エプソンとIDT社、テレコム・データセンターアプリケーション向けの新たなタイミングソリューションで連携
セイコーエプソン株式会社(社長:碓井 稔 以下エプソン)と米国Integrated Device Technology, Inc.(以下IDT社)は、このたびテレコムアプリケーションおよびデータセンターアプリケーションにおける位相ノイズ問題に対応する、高性能タイミングソリューションで連携します。IDT社が新たに開発したジッター減衰器/周波数シンセサイザー『8V19N474』は、エプソンのVCXO(電圧制御水晶発振器)『VG-4513』と併用することで、高速イーサネットに要求される厳しい位相ノイズ性能を実現します。
IDT社の『8V19N474』は、極めて低い*1位相ノイズを誇るジッター減衰器/周波数シンセサイザーです。厳しい位相ノイズ性能を要求される、56Gbps PAM4(TX)用PHYを使用する100/400Gbpsの高速イーサネットインターフェースへの移行に対応可能です。さらに、高精度なクロッキングが求められるアプリケーションにも適しています。
また、12個までの基準クロック信号を生成し、さまざまな高性能同期クロックが出力可能なため、複雑なアプリケーションにおけるイーサネットや光伝送網に最適であるとともに、AD/DA変換器、CATVヘッドエンド、DOCSIS 3.1規格のアプリケーションにも対応しています。さらに、有線通信では、PAM4用PHYに求められる厳しい位相ノイズ性能に適合し、ビット誤り率や信号対雑音比(S/N比)を改善、通信品質の向上に貢献します。
水晶デバイスのリーディングカンパニーである*2エプソンのVCXO『VG-4513』は、このソリューションにおいて重要かつ実績のあるデバイスです。さらに、HFF(高周波基本波)水晶振動子を使用することにより、低い近傍位相ノイズを実現しています。
また、『8V19N474』に内蔵されたVCO(電圧制御発振器)は、高オフセット周波数で優れた位相ノイズ性能を実現しています。
これらの位相ノイズ性能を実現している『8V19N474』と『VG-4513』を併用することで、非常に高い位相ノイズ性能を実現します。また、低損失レギュレータではなく、スイッチングレギュレータの使用が可能なため、部品点数やコストの削減にも役立ちます。
IDT社のタイミング製品部門ゼネラルマネージャーであるKris Rausch氏は、次のようにコメントしています。
「エプソンとの連携は、今日の最先端の設計に必要とされるタイミング技術を提供するという当社のコミットメントを強化するものであり、両社の共同ソリューションは、業界最高の高速データ通信に不可欠な通信機器の開発・設計に取り組むエンジニアへの大きな助けとなるものです。」
エプソンの執行役員マイクロデバイス事業部長 北村政幸は、次のようにコメントしています。
「エプソンは、ネットワークタイミング技術の開発に尽力しており、当社のVCXOの極めて低い位相ノイズにより、高速の電気的インターフェース、光モジュール、基地局向け水晶デバイス製品を提供しています。さらに、このたびのIDT社との連携により、同期イーサネット、IEEE-1588、データセンターや通信キャリアのインフラ、基地局のRFコンバーターなどの幅広いネットワークアプリケーション向けのレファレンスデザインの提供が可能となりました。」
IDT社の『8V19N474』は、25 MHz~2500 MHzの幅広い出力周波数範囲(125 MHzと156.25 MHzを含む)に対応しており、振幅の調整が可能なLVDS出力およびLVPECL出力を実現します。『8V19N474』は、8×8mmの81-CABGAパッケージで、『VG-4513』は、7mm×5mm×1.6mm または5mm×3.2mm×1.3mmのセラミックパッケージで提供しています。
今後もエプソンは水晶デバイスのリーディングカンパニーとして、さまざまな電子機器や社会インフラのニーズに対応する水晶デバイス商品を提供してまいります。
*1 75フェムト秒(75000兆分の一秒)(1フェムト秒は10-15秒)のRMS位相ノイズ
*2 CS&Aの2015年市場報告による水晶振動子・発振器における市場シェア
■ エプソンのVCXO『VG-4513』の詳細情報は下記ウェブページをご参照ください。
http://www5.epsondevice.com/ja/products/vcxo_low_phase_noise/
