世界最小サイズ※の32.768kHz水晶発振器 「SG-3050BC」を開発
従来製品(SG-3030LC:3.6×2.8×1.2t mm)と比べ、面積で約70%、体積では約75%を削減し、電子機器の小型化、高機能化に貢献いたします。
サンプル価格は1,000円/個で、2009年3月よりサンプル対応を開始いたします。
32.768kHz水晶デバイスは、時計、サブマイコン用クロック(スリープ、タイマ)用途で、セルラー、デジタルスチルカメラなどの小型携帯機器をはじめとした民生機器や、産業用機器(計測機器、工作機械等)、車載機器(カーナビゲーション、GPSモジュール、ECU等)など、幅広いアプリケーションにおいて必須のデバイスとして活用されています。
また、32.768kHzの基準クロックは、32.768kHz音叉型水晶振動子と発振回路を組み合わせたり、発振回路を内蔵した32.768kHz発振器が使われたりしています。
近年では、環境負荷低減に対する意識が高まり、電子機器製品の高機能化を維持しながら、小型化による原材料の低減、徹底した低消費電力化に対する市場要求が増えています。これにより、音叉型水晶振動子と発振回路の小型化が進み、振動子と発振回路の組み合わせでは、今までと同等以上の精度や低消費電力化を実現するための設計が難しくなってきており、このような要求を満足する小型発振器が求められてきております。
そのニーズに応えるため、エプソントヨコムでは、この度、超小型32.768kHz水晶発振器「SG-3050BC」(2.2×1.4×1.0t mm Max.)を開発しました。すでに、「FC-12M」(2.0×1.2×0.6t mm Max)などの超小型32.768kHz音叉型水晶振動子を業界に先駆けてリリースした当社は、「SG-3050BC」をラインナップに加えることで、超小型分野において振動子と発振器の両方のソリューションをトータルで提供することができるようになりました。
「SG-3050BC」は、QMEMS (*2)技術を用いて加工した超小型の水晶チップを搭載しています。また、セラミックパッケージの振動子と発振回路のICをプラスチックモールドで一体化した当社独自技術のNPO(New Platform Oscillator)構造 (*3) を応用した新構造により、水晶振動子内蔵の32.768kHz発振器として世界最小サイズを実現しました。小型水晶振動子と発振回路を別々に構成する場合に比べて、省スペースを実現するとともに、水晶発振特性が出荷時において保証されているため、発振回路設計や周波数調整が不要になり、システムの信頼性と品質の向上にも大きく貢献いたします。
性能面においても、動作電圧が1.2~5.5V、周波数初期偏差が5.0 ±5.0×10-6と、従来製品SG-3030シリーズより性能が向上しております。
エプソントヨコムは、ますます高機能化が進む電子機器のスペース効率の向上と、システムの高付加価値化に、トータルソリューションで貢献してまいります。
※水晶一体型構造の32.768kHz水晶発振器において。2009年3月17日現在、当社調べ。
【主な仕様】
外形寸法:2.2×1.4×1.0t Max. ㎜(SON-6 pin)
動作電源電圧:1.2V~5.5V
動作温度範囲:-40℃~+85℃
消費電流:2.0µA(Max.)/3V
周波数初期偏差:AA精度:5.0 ±5.0×10-6 Max.
B精度:5.0 ±23.0×10-6 Max.
【用語説明】
(*1) 32.768kHz水晶発振器
32.768kHzの水晶振動子と発振回路ICを1つのパッケージに内蔵した製品です。発振回路設計、周波数精度調整が不要になると共に、回路基板のスペース効率が向上できるというメリットがあります。
(*2) QMEMS
高安定・高精度などのすぐれた特性を持つ水晶素材である「QUARTZ」と、「MEMS」(微細加工技術)を組み合わせた造語です。半導体を素材としたMEMSに対して水晶素材をベースに精密微細加工を施し、小型・高性能を提供する水晶デバイスを「QMEMS」と呼びます。
「QMEMS」は、エプソントヨコムの登録商標です。
(*3) NPO構造
セラミックパッケージ振動子を、発振回路(IC)とともにプラスチックモールドした発振器。セラミックパッケージに比べて、熱ストレス吸収・耐振動性に優れており、バッチ処理により生産性が高いという特徴を持っています。
