コラム:AMR(自律走行搬送ロボット)に最適なコンピューター・オン・モジュール
コンガテックでは、さまざまなアプリケーションの要件に対応する、広範なコンピューター・オン・モジュールを用意しています。
ここでは各アプリケーションの概要と、それに適したコンピューター・オン・モジュールをご紹介いたします。
AMR(自律走行搬送ロボット)に最適なコンピューター・オン・モジュール:COM Express / COM-HPC (2024年6月更新)
産業用ロボットの市場は非常にダイナミックに拡大しています。 この成長の理由の1つは、世界人口の高齢化により生産年齢人口が減少していることによるものと考えられています。 その一方で、介護が必要な人は増えているため、その両方の領域で労働者が不足し、より多くのロボットが必要になってきています。
産業用ロボットは、インダストリー4.0の重要な基盤です。 しかし、カスタムのロボットソリューションを開発して導入するためには莫大なコストと時間がかかります。 そのため、多くの企業の生産現場やイントラロジスティクスにおいて、ロボット開発に多額の投資をおこなうことをためらっているケースが多々あります。 しかし、コンピューター・オン・モジュールを活用することにより、開発コストとリスクを抑えて短期間でシステムを開発することが可能になります。 また、このベンダーに依存しないオープンなモジュラーシステムを使って、カスタマイズ可能なロボットのベースプラットフォームを提供しているメーカーもあります。
次世代の AGV(Automatic Guided Vehicle: 無人搬送車)として注目されている AMR(Autonomous Mobile Robot: 自律走行搬送ロボット)は、障害物などを自動的に回避し、自律して移動する搬送ロボットです。 AGV が、走行する経路を誘導するためのガイドを必要とするのに対し、AMR ではセンサーを使って、状況を認識し自律的に走行することが可能です。 この自律走行を可能にする技術が、ローカリゼーション(自己位置推定)とマッピング(環境地図作成)を同時に実行するSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)です。 SLAMは、レーザーなどを使って障害物までの距離を計測し、周囲の環境地図を作成しつつ、その環境地図上での自己位置を推定します。
また、VGR(Vision Guided Robot: ビジョン誘導ロボット)では、3次元マシンビジョン(3Dビジョン)により物体を識別し、機械学習と合わせて使うことで自律動作をさせます。 3Dビジョンのカメラテクノロジーは、3つの側面(X、Y、Z軸)から距離を測定して物体を識別するため、タスクを正確に実行することに役立ちます。
このような、高度な移動ロボットシステムは、いくつかのサブシステムから成り立っており、1つ目は経路を決定し、2つ目は実際の移動をつかさどり、3つ目は作業を実行するといった具合に、同時に複数処理の実行が必要になります。 この各タスクの特定の要件に合わせて COM Express や COM-HPC などのコンピューター・オン・モジュールをそれぞれ割り当てるという方法はロボットシステムを構築するための理想的なアプローチです。
AMR(自律走行搬送ロボット)に最適なCOM Express/COM-HPC製品
インテル Xeon D(Ice Lake D)搭載製品
・ conga-HPC/sILH: COM-HPC Server Size D モジュール
インテル Xeon D-2700/2800(Ice Lake D)シリーズ、メモリー:4x DIMM ソケット、DDR4、最大512GB
・ conga-HPC/sILL: COM-HPC Server Size D モジュール
インテル Xeon D-1700/1800(Ice Lake D)シリーズ、メモリー:4x DIMM ソケット、DDR4、最大256GB
・ conga-B7Xl: COM Express Basic Type 7 モジュール
インテル Xeon D-1700/1800(Ice Lake D)シリーズ、メモリー:最大 4x SO-DIMM ソケット、DDR4、最大128GB
第13/14世代 インテル Core(Raptor Lake)搭載製品
・ conga-HPC/cRLS: COM-HPC Client Size C モジュール
第13/14世代 インテル Core(Raptor Lake-S)、メモリー:4x SO-DIMM ソケット、DDR5、最大128GB
・ conga-HPC/cRLP: COM-HPC Client Size A モジュール
第13世代 インテル Core(Raptor Lake-P)、メモリー:2x SO-DIMM ソケット、DDR5、最大64GB
・ conga-TC675: COM Express Compact Type 6 モジュール
第13世代 インテル Core(Raptor Lake-P)、メモリー:2x SO-DIMM ソケット、DDR5、最大64GB
関連製品
・ RTSハイパーバイザー:産業用組込み仮想化ソフトウェア
[参考資料]
COM Express と COM-HPC についての理解を深めるために、コンガテックジャパンでは、各種の日本語版ドキュメント(技術記事/ホワイトペーパー/ケーススタディ)を公開しています。
COM-HPC や COM Express などコンピューター・オン・モジュールの選択肢は多く、さまざまなプロセッサー、タイプ、そしてサイズが用意されています。 コンガテックジャパンでは、お望みのプロセッサー、タイプ、サイズから製品を見つけやすくするために、コンピューター・オン・モジュール選定ガイド を公開しています。 また、評価ボード/キャリアボード選定ガイド も公開しています。 新しいプロジェクトにお役立てください。
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コンガテックについて
コンガテック(congatec)は、標準フォームファクターの COM-HPC、COM Express、Qseven、SMARCなどの産業用コンピューターモジュール、およびシングル・ボード・コンピューター(SBC)の設計開発・製造・販売をおこなうドイツに本社を置くメーカーです。これらの製品は、堅牢で長期供給が可能で、産業オートメーション、医療、エンターテインメント、輸送、テレコミュニケーション、試験と計測、POSなど、さまざまな産業分野で使用する
ことができます。製品には独自の拡張BIOS機能と、包括的なドライバーやボード・サポート・パッケージ(BSP)が含まれています。ニーズに合わせて製品のカスタマイズなどもおこなっています。