステムの作業環境は以前よりも危険性が高くなり、生産現場における適切な安全装置の設置が欠かせなくなりました。今日の安全装置にはさまざまな形態があります。現場で導入可能な安全装置を考えるきっかけとして、いくつか例を紹介しましょう。
Eストップ(非常停止装置)は生産現場で最も認知度が高く、考慮されることの多い安全装置の1つです。機械を停止させるための緊急インターフェースだと考えてください。多くのEストップは回路内で通電状態にあり、押すと断線して装置への電流が遮断されます。再び回路に通電させるには、Eストップを引っ張るか回して解除し、回路を元の動作状態に戻します。
OSHA、ANSI、NFPA79、ISO13850、IEC60204-1によると、Eストップはオペレーターが簡単にアクセスできる場所に設置する必要があり、リセットしても操作を再開できない仕様にしなければならないと規定されています。プログラマブルロジックコントローラ(PLC)上の回路を介したオールクリア機能を使用するなど、再開には2番目の冗長アクションが必要です。
ドアインターロックも多くの生産現場に設置されている物理的安全装置です。セーフティインターロックはゲートやドアなどの物理的な仕切りに使用されます。Eストップと同様、通常閉回路で動作します。ゲートやドアが開くと回路が遮断され、すべての動作が停止します。インターロックは ISO14119とISO13849に準拠している必要があります。
オペレーター存在感知トリガは形状も大きさも多岐にわたります。例としては、人が立つとトリガが作動する安全マットが挙げられます。存在を感知したときに機械の停止、逆方向の動作、停止などのトリガを作動させることができます。人間の作業員が離れたら機械の稼働を開始させることを可能にする装置です。
レーザーセーフティスキャナはコボットの普及に伴って非常に人気が高まっています。このスキャナは全方位に照射して作業員や物体とロボットとの距離を表示します。通常、設定されたゾーン内で、ロボットは人間や物体が近くなると速度を落とします。オレンジまたは黄色のゾーンでは物体や人がゾーン外に出るまで、ロボットは協調速度まで減速します。赤いゾーンでトリガが作動すると、ロボットは安全が確保されるまで減速または完全に停止します。
ライトカーテンは油圧プレスのように押しつぶされたり挟まれたりする危険のある場所で特に有効です。ライトカーテンでは送信機から受信機に照射される光電ビームを使用します。ビームが遮断されると、すべての動作が直ちに停止し、障害物が取り除かれると再開します。ライトカーテンは頑丈なゲートやバリケードの設置が難しい場所で特に効果を発揮します。OSHA基準の準拠を求めるメーカーのニーズに合わせて、さまざまなサイズと感度レベルの製品があります。
セーフティプログラマブルロジックコントローラ(PLC)はセーフティクリティカルな機能の監視と管理をするように設計された制御システムです。ラインの状態を監視するための安全対策をプログラムする手段としても利用できます。セーフティPLCは冗長構成によって診断を行い、ラインの一部またはコンポーネントに障害がないかを判断します。電線やモーターが破損して仕様を満たさない状態になった場合、セーフティPLCが該当のシステム全体を直ちにシャットダウンして、怪我や損傷を防ぎます。セーフティPLCは特定のセーフティインテグリティレベル(SIL)に準拠している必要があり、IEC62061、ISO13849-1、IEC61058の準拠が求められます。
上に挙げた安全装置は、メーカーやインストーラーに現在提供されている多くの安全装置の一部に 過ぎません。プロセスを自動化する際は作業員とこれまでに投資した設備を保護するため、安全の専門家やコンサルタントに助言を求め、施設内で起こりうるすべての危険に対処する必要があります。このような専門家やコンサルタントから、OSHA、ANSI、その他すべての安全規制機関の規制に準拠するためのサポートを得ることができます。
