業界トップクラスの高効率を実現した液晶パネル用LEDドライバを開発、高耐圧・大電流化により小型から大型まで幅広いサイズでのモデル共通設計を実現
ローム株式会社(本社:京都市)は、液晶パネル(テレビ、モニター)の低消費電力化に大きく貢献する4chバックライト用LEDドライバ「BD9428」を開発しました。
新製品は、ロームが誇る独自の制御回路技術により、高効率、低騒音を同時に実現。内蔵するMOSFETの耐圧を80Vに高め、最大LED電流を250mA/chに向上したことで、幅広い画面サイズへの対応が可能となり、設計負荷の軽減に大きく貢献します。
生産拠点は、前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)となり、9月からサンプル出荷(サンプル価格:200円)を開始し、11月から当面月産20万個の規模で量産を開始する予定です。
<背景>
液晶パネルで使用される電力のうち、約7割はバックライト部分で占めると言われ、その高効率化は常に大きな課題となっております。近年は急速にLED化が進んでいますが、ロームはLEDドライバからLEDに供給する電源電圧を最適化し、LEDバックライト・システム全体の消費電力を削減する基本となる特許を取得しており、かねてより業界をリードする機種開発を進めてまいりました。
一方でセットにおける設計時間の短縮やコスト軽減のため、バックライト部分のLEDドライバと一次電源部分のAC/DCコンバータを同一基板上に構成し、プラットフォーム化するような要求も増えていましたが、高耐圧化や大電流対応、発熱対策が課題となっていました。
<新製品の詳細>
高耐圧・大電流化、放熱性向上の解決策としては、LED駆動用MOSFETを外付けする方法が一般的ですが、実装面積や部品コストの増加が問題となってしまいます。
今回、ロームでは最先端の高耐圧BiC-DMOSプロセスにより、1チップで従来60VであったLED端子電圧を80Vに高め、最大LED電流も従来の150mA/chを250mA/chまで大電流化することに成功しました。高耐圧、大電流化の際に発生しやすくなるコイルの音鳴りについては、PWM調光時に電流波形を滑らかにする独自回路を内蔵することで改善するとともに、回路の最適化によりパルス信号が短くても安定動作が可能となっています。
また、特許取得済みの高効率化システムにより、従来の制御方法と比較し、10%以上効率を改善。機器の低消費電力化にも大きく貢献します。さらに、DIPパッケージを採用することで、同一基板化の際に課題となっていた放熱対策も容易になりました。これらにより、低インチから高インチまで幅広い画面サイズで使用いただくことが可能となり、設計コストの低減や開発時間を大幅に短縮することもできます。
ロームでは、今後も得意とするアナログパワー技術を活かし、低消費電力でより付加価値の高いLEDドライバの開発を行ってまいります。
