高感度を実現しながらノイズに強い静電スイッチコントローラICを開発
<要旨>
ローム株式会社(本社:京都市)は、家電やOA機器などの機械式のON/OFFスイッチを代替する、静電容量式のタッチスイッチを構築するためのコントローラIC「BU21079F」を開発しました。
BU21079Fは、ロームの静電スイッチコントローラICシリーズ BU21072MUV/BU21078MUVに追加される新製品で、高評価を得ている「高感度を実現しながらノイズに強い」という特長を継承しつつ、間欠動作を取り入れることで低消費電力を実現しています。パッケージは、家電業界では根強い要望があるリード付き表面実装型のSOP16を採用しました。
本製品は、2013年7月より既にサンプルを出荷(サンプル価格200円)しており、2013年11月から当面月産5万個の体制で量産を開始する予定です。生産拠点は前工程がローム株式会社(京都市)、後工程がROHM Electronics Philippines Inc.(フィリピン)となります。
<背景>
電子機器の操作パネルには、いくつものスイッチが並んでいますが、その多くは機械式のON/OFFスイッチです。近年、スマートフォンに端を発するタッチ操作が広がり、静電スイッチには機械的な摩耗や塵などの侵入による接触不良がないことや、スタイリッシュなデザインを実現できるため、様々な機器の操作パネルに検討されるようになりました。
ロームは、これらの需要に向けた静電容量式タッチスクリーン用およびタッチスイッチ用コントローラICを開発。独自のユーザインタフェース制御技術によって高感度でありながら高いノイズ耐性を実現し、好評を得ておりましたが、一方で消費電力削減や実装負荷軽減に対する要望も高まっておりました。
<新製品の詳細>
今回開発したBU21079Fは、間欠動作の採用で従来シリーズ品から消費電力を削減しており、家電業界の標準的なパッケージであり表面実装が容易なSOP16を採用しています。特にプリンタ等のOA機器や電子レンジ、IHクッキングヒータといった家電など、比較的シンプルな操作パネルに使い易い製品となっています。
一般的に静電スイッチには、感度を上げるとノイズに弱くなるという相反関係がありますが、ロームが得意とするアナログ技術を駆使して回路を最適化することにより、ノイズの判別機能を高め、高感度と高ノイズ耐性を両立させました。これにより、最大15mm厚のオーバーレイでも使用でき、スイッチ電極との配線距離も一般製品の約2倍となる1mに対応。曲面パネルを採用した機器や大型の白物家電など、これまで静電スイッチの搭載が難しかった機器への導入も容易になりました。
電源電圧は3.0V〜5.5Vで動作し、I2C I/F、MCU内蔵、マトリックススイッチ拡張機能、長押し機能などを備えており、スイッチ電極は8chに対応しています。
今後は、高感度、高ノイズ耐性、長距離配線対応などの特長を活かし、産業機器対応品の開発も進めていく予定です。
