コラム:エッジサーバーに最適なコンピューター・オン・モジュール
コンガテックでは、さまざまなアプリケーションの要件に対応する、広範なコンピューター・オン・モジュールを用意しています。
ここでは各アプリケーションの概要と、それに適したコンピューター・オン・モジュールをご紹介いたします。
エッジサーバー向けコンピュータ・オン・モジュール:COM-HPC Server / COM Express Type 7 (2024年6月更新)
将来的にはクリティカルなインフラストラクチャーの半数が、エッジに設置されると予測されており、エッジコンピューティングの市場は、急速に成長することが見込まれています。 このセグメントの最大のサブマーケットの1つは、5Gテクノロジーなどのテレコミュニケーションの分野です。 この分野では高帯域幅のデータを扱うため、エッジにおいてより高いパフォーマンスが必要になります。 これまでのモバイル通信規格に比べて基地局がカバーするエリアが狭くなり、管理できるデバイスの数も少なくなるため、必要な基地局の数は増大します。 エッジコンピューティングの需要は、銀行や金融セクターでも増加すると予想されています。 これは、より高速な決済端末が普及し、非接触型テクノロジーの急増に伴い、トランザクションの数が増加するためです。
このように、さまざまなアプリケーションにおいて、クラウド経由での処理で問題となっていた、レイテンシーの低減や、エネルギーを大量に消費する長距離データ トラフィックを削減することの必要性が高まっていることによって、エッジでのサーバーテクノロジーの導入が急速に進んでいます。 しかし、エアコン完備のサーバールームとは異なり、エッジの環境条件は過酷なことが多く、通常、設備への投資は長期間に渡るため、非常に堅牢で長期的に使い続けられるソリューションが必要になります。 このようなエッジサーバーのニーズに対応するために、標準化組織のPICMGは、ヘッドレスのコンピューター・オン・モジュールであるCOM Express Type 7と、その上位機種と位置付けられるCOM-HPC Server という2つの規格を作りました。 これらの規格をベースとしたサーバー・オン・モジュールは、システム開発者にとても効率的な設計基盤を提供します。 さらに、次世代のシステムに移行するときには、モジュールを交換するだけでパフォーマンスを容易に向上させることができるため、トータルの運用コストを大幅に削減することができます。
COM-HPC 規格には、ヘッドレスで高性能の Server タイプと、グラフィックスを搭載した Client タイプの2つのサブ規格があります。 Server タイプの形状は Size D(160 x 160 mm)と、Size E(200 x 160 mm)の2種類が定義されており、COM Express よりも大きくなっているため、より多くのメモリーを搭載することができるのと同時に、より多くの電力を使うことができます。 また、さまざまなプロセッサーやFPGAなどの搭載も想定されており、最新の高速インターフェースにも対応しています。 さらにサーバーとして機能させるために IPMI のサブセットによるリモートマネージメント機能も実装しているため、エッジサーバーに最適なプラットフォームとなっています。
COM Express は、今後も新しい製品がリリースされ、長くサポートされる規格ですが、COM-HPC は COM Express では対応することのできなかった大規模なワークロードを、過酷な環境のエッジで処理するといったアプリケーションに採用されることが期待されています。
エッジサーバーに最適な コンガテックのサーバー・オン・モジュール製品
COM-HPC Server 製品
・ conga-HPC/sILH: COM-HPC Server Size D モジュール
インテル Xeon D-2700/2800(Ice Lake D)シリーズ搭載、メモリー:4x DIMM ソケット、DDR4、最大512GB
(*Size E のオプションもあり、メモリーは 8 ソケットで 最大 1TB 搭載可能)
・ conga-HPC/sILL: COM-HPC Server Size D モジュール
インテル Xeon D-1700/1800(Ice Lake D)シリーズ搭載、メモリー:4x DIMM ソケット、DDR4、最大256GB
COM Express Type 7 製品
・ conga-B7E3: COM Express Basic Type 7モジュール
AMD EPYC Embedded 3000 シリーズ搭載、メモリー:3x SODIMMソケット、DDR4、最大96GB
・ conga-B7Xl: COM Express Basic Type 7 モジュール
インテル Xeon D-1700/1800(Ice Lake D)シリーズ搭載、メモリー:4x SODIMMソケット、DDR4、最大128GB
関連製品
・ RTSハイパーバイザー:産業用組込み仮想化ソフトウェア
[参考資料]
COM Express と COM-HPC についての理解を深めるために、コンガテックジャパンでは、各種の日本語版ドキュメント(技術記事/ホワイトペーパー/ケーススタディ)を公開しています。
COM-HPC や COM Express などコンピューター・オン・モジュールの選択肢は多く、さまざまなプロセッサー、タイプ、そしてサイズが用意されています。 コンガテックジャパンでは、お望みのプロセッサー、タイプ、サイズから製品を見つけやすくするために、コンピューター・オン・モジュール選定ガイド を公開しています。 また、評価ボード/キャリアボード選定ガイド も公開しています。 新しいプロジェクトにお役立てください。
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コンガテックについて
コンガテック(congatec)は、標準フォームファクターの COM-HPC、COM Express、Qseven、SMARCなどの産業用コンピューターモジュール、およびシングル・ボード・コンピューター(SBC)の設計開発・製造・販売をおこなうドイツに本社を置くメーカーです。これらの製品は、堅牢で長期供給が可能で、産業オートメーション、医療、エンターテインメント、輸送、テレコミュニケーション、試験と計測、POSなど、さまざまな産業分野で使用することができます。製品には独自の拡張BIOS機能と、包括的なドライバーやボード・サポート・パッケージ(BSP)が含まれています。ニーズに合わせて製品のカスタマイズなどもおこなっています。