世界初※「HD-PLC」inside規格準拠のベースバンドICを開発システムワンチップでコンセントデータ通信の普及を一気に加速
ローム株式会社(本社:京都市)は、世界で初めて※電力線搬送通信(以下PLC)規格の「HD-PLC」inside規格に準拠するベースバンドIC「BU82204MWV」を開発しました。
「HD-PLC」insideは、高速の電力線搬送通信として注目されている「HD-PLC」の組み込みに適した新しい規格であり、準拠するベースバンドICをM2MやIoT、スマートコミュニティ構築機器などに組み込むことで、既存の電力線を通信のネットワークとして利用できるようになります。
新製品は、「HD-PLC」insideのベースバンド処理に加え、ARMコアを内蔵。多彩なインターフェースを搭載した他、IC内でTCP/IPなどのプロトコル処理を可能にします。このため、家電製品などの既存システムから大きな変更を必要とせず、お客様の「HD-PLC」導入における開発負荷を大幅に軽減する事ができます。また、間欠動作機能を搭載しており、従来のPLC製品と比べ大幅な低消費電力化を実現します。
2014年6月よりサンプル出荷(2,500円/個:税抜)を開始し、2014年9月から当面月産10万個の体制で量産を開始します。生産拠点は前工程がローム本社工場(京都市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)となります。なお、お客様に「HD-PLC」insideをご評価頂くための、評価ボード、リファレンスソフトウェアも準備しています。
<背景>
近年、あらゆる分野で省エネの意識が高まっており、各種インフラを効率的に使用するため、モニタリングを行い、制御・管理するシステムを活用したスマートコミュニティが注目されています。
ロームグループは兼ねてより、無線LANや特定小電力無線向けなどの無線通信用途の製品を開発していますが、一方で無線には、セキュリティ面や混信による通信障害や、鉄筋コンクリートや金属フレームを使用した建築環境下で通信品質が低下するといった弱点があります。
ロームグループでは、これらの弱点を補い無線と共存関係を築ける通信手段として、有線の電力線ネットワークを活用する「HD-PLC」に注目してきました。2012年に「HD-PLC」のアライアンスに参画したロームは、「HD-PLC」inside実現のためにグループ内の豊富な技術を結集し、「HD-PLC」insideに準拠するベースバンドICを開発しました。
<特長>
1.TCP/IPプロトコルスタックを搭載
今回のベースバンドICはARMコアを内蔵しており、「HD-PLC」insideのベースバンド処理に加えて、TCP/IPプロトコル処理も搭載しています。また、ホストCPUとのデータインターフェースには、組み込み用途に最適な「UART」「SPI」を採用しています。このため、セット製品の既存システムの大幅な変更を必要とせず、お客様の「HD-PLC」導入における開発負荷を軽減する事ができます。また、ソフトウェアのカスタマイズも可能で、スマートハウスの通信規格であるECHONET LiteやSSL(暗号化)などのミドルウェアにも対応する事ができます。
2.多彩なインターフェースを搭載
ホストCPUとのデータインターフェースに使用する「UART」「SPI」に加え、各種センサ類やLEDドライバなどの周辺デバイス用に「I2C」「PWM」「GPIO」を搭載しています。内蔵CPUで制御することで、簡易なシステム構築が可能です。
3.低消費電力を実現
間欠動作機能を導入することで、受信待機時の消費電力を従来の「HD-PLC」Complete規格に対して、およそ30分の1に低減しました。
※6月26日現在 ローム調べ
