四国化工機様の食品・飲料用充填機向けにUV‐LED照射装置を開発
MUTOH ホールディング株式会社の中核子会社である武藤工業株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:礒邊泰彦)は、四国化工機株式会社様(本社:徳島県板野郡北島町、代表取締役社長:植田滋: 以下「四国化工機」)向けに、波長280nmのUV‐LEDを利用した紫外線(UV)照射装置(UV‐LED照射装置)を開発しました。本装置は四国化工機の食品・飲料用充填機に採用され、容器の殺菌用途に使用されます。
食品・飲料用充填機の殺菌用光源には、これまで紫外線水銀ランプが広く利用されてきました。今回開発した殺菌用途のUV‐LED照射装置は、光源に日亜化学工業株式会社(本社:徳島県阿南市、代表取締役社長:小川裕義、 以下「日亜化学」)の高出力UV‐LEDを使用することで、水銀フリーを実現していることに加え、長寿命、低消費電力などの特長を有しています。
本装置は、食品製造総合展「FOOMA‐JAPAN2025」(6月10日~同13日)において四国化工機のブースにて展示される予定です。
■武藤工業の取組み背景と今後の展開
当社は、大判インクジェットプリンタ事業をグローバルに展開していますが、近年、吐出するUVインクをUV‐LED照射で硬化・定着させるUVプリンタシリーズを強化しております。その過程で、UV‐LED照射装置の開発企業である「アンプスピード株式会社」を買収し、UV‐LED照射の制御・システム組込技術やノウハウを内部蓄積してきたこと、大判プリンタで培ってきた、制御技術、冷却技術等の総合力が今回の高度な殺菌用 UV‐LED照射装置の開発に活かされました。
UV‐LED照射装置には、殺菌だけでなく、インクや塗料・接着剤・コーティング剤などの硬化や乾燥等の多様な機能があります。また、瞬時起動が可能で、紫外線LEDの「ハイパワー化」によりメタルハライドランプ含めた高効率水銀灯の置き換えにて水銀フリーも実現できることから、食品・飲料業界や電子材料業界等のさまざまな分野での活用が期待されています。そうした展望を視野に、UV‐LED照射装置を核とする光応用事業を新たに『AMP SPEED』ブランドのもと、新規事業として展開することで当社の将来成長を牽引すると共に、水銀レス社会の実現に貢献してまいります。
■四国化工機の殺菌用途向けUV-LED照射装置の概要
(1) 水銀不使用による環境負荷の低減
EUの有害物質使用制限指令(RoHS指令)や水俣条約では、環境汚染や健康被害の懸念から水銀の使用が規制されていますが、食品・飲料の充填機に搭載する殺菌装置には、代替技術が無いことから水銀ランプが広く使われてきました。波長280nm領域におけるUV‐LEDの高出力化等の技術革新により、光源のUV‐LED化が可能となり、水銀フリーの殺菌を実現しました。
(2) 省エネで高い殺菌効果
四国化工機は、デザートカップやボトルなどの充填機に搭載する殺菌装置の性能について、枯草菌を99.9%以上殺菌することを基準としています。水銀ランプと異なり、UV‐LEDは、カップやフィルム、キャップなどの対象物にのみ紫外線を照射することができ、少ないエネルギーで効率的な殺菌が可能です。
(3) 作業性の向上
水銀ランプでは、照度が安定するまで10分程度の待機時間が必要ですが、UV‐LEDは、装置の電源を入れるとすぐに照度が安定するため、起動時の時間ロスがありません。また劣化による割れやガラスが飛散する場合があり、安全な状態で再稼働するまでにかなりの時間を要します。UV‐LEDは、このような課題を克服しており、稼働停止時間の低減と作業の安全性を大幅に改善することができます。
(4) 長寿命
水銀ランプでは、電極の劣化や水銀原子のガラス管への吸着が生じます。このため四国化工機では、充填機に搭載する殺菌装置の水銀ランプ寿命は2,000時間程度としています。他方UV‐LEDは経年劣化が少なく、その寿命は約10,000時間以上を想定しており、5倍以上となります。
