【耐環境製品】過酷な環境でも使用可能な産業用コンピューターモジュール
【耐環境製品】 過酷な環境でも使用可能な産業用コンピューターモジュール
~ファンレス密閉型コンピューターをモジュラー式で実現~
多くの産業用コンピューターは過酷な環境での使用が想定されるため耐環境(Rugged)性能が要求されます。 モバイルや車載用では耐振動や耐衝撃性が求められ、エッジコンピューティングなどでは、データセンターの性能をエッジに持ち込むための工夫が求められます。 このような用途に対しては、カスタマイズが容易なことや、将来のメンテナンスやアップデートにおいても有利となることから、汎用マザーボードよりもモジュラータイプのコンピューター・オン・モジュール(COM)を採用することが一般的になってきています。
ここでは耐環境の概要を解説し、そのような用途に利用可能なコンピューター・オン・モジュール(COM)製品を紹介します。 また、特定の用途向けのカスタマイズについても解説します。
耐環境モジュールについては、次の技術資料(ダウンロード無料)も参考になりますので、ご一読ください。
【ホワイトペーパー】堅牢なコンピュータ・オン・モジュール~堅牢とはどのくらい堅牢なのか?
一口に過酷な環境といってもその意味するところにはいくつかの要素があり、さまざまな克服すべき課題があります。
その主な要素には次のようなものがあります。
【耐振動/耐衝撃】
車載用や移動用(モバイル)の場合はもちろん、設置型の場合でも地震やその他のミッションクリティカルな事象に対する重要インフラ保護(CIP)のために耐衝撃性や耐振性が必要になるケースがあります。 多くの標準的なマザーボードやコンピューター・オン・モジュール(COM)では、SO-DIMM コネクタを使用してメインメモリーを実装する方式を採用しています。 メモリーは特定のアプリケーション向けにカスタマイズすることが多いため、このモジュラー方式は機器メーカーにとって適しています。 しかしながら、 このようなコネクタは衝撃や振動に対する耐性が十分ではありません。 そのため、耐衝撃/耐振動が求められるアプリケーション向けには、メモリーを基板に直付け(はんだ付け)して堅牢性を高めたモジュールを使用する必要があります。
標準のCOMフォームファクターの仕様で、メモリーを基板にハンダ付けすることが規定されている規格には、「COM-HPC Mini」 や 「COM Express Type 10 Mini」、「SMARC」 などがあります。 また、「COM Express Type 6」 でも耐環境版としてメモリーを直付けにした製品もあります。
さらに、メモリーの信頼性を向上させるためにエラー訂正コード(ECC)付きのバリエーションが用意されていることもあります。
【産業用動作温度】
過酷な環境の一つに環境温度があります。 設置される場所や機器の構造によっては、コンピューターモジュールが非常に高温になったり極低温になる場合もあります。 一般的な商用コンピューター・オン・モジュールの動作温度範囲は、0℃~+60℃ ですが、産業向けには動作温度範囲が、‐40℃~+85℃ の製品も用意されています。 筐体内では外気温よりも高温になるため、冷却方法を吟味する必要があります。 冷却にはファンを使ったアクティブ冷却と回転機を使わないパッシブ冷却があります。 アクティブ冷却のほうが強力ですが、寿命やメンテナンスの問題があるため、過酷な環境向けの組込みシステムでは通常、パッシブ冷却が使われます。 また、医療機器など静音動作(無音動作)が必要な場合にもパッシブ冷却方式が使われます。
【防塵/防水】
屋外環境で風雨から完全な保護がされていない場所や、雨以外による水にさらされる可能性がある場合、砂やほこりが多い場所などで使用される場合などは、密閉構造にしなければなりません。 このとき、大きな問題となるのは冷却です。 密閉されている場合、発熱する部分を直接、空冷することができなくなるため、効果的は廃熱方法が必要であると同時に幅広い動作温度範囲に対応していることが求められます。
また、完全に密閉されていない場合には、湿気や結露、 硫化などによる腐食から保護するためのコンフォーマル コーティングが必要になる場合もあります。
【ファンレス設計の冷却システム】
産業用途の場合、密閉構造など容易にメンテナンスができない環境に設置される場合があります。 このとき問題となるのは比較的寿命の短い回転機器である空冷用のファンです。 産業向けでは機器の長寿命化のためにファンを使ったアクティブ冷却ではなくパッシブ冷却方式を採用することが多くあります。 しかし、プロセッサーの高性能化に伴って消費電力が増大し発熱も大きくなってきており、標準のヒートシンクだけでは十分に冷却できずに、プロセッサーのスロットリング(動作クロック周波数を下げて消費電力と発熱を抑える)により性能を十分に引き出せないことがあります。 そこで重要となってくるのが冷却システムです。 高温になったプロセッサーの冷却効率を上げるために、ヒートシンクだけでなくヒートパイプを利用する方法があります。
コンガテックでは、ハイパフォーマンスのプロセッサーを搭載した COM-HPC や COM Express モジュールに、特許取得済みのフラットパイプを採用しています。 この独自のテクノロジーにより、ヒートシンクのサイズを大きくすることなく熱をホットスポットから効率的にヒートシンク全体に分散します。
また、過酷な環境条件向けのヒートパイプ冷却ソリューションとして、ヒートパイプの作動流体として、水ではなくアセトンを使用した製品も用意しています。 これにより、氷点下の過酷な温度環境でも熱伝導媒体が凍結しないため、モジュールおよびシステム全体の損傷を防ぐことができます。 このためコンピューター・オン・モジュール(COM)の適用範囲を極寒の温度環境など、過酷な気候条件にまで広げることができます。
コンガテックの先進的な冷却ソリューションは、それぞれのモジュールに合わせてカスタマイズされており、いかなる環境においても最高のパフォーマンスと信頼性を実現できるように最適に設計されており、完全密閉されたファンレス システムやエッジサーバーの設計を簡素化することができます。
メモリー直付け・産業用動作温度対応製品
メモリーが基板に直付け(ハンダ付け)されていて産業用動作温度(-40℃~+85℃)に対応している製品については、以下をご覧ください。 製品型番をクリック することでカタログをダウンロードすることができます。
COM-HPC Mini (95 x 70 mm)
・ conga-HPC/mPTL: インテル Core Ultra Series 3 (Panther Lake) 搭載
・ conga-HPC/mRLP: 第13世代 インテル Core (Raptor Lake) 搭載
・ conga-HPC/mIQ-X: Qualcomm Dragonwing IQ-X 搭載
COM Express Type 6 Compact 耐環境版 (95 x 95 mm)
・ conga-TC1000r: インテル Core Ultra Series 3 (Panther Lake) 搭載
・ conga-TC675r: 第13世代 インテル Core (Raptor Lake) 搭載 (IEC 61373 category 2 準拠)
COM Express Type 10 Mini (55 x 84 mm)
・ conga-MC1000: インテル Core Ultra Series 3 (Panther Lake) 搭載
・ conga-mRP10 (COMe-mRP10): 第13世代 インテル Core (Raptor Lake) 搭載
・ conga-mAS10 (COMe-mAS10): Atom x7000RE (Amston Lake) 搭載
・ conga-MA7: Intel Atom x6000E (Elkhart Lake) 搭載
SMARC (82 x 50 mm)
・ conga-SA8: Atom x7000RE (Amston Lake) 搭載
・ conga-SMX95: NXP i.MX 95 搭載
・ conga-STDA4: TI TDA4VM/DRA829J 搭載
IEC 60068(環境耐性試験)、IEC 61373(鉄道規格)準拠 COM Express
・ conga-TC675r: 第13世代 インテル Core 搭載 COM Express Type 6 Compact 堅牢版
過酷な環境条件(極度の低温や高温、湿度、衝撃、振動)に対する耐性を評価する世界で最も厳格な試験の一つである IEC 60068 環境耐性の基準を満たしています。 また、鉄道業界向けの IEC 61373 category 2 規格にも準拠しており、さらなる衝撃と振動の要件にも対応しています。 これらの規格への準拠により、conga-TC675r は地球上で最も過酷な環境下でも確実に動作することが保証されます。
列車や商用車、建設機械、農業用車両、自動運転ロボット、あるいはその他の要求の厳しい屋外やオフロード環境向けのモビリティ アプリケーションのほか、重要インフラやセキュリティ、鉄道、輸送といったユースケースにも最適です。
【カスタマイズサービス】
さまざまな要件に対応するため、コンガテックでは aReady.YOURS をはじめ、カスタマイズサービスを提供しています。
湿気や結露、 硫化などによる腐食から保護するためのコンフォーマルコーティングのオプションのほか、カスタムシステムの衝撃と振動試験や温度スクリーニング、高速信号のコンプライアンステスト、設計サービス、そしてコンガテックの組込みコンピューターをすぐに使用するために必要なすべてのトレーニングを含む包括的なサービスが用意されています。
カスタマイズサービスの詳細については、コンガテックにお問い合わせください。
コンガテックについて
コンガテック(congatec)は、標準フォームファクターの COM-HPC、COM Express、Qseven、SMARC などの産業用コンピューターモジュール、およびシングル・ボード・コンピューター(SBC)の設計開発・製造・販売をおこなうドイツに本社を置くメーカーです。 これらの製品は、堅牢で長期供給が可能で、産業オートメーション、医療、エンターテインメント、ロボティクス、輸送、テレコミュニケーション、試験と計測、POSなど、さまざまな産業分野で使用することができます。 製品には独自の拡張BIOS機能と、包括的なドライバーやボード・サポート・パッケージ(BSP)が含まれています。 ニーズに合わせて製品のカスタマイズなどもおこなっています。















