従来比50%減となる世界最小クラスのトランジスタ「VML0604」を開発
<要旨>
製品写真 ローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、スマートフォンやウェアラブル機器など小型、薄型が求められるあらゆる電子機器向けに、世界最小サイズ※のトランジスタ「VML0604」(0.6mm×0.4mm、高さ0.36mm)を開発しました。
本製品は、10月より既にサンプル出荷(サンプル価格80円/個)を開始し、2014年6月から月産1000万個の体制で量産を開始する予定です。なお、生産拠点は前工程がローム株式会社(京都市)およびローム・アポロ株式会社(福岡県)、後工程がROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ)となります。
※ 2014年3月10日現在 ローム調べ
<背景>
近年、スマートフォンやウェアラブル機器をはじめとする電子機器市場では、常にセットの小型化や高機能化が進められており、搭載する電子部品に対しても常に小型化、薄型化が要求されています。
一方で、トランジスタでは、ボンディングの安定性、パッケージの加工精度などの技術的な課題に加え、搭載素子のサイズを大きくできず、オン抵抗が上昇してしまうことから、ラインアップは耐圧20Vの製品に限られていました。
<特長>
1. 世界最小サイズを実現し、実装面積を大幅に低減
今回、新パッケージおよび素子の新プロセス化により世界最小サイズとなるトランジスタ「VML0604」 (0.6mm×0.4mm、高さ0.36mm)の開発に成功しました。
パッケージにおいては、内部構造の最適化、高精度パッケージ加工技術の導入により、これまで最小トランジスタパッケージとされていたVML0806(0.8mm×0.6mm、 高さ0.36mm)に比べ、実装面積を50%低減。トランジスタパッケージとしては世界最小サイズとなります。
新パッケージは小信号MOSFETに展開し、今後ラインアップを拡充する予定です。これにより、あらゆるセットでの省スペース化、高密度化に貢献してまいります。
2. 端子間隔の確保により、実装性も良好
小型化が進むにつれ、基板への実装が難しくなりますが、今回端子間隔0.2mmを確保することで、良好な実装性を維持しています。
3. 小型化に加えて、世界最高の低オン抵抗も達成
パッケージの小型化を行うことで、搭載できる素子のサイズが制限されます。素子のサイズが小さい場合、オン抵抗が非常に高くなり、従来の小信号トランジスタの性能を維持することが困難でした。
しかし、本製品は素子に新プロセスを採用することで、耐圧30V品の超小型トランジスタとしては世界最高性能※の低オン抵抗0.25Ω(VGS=4.5V時)を達成することができました。
4. 耐圧40~60V製品も追加し、豊富なラインアップを実現
従来より高い耐圧でも低オン抵抗を維持できるため、新たに耐圧40~60V品を加えラインアップを拡充しました。
