±0.1×10-6の周波数温度特性を実現した超高精度・高安定TCXO「TG-5500CA」を開発
2009年12月にサンプル対応を開始し、2010年3月の商品化を予定しております。
家庭向け超小型携帯基地局の基準クロックには、周波数温度特性が±0.1×10-6以上の高精度が必要とされています。また、基幹系ネットワーク機器には±4.6×10-6/20年の安定度が求められます。このクラスの周波数精度を得るためにはOCXO(恒温槽付水晶発振器)や原子発振器クラスの高精度発振器の使用が一般的です。
「TG-5500CA」は、「QMEMS」(*1)技術を駆使した水晶振動子を搭載するとともに、熱伝導性を考慮した独自の新構造設計により、周波数温度特性や長期エージング特性の高精度化を実現しています。
さらに、通信の品質に影響を与える温度追従特性(*2)、周波数ゆらぎ特性(*3)などの周波数安定特性も弊社従来品(7.0×5.0mmサイズ品)のTCXOに比べ大幅に改善しています。
これにより、現在のTCXOに対してワンランク上の周波数精度を実現できたことで、今までOCXO領域とされてきた用途への使用を可能とし、OCXOを使う場合と比べてシステム全体の低消費電力化や小型化へ大きく貢献できます。
また、既存のTCXOを用いたシステムにおいても性能・機能の向上に貢献いたします。
特に、フェムトセル(*4)基地局やStratum3(*5)などの基幹系ネットワーク機器に最適です。
【主な特長】
1)周波数温度特性が±0.1×10-6となる超高精度
2)優れたヒステリシス特性
3)Stratum3に対応可能な長期エージング特性(20年で±3.0×10-6)
4)良好な温度追従性と小さい周波数ゆらぎ特性
【用語説明】
(*1)QMEMS
高安定・高精度などの優れた特性を持つ水晶素材である「QUARTZ」と、「MEMS」(微細加工技術)を組み合わせた造語です。半導体を素材としたMEMSに対して、水晶素材をベースに精密微細加工を施し、小型・高性能を提供する水晶デバイスを「QMEMS」と呼びます。「QMEMS」は、エプソントヨコムの登録商標です。
(*2)温度追従特性
デバイス外部の急峻な温度変化に対する周波数変動特性を表し、時間経過に対する温度変化の小さい静的な温度変化に対する特性、いわゆる通常の温度特性と区別して表されます。
(*3)周波数ゆらぎ特性
微小な周波数変動特性で、その原因は水晶振動子のQ値、発振回路雑音、温度補償回路雑音、などのように温度変動に依存しないものもあります。ここでは、デバイス周辺の温度変化や空気の流れなどによって発生する温度変動による周波数の微小変動を表しています。
(*4)フェムトセル
不感エリア対策や将来的にはホームネットワークサービスを視野に一般家庭や高層ビル内オフィスなど半径数十メートル小さなエリアをカバーする超小型の携帯電話基地局。
(*5)Stratum3
SONET(Synchronous Optical NETwork:同期光伝送網)や時刻同期網のNTP(Network Time Protocol:ネットワーク内に正確な時刻情報を提供するプロトコル)サーバーなどのクロック、タイムベースで、上位からstratum1,2,3...と階層をなす規格の一つです。Stratum 3に準拠した発振器への要求規格には、±4.6×10-6/20年の長期的な安定度、±0.37×10-6/24hなど、短中期の安定度要求があります。
