世界初※ ATと同等以上の3次温度特性を実現した高精度SAW発振器「EG-4101/4121CA」を開発
2009年12月にサンプル対応開始、2010年3月の商品化を目標としております。
近年、通信の高速化によるリファレンスクロックの高周波化に加え、ブレードサーバをはじめとする筐体の小型化に伴い、内部発熱の影響が大きくなり、各電子デバイスには温度範囲拡大・高精度の要求が高まってきております。また屋外に設置される無線基地局など低温から高温の環境において、長期に動作が安定した電子デバイスが必要とされております。
このような市場の動向に対応するため、当社では、高速転送インタフェースのLAN (*3)/SAN (*4)機器向けに、当社独自のSAW設計手法を駆使することで、世界で初めて3次温度特性を持つSAW発振器「EG-4101/4121CA」を開発、周波数温度特性の大幅な改善に成功いたしました。
これにより、100~700MHzの高周波帯を基本波発振させることで、低ジッタ・低位相雑音という特長を持つと同時に、精度の良いAT発振器と同等の周波数温度特性を実現したSAW発振器となっております。
「EG-4101/4121CA」は、広い温度範囲にて高周波・高精度クロック(低ジッタ、低位相雑音)を必要とされるサーバ・ネットワーク機器や無線通信用途において、さらなるシステムの信頼性と品質の向上に貢献いたします。
今後も、この新開発した技術をキーテクノロジーとしてSAW発振器のラインナップの拡充を行い、幅広い分野での需要にお応えしてまいります。
※SAW発振器として。当社調べ。
高周波のリファレンスクロックを得るには、100MHz~700MHzの周波数を基本波発振させることでジッタ特性、位相ノイズ特性に優れたSAW発振器を使う方法と、温度特性に優れたAT発振器を逓倍することで高周波に対応する方法があります。
2次温度特性のSAW共振子は、3次温度特性のAT振動子に比べて、周波数温度特性が課題でした。そのため、周波数温度特性を改良したSAW発振器を開発してまいりましたが、この度開発した3次温度特性を持つSAW発振器により、精度の良いAT発振器と同等以上の周波数温度特性と共に、ジッタ特性、位相ノイズ特性に優れた製品を実現することができました。
【主な特徴】
1)当社独自の高安定SAW共振子により、高精度(周波数許容偏差:±50×10-6)を実現
2)-40℃~+85℃(標準)/-40℃~+90℃(オプション)の広温度範囲に対応
3)基本波発振による低ジッタ(*1)特性/低位相雑音(*2)特性
4)多くの出力負荷条件(Differential LV-PECL、LVDS、HCSL)に対応
5)厚さ1.2t㎜の薄型設計
【用語説明】
(*1) ジッタ
クロックの周期のゆらぎのことで、画像の揺らぎやデータ転送でのビットエラーなどの原因になることがあります。
(*2) 位相雑音
水晶発振回路の内部および外部環境(雑音)により発生する発振周波数近傍の不要なエネルギー放射。この数値が高いと無線信号の送受信エラーが発生します。
(*3) LAN(Local Area Network)
オフィスなどの同一建物内にあるコンピュータや周辺機器同士を接続し、情報を交換したり相互通信するネットワークのことです。主な規格にEthernetがあり、近年この通信速度の高速化が進んでおります。
(*4) SAN(Storage Area Network)
外部記憶装置(ストレージ)とサーバ間を結ぶネットワークのことです。大容量のデータ保存・処理を高速に行うことができるシステムで、主な規格にFibre Channelがあります。
